画家とその妻とその他ー愛の絆ー
場所は東京の汚くて狭いアパート。
人は日雇い労働者の夫とその妻
時は…昼
「(真っすぐな目で)碧…何も言わずに脱いでくれ」
「あなた…そんな真っ昼間から…」
「今日は仕事は休みだから構わないだろう?」
「そうね…なら…」
天井から何か、無精髭の生物が降ってきた
「俺も混ぜろいっ…ぐはあっ!!」
「…どこから紛れ込んだのかしら、この生物」
「髭の女性…何に混ぜろと言うんだ?」
「そりゃやっぱ3Pのが楽しーじゃあん。俺受けでも攻めでもどっちでもいーからさ…ごふうっ!!」
「アナタ…さっさと放り出しましょ」
「えー、俺だって脱いだらすげーんだぜー(ぶーぶー)」
「…確かにな」
「あなた?」
「(真っすぐな目で健に)なってくれるか?裸体モデルに」
「え?」×2
二人はそれそれ同じ意味で絶句したが
「よし!んじゃあモデル料はラバりんの体な!!がふぉ!!」
「あなた…この人はやめといた方がいいわ。中身までにじみでてとんでもなくダーティーでカオスな絵になるから(本当はあなたの貞操がやばいから)」
「…それも面白そうだが…」
「ひでえな碧ちん」
「…うーむ仕方ない…」
「ん?どーしたんだラバりん?」
「裸体画は本当はモデルを雇わなければならんのだが、金がなくていつもお前ばかり描いていたが…確かに嫌だよな碧」
「別に嫌じゃないけど。画家の妻ってそんなものでしょう?」
「そーなんだ。見せて見せてー」
「ちょ…やめてよ」
「だってげーじつだろ?お…これか?すげー!!碧ちん美人!!」
(恥)
「それはただの下手なデッサンだ。碧はもっと魅力的なんだが…俺の画力じゃそれが表現出来ん…すまんな碧」
「あなた…」
「らぶらぶだな♪そんなラバりんも萌え♪てかさ、俺も描くー♪」
「…え?」
「碧ちんとラバりんの裸〜♪」
「髭乙女…絵のたしなみがあるのか?!」
「ねえよ全然」
「試しに!何でもいいから描いてみてくれ。そのキャラクターからどんな作品が生まれるのか、是非見てみたい」
紙と鉛筆(ステッドラーの6B)をあてがわれた精神年齢三歳児の帝王は、ご機嫌に思うさま落書きした。
「出来たあ♪」
「これは…何という野生味あふるる…!!」
「オランウータンに描かせた絵のようね…」
「ちなみにここに描いてあるのはなんだ?」
「俺のハレムのハニーたち♪」
「常識の壁をうち破る画風だ!」
「素人目には幼稚園児の絵のようだけど」
芸術家の感性はやはり常人には理解出来ないらしい。
健のきったない落書き(碧にはそうとしか見えない)を感心しながら眺めるラバ。
絵を褒められた三歳児のようにご機嫌な帝王
(なんて滑稽な場なのかしら)
しばらくしてラバは言った
「やはり俺の絵は固定概念に捉われすぎている」
「博打打ちとしてもそりゃ致命的だぜラバりん」
「そうだな…く…フクロウ。俺はまだお前に渡す絵が描けない…」
「画題をかえてみたら?」
碧の一言にラバは頷いた
「そうだな。いっそ…俺自信を描いてみる!!」
そして勢い良くシャツを脱いだ
「わーい♪おお、ラバりんやっぱいいガタイしてんなー♪」
「あ、あなた…この人の前で脱いでは…」
「む、これは失礼した。うら若き女性の前で」
「…あなた…」
「えー?俺は全然構わないぜえ?」
「そういう訳にはいかん」
バタン。
ラバさんは自室に篭ってしまった。
「ちぇ〜暇だし、碧ちんやらね?」
「あの人最近ドンドン天惚けがひどくなってく気がするわ…」
「確かに惚けまくってんな…でもそこが可愛いんだろ?」
「確かにそうなのかもしれないわ。でも…私って苦労するように生まれついてるのね(はあ)」
「でもいい男じゃん」
「そう…確かに見た目はいいんだけどね…」
「食っても美味そーだぜ♪…どーしたんだ碧ちん。旦那だからそーゆー事…」
碧は何だか哀しげに笑った
「もしかして最近ヤってねーの?!」
あまりに露骨な言い方をする健。だが碧はあえて否定しなかった。
「うわもったいねー。んじゃたまってんだろ、俺が…♪」
「結構よ!!」
ズビシ。
「あぐ…しかしラバりんと…まじ夫婦なのか?」
「…あの人とにかく今は画家として一人前になる事以外頭にないのよ」
「やっぱ勿体ねーな。がんがんやりまくってこそ頑張ろうって気になるもんじゃねーか『えーゆーいろをこのむ』ってんだろ」
「あなたがそんな言い回しを知ってた事に驚きだわ…でもこの世には全エネルギーを一つの事に注ぎ込んじゃう人がいるのよ。でも…確かにこのままじゃわたしの女の沽券に関わるわ」
「だろ?不倫しよーぜー、ちゃんとコンちゃん付けてやるからさ」
「不倫…そう不倫よ!!不倫しましょう」
「わーい、さっそくしっぽりー」
「アナタじゃ駄目よ。冗談じゃ済まなくなる…し主人が女と信じ込んでるから」
「へ?」
「不倫と見せ掛けてあの人の愛情を測ってやるわ。もし私の事どーでもいいなら…若いうちに人生やりなおす!!誰かこーゆー話にのってくれる人知らない?」
「えー俺じゃダメなのー?ブー…でもおっもしろそうだな♪だっれがいいかな〜?」
「そうね…とりあえず身持ちの堅い人で…主人が気にかける位の男の人でないと駄目ね」
「死神くん?」
「それはちょっと…」
「身持ち固いんじゃセンセは無理だし、ラバちんが気に掛けるんだったら玄人のがいーのか?」
「そうね…」
「やっぱ俺じゃん」
「あなた日本語理解出来てる?」
「じゃ哲は?強ぇぜ?見た目もいいぜ。多分女相手なら興味ねえから身持ち固いだろ」
「哲…さん?もう少し詳しく教えてくれる?」
「んー見た目がロリで天然入ってて不器用だけど、鬼畜で博打は俺の次に強えぜ?でもって俺の第三夫人…ガタイよくて男前なユウたん♪にしか萌えないみてえ♪」
「…さすが貴方の知り合いね…もしかしてあの悪名高い坊や哲?」
「そ」
「(どうして名高い博打打ちってこんなのばっかなのかしら)確かにそれなら文句はないけど…協力してもらえるの?」
「ん…そーだな。電話貸してくれよ…あもしもし、木座?哲探してこい。嫌?減給すっぞ…そうそう、会ったらこう伝えろよ『ユウたんの萌え萌えエロ写真やるから来い』って…ふざけるな?クビんなりてーのか?…そーそーはやくいけ(がちゃん)やるってさ」
「…何だか私が嫌になってきたわ」
碧は始める前から不安でたまらなくなったがともかく。
天界で一行は落ち合った。
「健、来たぞ…ちゃんとユウさんの写真くれるだろうな?」
「おう♪ほらとりあえずこれ」
「…ユウさん…可愛い…」
「これが坊や哲…確に坊やだわ。けどすごく邪悪な波動を感じる」
「なあ哲?これから言う事に協力しろよ?そしたらユウたんコスプレショー(当人未許可)に参加さしてやっから♪」
「話を聞かせてくれ!」
「玄人て…」
健は一部始終を語…ったりはしなかった
「ま、この碧ちんと仲良く歓楽街でも歩いてくれ」
「何で?」
「いーから」
「ちょ…健さん?ちゃんと説明しなきゃ」
「いいのさ(ニヤリ)」
またろくでもない事考えてる健の笑顔
「ふーん…まあいいけど。君…碧さん」
「ええ、哲さん。碧でいいわよ」
「ちゃんと腕組めよー♪」
という訳で哲の細腕と健の笑顔に不安を感じながら、碧はノガミの歓楽街へと向った
哲たちを見送り
「…行ったな…」
ニコオ♪
嵐の前のジャリガキ笑顔。
健は早速ジュクへと向かった。
そして
「ゆっうた〜ん♪」
「うわ、出たな…これから打ちにいくんだ。てめえに構ってる余裕ないぜ」
「んーそんなこと言ってていいのかなあ♪」
「は?」
「哲のことなんだがなあ…」
「聞かせろ!健!!」
「すげえ美人な人妻と付き合ってんだ」
「何!?」
「嘘だと思うんなら付いてこいよ。ノガミの歓楽街で仲良くデートしてっぜ」
そしてユウをうまい事連れ出し、今度はラバ
「ラバりーん」
「すまんが髭乙女。今作画中なんだ」
「そんな事いってていーのかな?碧ちんが男とデートしてんだぜ」
「何!?」
驚いた顔で振り向くラバ
「(驚いた顔も萌え♪)嘘だと思うんなら付いてこいよ」
かくして悪夢のようなダブルブッキングは設定された
「ユウたんもラバりんもおびきだし成功♪た〜のしい♪さっ、どーなるかなあ?」
一方
「何で哲が人妻と?!何があったんだ…多分(女性関係には)初心だからたぶらかされて…」
「碧…何故お前が?信じられん」
上野歓楽街を行く坊やと碧の二人をめざとく確認した男前二人は驚きを隠せなかった。
しかし歓楽街を行く二人は
「…ところでどこまで歩くの?」
「さあ…」
「あの哲さん?普段彼女とどんな所行く訳?」
「女にキョーミないし」
「…そう…」
ラブラブさの欠片もない会話。
しかし歩いているうちに、いわゆる連れ込み宿界隈と言われる所に二人は来ていた
(な…まさかシケ込むのか)
(…碧…)
二人の男前は同時に駆け出した
「テっ…!ん?」
「みど…む?」
同時に飛び出した男前は互いに顔を見合わせた。
「何だ?あんた…?」
「…」
物陰から見守る健はめちゃくちゃ楽しんでいた。
「どーなんのかなあ?ブフー…ん?」
「何しとんねんダホ中年?」
ドテ子だった。
更に事態をひっかきまわされる予感。
健はいった。
「四角関係の男女をダブルブッキングさせたのさ♪」
「ん?碧さんと…ダーリンやないか!!どないしてんや」
「哲は碧ちんとデート♪」
「はあ!?…それに血相かえた旦那とユウさん…まあええ、尋問したる!!」
そしてラバとユウは
「あんた…まさかあの黒シャツの男の関係者か!?」
「てめえ…」
「あの黒シャツ…碧とどんな関係なんだ?」
「それはこっちの台詞だ、てめ…哲をどうした!?」
「どうもしていない来てみたらあの黒シャツが碧と…!」
「一体何がどうなってやがる?!」
「ちょい!ユウさん、ラバさんあれどーゆーこっちゃ?!」
やかましい面々の気配を勘で感じながら、碧はため息をついた。
「…碧、さん?」
「…え?哲さん何か」
「いや、これから…どーすんだ?」
ここまで来たからには、それなりに旦那の気を引いてやろう。
碧は腹をくくった。
「哲さん…」
碧は哲の首に腕を巻き付けた
「?」
不審がる哲に
「キスしましょ」
「なんで」
「いいから…」
「どーでもいいけどさっきからユウさんの気配が…」
「うるせえ黙れ(がばあっ)」
ぶちゅう…
と…いってしまいました
「碧っ!!」
ラバは叫んで飛び出した
「どういう事だっ!!」
叫んだ彼は珍しく興奮していたが
「こういう事よ!!」
碧さんも、珍しくエキサイトしていた
「ちょ…苦しい…」
そして哲は、碧さんに絞め殺されかけていた
「碧…」
何だか今度は泣きそうな顔になったラバ。
だが日頃の欝憤が爆発してしまったらしい碧は止まらない
「貧乏生活も日雇い仕事も掃除も洗濯もそりゃツラくないとは言わないけど…何よりツラいのは貴方よ!!画家になる夢を持って、そしてフクロウとの約束を大事にするのはいいけど…貴方にとって私って何!?只のフクロウからの餞別の品でしかないの?だったら…もしそうなら叩きだしてよ!!私はモノじゃないのよ!!」
あんまりにあんまりな台詞に押し黙るギャラリー
(ちなみに哲は状況が理解できてません)
ラバは珍しくツラそうに視線を下に向けた
「私…」
碧は続ける
「博打が辛くてやめたいって貴方に言ったけど…それに同情しただけなら、そんな同情いらない。だったら一人で生きてくわ!!」
「…お前がそんな風に考えていたとは…」
「全く、分からなかったというの?あんまりだわ…私よりフクロウとの約束を…夢を選ぶんならそうするがいいわ。でも私はもう耐えられない」
いつもの穏やかな彼女からは想像もつかない激しさで言いきると、碧はラバに背を向けた。
「…碧!」
ラバはその腕を掴んだ。
そしてしばらく無言で碧を見つめていたがやがて口を開いた。
「俺は…俺は確かにあいつとの約束を守りたい。はやく画家として一人前になりたいよ…」
「ならそうすればいいわ。私がいなくても出来るでしょう?」
「だが…その時、お前に傍に居てほしいんだ…そしてそれまでにかけた苦労の分、好きな事して欲しい。俺は馬鹿で不器用な男だから…死ぬ気で絵をかくしか他に方法を知らないんだ…」
「なんやようわからんけど…うちら邪魔やな」
「なあ哲?なんであの女とデートなんか…」
「え?デート!?そんなつもりは…ただ健が彼女とノガミをうろつけってゆーから…」
「やっぱり奴が元凶か!!出てこい!!」
「いやっほう!!」
空からとつぜん降ってきて、ユウたんにまとわりつく生物。
「離れろ健!この野郎!また妙なことしやがって」
「別に俺なんもしてねーもん。あっちの碧ちんが旦那のラバりんに色々不満あったみてーだからさ♪手伝ってやっただけさ」
「…確にあれが旦那やったら生半かな苦労や済まへんやろな…けど何でダーリンをダシに!!」
「そうだ!健てめっ!」
「だって博打打ちで身持ちが固いって条件だったからさ。ユウたんだったら美人にゃ弱いだろ?」
「人妻に手ェ出す程節操ナシじゃねえよ」
「じゃなんや。ダーリンは当て馬かいな」
「そうなのか」
「そ。見た目がいーから…ほら、ラバりんてばすげえ驚いてたな、ぷぷ。かーわい♪」
「最悪や…人の心をもてあそびおってからに」
「まあ…雨降って地固まるとも言うしな。天ボケにはかなり強度のショック与えないと…」
「あ…でもクスリが効きすぎたみたいやで」
「すまないこんな夫で…」
ラバは打ちひしがれた様子だった。
「あの手の御仁は極端から極端に走りやすいからな、やばいことにならんかったらいいけど…」
と言ってる間に。
ガコン!ガコン!
「何だあ?!」
「俺という男は!」
ラバは電柱に力一杯頭をぶつけながら叫んでいた。
「あなたっ!」
この手のタイプはこーゆー事を演技としてやらない。
よって大仁田ばりに流血した所でみんなで止めた
「…本当に…情けない…」
うっかり地球を滅亡させてしまったかのようにしょげるラバ。
碧は何だか可哀相になったが…
「ところで黒シャツのあんた、名前は?」
「哲だけど…」
「まさか…あの坊や哲か!?」
「ああ」
ラバはじっと考えて、そして言った
「あんたになら任せられる…碧を幸せにしてやってくれ!!」
「いや…おれユウさんだけのもんだから」
「て…哲ぅ…」
「ダーリンはうちのもんやで!?」
間違った方向に沸き上がる場で、碧は静かにラバに声をかける。
「あなた…」
「…碧」
碧はフワリと笑い、言った。
「この天惚け腰抜野郎!!力ずくで奪い返そうたあ思わねえのか、ゴラ!!」
表情と裏腹に邪悪な言いっぷりの碧に、真顔で固まるラバ
「そういやフクロウのオヒキやったらしいから、言いっぷりは似てるねんな」
「しかしなあ…」
何だか収拾つかない雰囲気に健が一石を投じた
「ラバりん…あんたも男なら力づくで行けよ。哲と戦って奪い返せばいいじゃねえか」
シリアスな物言いだが、楽しくて言ってるだけの事はラバ以外の皆が知っていた
「…そうだな…」
ラバは真剣な目を哲に向けた
「碧をかけて勝負だ、坊や哲!!」
「何で勝負すんねん」
「何で勝負するんだ?」
「…俺は博打はやらない」
「んー?哲ぅ、ラバりーん。んじゃあさあ…」
「おい健、また口説き文句対決とか言うなよ?」
「違うもーん♪」
「?」
「題して世話焼き対決♪いい旦那、いいパパになれるよーに甘えさせ上手か勝負な♪可愛がるのはもち俺♪」
「何でお前やねん、するとしたら碧さんやろ」
というユウとドテ子のツッコミはスルーされ、健のわがままが通った
「確かにな。相手に包容力があってこそ甘えられるものだ…あまり自信はないが」
「オレもどっちかってと甘えキャラだしな」
「駄目駄目だぜ?ほーよーりょくのねー男なんてお子さまじゃねーか」
やはり
「お前がゆーな」
というツッコミはスルーされた
「では…俺からいく」
「わーいラバちんだ」
「(真摯な目で)辛い事があるなら…俺は…何もしてやれないが、抱き締めてやる事は出来る…」
「なんかいきなり勘違いしてへんか」
「でも…確かにクラっとくるかもな」
「わーい!!抱いて抱いて抱き締めて(ぎゅむ)」
「…髭乙女。あんたが抱いてどうするんだ」
「むしろ食う♪」
ドテ子と碧のツッコミ蹴りを食らって健はやっとラバから離れた。
「ほんまジャリガキやで…」
「ぐふぉ…次哲ぅ♪」
「よくわかんねえけど…健…お前受けん時は本当色っぽくて可愛いぜ?(頭なでなで)いい子にしてユウさんに手出さなかったらすごくかわいがってやるよ…」
眩しい慈愛に満ちた笑顔で恐ろしいことを口ばしる雀聖。
だがラバと健にはそれが優しさ?てか包容力に写ったらしかった
「シンプルだが確かに、誉めるというのは一番の可愛がり方かもな」
「碧さん…あんたの旦那もうアカンで。ってかホンマにあの疾走天ボケ好きなん?」
「ええ。キライならさっさと逃げてるわ」
「ま…確かにえー男やけどな」
「さっき散々言ったけど…別に愛されてないとは思ってないの。ほら、あの人愛情表現が不器用だから…命懸けで銃弾から庇うとかそーゆー愛の示し方なら出来ても、たまに花を買ってくるとか、行ってきますのキスをするとかは出来ないのよ」
「うちのダーリンと同じや」
「何なに?キスしてほしーんなら好きなだけ…」
「でも、これに比べたらすごくマシだわ」
「全くや…で、ダボ中年。判定は?」
「うーん…悩むなあ。どっちにも甘えたいし♪でもなあ…」
「何や?」
「二人ともちょっと物足りないんだよな、って訳で」
嫌な予感、てか災難の確信を抱くユウ。
「ユウたん模範演技〜★」
「やっぱりかよ!!」
だが面倒見?が良い彼はしてやる事にした
「ほらほら、服はちゃんと着ろ。シャツが出てる」
「ユウたーん♪(抱きつき、てかセクハラ)」
「あ…こらもう、仕方ねえな。後にしなさい…」
「いやいや、今やるう」
世話焼きパパというより
「すばらしいもんだが…父親というよりお母さんみたいだな」
「畜生健!!ユウさんはオレんだ離れろ」
「嫌。今ここで食う(むちゅうっ)」
「こ…やめ…」
何だかすげえエロそうに恥ずかしがるユウに、ラバの顔が変わる
「あんたまさか…」
「いったらあかん!」
「あなたもうそれ以上つっぱしらないで!!」
けどげーじつかは言ってしまうのだった。
「あんたも…女なのか?」
「…え?」
必死で否定するユウの横で碧たちは悲しそうにうつむいた。
「ごめん碧さん…うちでももうツッコめへん…」
「ええ、無理に決まってるわ…」
芸術家は一人納得した。
「そうか、あんたも女でこの髭乙女とは友達なのか。どおりで仲良しだと思った」
「ユウさんが女…それでもいーかも」
「哲ぅ(泣)」
「しかし…だとしたら坊や哲…まさかこの筋肉乙女とは恋人同士なのか」
「そうだよ(あっさり)」
「いや…まだそんな関係じゃ…」
「…あんた、本命がいながら碧に手をだしたのか」
ラバの目が殺気を含んだ
「もういいわ、あなた。実はお芝居だったの全部」
「…何…?」
「あなたがいつもあんまり素っ気なくて…私それが寂しくて。貴方の私への気持を確かめたくて、協力してもらったのよ」
「こんなビズィンな碧ちん毎日食わねえなんてもったいねー」
「ええ?!ほんまかいな?そりゃ溜まるわ」
何だか下卑た会話に、ユウは他人事ながら恥ずかしくなった。
その横で哲はユウとの新婚生活を妄想していた
妄想の結果。哲は言った
「ユウさん、オレ毎日頑張って(博打で)稼ぐから、ユウさんはヤサでおいしいご飯を作って待っててくれ」
「は?哲、何言って…」
「帰ってきたら『お帰り哲、飯にする?風呂にする?それとも俺?』って聞くんだ…勿論全部頂くから…やっぱ新妻は裸エプロンだよな」
「哲ぅ(泣)」
泣くユウさんの存在など目に入らない暴走天然ボケ男前は、碧さんの目をまっすぐ見て言った
「碧…お前そこまで…すまない」
「…いいの。私もやりすぎたわ(こんな邪悪な代物どもを巻き込んだのは)だけど…聞きたいの。貴方…私の事、愛してる?」
「…碧…」
ラバは少し恥ずかしそうに答えた
「昔言ったな…『碧は俺の女だ』と…あれは嘘じゃない…一目惚れだったんだ」
「…」
「なんや元々ラブラブやん、つまらん…ってダーリン何言っとんのや!!」
「ユウたんの裸エプロンはいいなあ〜♪新妻ユウたん♪」
「なってねえよ!!(泣)」
とガヤガヤやかましい横で。
「…あなた…」
つと駆け寄り、胸に顔をうずめる碧を、ラバは一瞬戸惑ったがぎこちなくかき抱いた。
それをみたジャリガキ中年。
「よーし!!つれこみ宿もあることだし、皆で乱交パーティーだあ♪へごぶっ!!」
ドテ子のジャストタイムキックが炸裂し、ジャリガキ帝王が蠢いているうちにユウは言った
「乱行はともかく、ま、二人で入りなよ」
「…連れ込み宿にか!?」
「夫婦やからええやん。しっぽりしとき」
「いや…そんな」
赤面するラバは異様に可愛かった
「萌え…ごふ」
二度目の蹴
「迷惑かけたから宿代はオレが奢るよ」
「やて。三日でも四日でもヤマダタカオばりに好きなだけ子作りしいや」
「…ありがと」
「くそう…俺は諦めねーかんな」
「…すまんな。迷惑かけた」
「うちの馬鹿帝王こそ」
「(哲をまっすぐに見つめて)恋人を大事にしてやれよ」
「勿論」
「いや…だから…」
こうして碧さんとラバさんのラブラブ夫婦の絆は回復されたのだった。
「なあ〜せっかくだからドテ子も甘えさせてくれよー」
「ほざきぃ!!うっとおしいわ!」
「ユウさん、オレにおもいきり甘えていいぜ(ニヤり)」
「こんな哲に誰がしたあ!!(泣)」
でまあ最後に。
諦めの悪い帝王は、今からラブラブしようとしている二人の部屋に入り込もうとした
「(ハッ…殺気)貴方…少し待ってね(部屋を出る)」
「えへへ、来たぜ」
碧は少し考えた
「(色っぽく)健さん…あなた、アブノーマルプレイはお嫌い?」
「すげえ好き♪」
「そう(ありあわせの布を取出し)じゃ目隠しさせて」
「いいぜ」
「(非常用ロープをぺちり)SMも好きよね?」
「好き好き♪てか碧ちんてば実は女王さまプレイ好きなんだな♪」
碧はものすごく頑丈に健をひっくくると
「こっち来て」
と非常用階段へ連れ出し
「なに何!?」
と嬉しそうな健を
「地獄へ堕ちろ!!」
と蹴落とした
そして碧とラバは二人の愛の世界へ。
たたきおとされた健はというと。
「ただいま〜」
「遅かったな…っ!(絶句)」
野生の勘と超人並の体力で、目隠しされロープで巻かれまくった状態で天界に生還しました。
「なあ忌田、碧ちんてばひでえよなー?」
「う、動くな…すげえ頑丈に縛ってある…解けねえぞ、これ?」
「なあなあ縛られてる俺ってばそそる?♪」
一方。
「て…哲、来るな!」
「ユウさん…早くそれ脱いでこのエプロン一枚に…フフ…」
とりあえず、玄人は畜生だらけだったというオチでした
『賭博師 梟』とのクロスワールドネタ。この桜庭ご夫妻は、こうやって愛の絆を深めているのではないかと思います…ちなみにこの二人、子どもはいるんですかね。いないような気が…まあ出来たら子どもの名前は「福郎」でキマりでしょうが