玄関マットと帝王

帝王は、もう何万回目かわからない駄々を、忌田さんにこねていた

「忌田ー俺いぢめられたー」
「はいはいお前が悪いんでしょ?」
「俺悪くないもん(ぶー)」
「いいから言ってみなさい。どうせお前が悪いに決まってるんだから」

詳細。
外見で人を判断する心ない世の中の所為で泊まる所のない死神に、先生が言った
「ならうちに泊まれよ。どうせ一人暮らしだ」
「いいのかい?祥ちゃん」
そして、呼ばれないのにいる帝王
「わーい♪俺センセんちお泊りー」
「(黙殺)水臭い事言うなよ。俺とお前の仲じゃねえか」
「悪いな」
「そーだよな♪俺とセンセってばタマの裏まで知ってる仲だもんな♪」
「祥ちゃん…健ちゃんがなんか言って…」
「俺には聞こえねえよ」
で二人に無理について行く健

「お前がベッド使えよ。俺はソファに寝るから」
「そんな。無理に泊めてもらってんだから、俺がソファでいいさ」
「俺どっちでもいい♪どっちでもセンセとがっつんがっつん出来っから」
「(黙殺)お前は体が弱いんだから遠慮するな(優しい笑顔)」
「俺遠慮しねえ♪」
「(冷たく)お前はそこだ」
「…そこって…玄関マットしかねえよ?」
「上等だろ」
「なんでさ!?なんで死神くんはベッドで、俺は玄関マットなのさ!?」
「うるさい。獣の分際で。室内で寝られるだけ有難いと思え」
「センセなんか…嫌いだぁ!!」
詳細終わり


「な?俺いぢめられたろ?」
「…」
あきれ果てたものの、あまりに帝王が駄々こねるので、仕方なくセンセを召喚

「ひでーひでー!!センセ最近俺に冷てー!なんで俺ばっかいぢめんの?」
「お前だって木座を毎回いじめてんじゃねえか」
「俺はいーのー!!だってあいつヘタレだもん!!俺は可愛いからいぢめちゃやだー!!」
「…忌田(何かいいたげな目で)」
「分かってます(泣)」
あきれ果てて先生が帰った後

「健!お前は…」
「もういぢめられんのやだー!うぜえ奴なら殴り殺しゃいいけどー!萌えキャラに冷たくされんのスっゲーやだ…」
何だかんだいって甘い忌母さん、何も言えなくなる。

「俺もう捨てられたかねーよ…?」
「…誰も捨てねえよ…先生だってお前が嫌いじゃないから、とにかく来てくだすったじゃねえか…」
「そっかな?…」
「ああ、そうだ」
「でも何か収まらねー。もっぺん先生とヤって
『ごめん』
っつーまでがっつん…!」
「やめなさい!」
「じゃ今日一日構いまくってー(しがみつき)」
「いっつも構ってるだろうが…仕方ねえ奴だな」
「もっとだよう…」

実は天界部屋の隅にいたハブ。
「極道に抱きつく…無精髭中年…レア…一目見れてよかった…」

忌田に構って貰った後、やっぱセンセのトコに行く
「しつこいな。そんなに玄関マットがヤだったのかよ」
「やだやだ!!あれ固い!!俺やわこいベッドがいい」
「南極の屋外で熟睡出来る癖に…分かった。そんなにベッドがいいんだな!?」
「うん♪やわこくて弾む奴♪」
「やわこくて弾む奴でそこに寝てるのが金男で、玄関マットに寝てるのが俺でもベッドがいいんだな?」
「マットがいい!!金男やだぁ!!」
「ほら、いいじゃねえか玄関マットで」
「うん…」
「じゃ駄々こねた事謝れ」
「ごめんセンセ…」

帰り道。なんかだまされた気がする帝王だった


放浪記その他のドサは、壊れているとはいえ、しっかり渋い畜生のに、うちのは本気でわんこです。もう、このあたりから人類ですらなくなってきました