帝王の高飛び
帝王は、またいつものように駄々をこねていた
「死神くんてばモテすぎだぜー、ブー!」
「俺あ、もててなんかいねーよ健ちゃん…あんたのがよっぽど皆に愛されてるじゃねえか」
「ブーブー!(聞いてない)俺も死神くんみたくやってみるー!」
「?」
「吐血して病弱になりゃいいんだよな♪」
「健ちゃん…殺したって死なねえじゃねーか」
「そこは玄人♪よし、準備だ♪」
「…健ちゃんサマ使う気か?…」
そして
「ユウた〜ん♪」
「ドぎゃああ!!戸口に血まみれ無精髭ー!!(泣)」
とりあえず三流玄人をつづけざまにノシて、返り血を塗りたくって来た健様だった。
「ユウたんびっくりした?」
「するに決まってんだろ!!」
「心配した?」
「ああ(雑巾を絞りながら)何人ヤッたんだ?アシついてねえか?」
「え?」
「確かに玄人稼業は危険がつきもンだがよ。いくらなんでもこんだけ殺したらサツが動くぜ?忌田に言って高飛び先探してもらえ!!いいな(真剣な目で)」
「あ、うん…」
「こんな事言うべきじゃねえかもしれねえが、それでもお前のこと愛してるよ。ほとぼりさめるまで待ってるからな…無事でいろよ!!」
心配はしてもらえたが、なんか当初の意図とかなり違ってしまった健だった
そいでユウから連絡を受けた忌母さんが迎えに来た。
「健…いくら裏稼業とはいえ…!くそ、言ってる暇はねえ!はやく行け!もう手配はしてある!」
「?どこ行くんだよ…」
「…沖縄だ。あそこにゃ日本のサツは踏み込めねえ」
この当時は、まだ外国。
「ハブ、案内と健の世話頼んだぞ!」
「分かった…たまご…うめえ」
「あれれー?」
そして。
「何で何でー?!」
沖縄のサンセットを見ながら、玉子を飲むハブの横で叫ぶ健の姿があった。
そいでもって
「…仕方ねえから博打でもすっか」
「(こく)うめえ」
「お前コンビな」
つーわけでそれからしばらく、不精髭と卵を呑む生物のコンビは在沖縄アメリカ軍の間で恐怖の代名詞となった…という
心配しなくても、たぶん三ヵ月位したらドル札を山と抱えてアロハシャツで戻ってくる筈。
で忌田さんに
「まだサツは気付いてねえみたいだが…どうやってホトケを始末したんだ?」
と真顔で聞かれる筈