彼女の名は健子

ある日健がいつもの様に賭場を歩いていると
「アナタ…玄人は気の流れを乱す存在ですよ」
変なのが声をかけてきた。
彼は風水とかには興味がなかったので無視すると
「私の言う事を無視するとそのうち恐ろしい祟りがあります。傷つけられた龍脈が…」
なんか言っていたけど、全然理解できなかったし、興味もなかったので、とりあえずいつものように博打を打って帰って寝た次の日

「ふああ…もう昼か。便所行って飯でも食うかな…」
朝顔の前で
「…あれ…(がさごそがさごそ)ね…ねえよ!!!?俺の大型爆撃機くんがねえ!!
驚いて健は鏡をみた。
「…うわお。すげえエロくていー女…って俺じゃん?!」
ズボンのチャックを閉めるのも忘れて健は駆け出した。

「やべえ!やべーよう!!忌田ぁ!」
「何だ?騒がしいな…健どうし…」
「なあ!俺、俺…うお?俺、胸でけえな!」
「…。健、また女連れこみやがったのか…(泣)」
「ちげえよう!!俺だってば」
健は頑張って訴えたが勿論信じて貰える筈もなく
「しかも健が連れ込むだけあって妙な事言いやがるし」
と取り合ってくれない
「健に伝えとけ。ここにゃ女連れ込むなってな。それとあんたも用が済んだらさっさと出てってくれ」

ばたん

「畜生…信じてくれねーならいいもんね」
健は開き直り町へ行くと
「何でもいーから俺に似合ういっちばん派手でエロい服頼むぜ」
このめったにない事態を楽しむ事に決めた

健は店員が戸惑うくらい大胆過激な服を、あつらえたように見事に着こなした。
ちなみに黒レザー・バイクスーツ風の上着にマイクロミニスカートとブーツ。胸の開きが激しいですが、勿論ノーブラですよ。

「さ〜て、誰をオトシにいくかなっ♪やっぱ龍龍?あー龍龍女嫌いなんだよなあ…まあ嫌がらせんのも楽しいけど…とりあえずユウたんとこ行こっと♪」
さっそくユウをオトす事に決めた健子ちゃん(仮称)はまず賭場に入った

「ここ空いてるよな」
そして衆目を集めながら麻雀を始めた

がやがや

「ん…この雀荘騒がしいな。何かあったのかい?」
「おうよ。それが年増だがすげえ美人、しかも巨乳の凄腕の女玄人が打ってんだ」
「美人?」
「ユウさん、凄腕らしいぜ打ってみ…」
「是非行こう!!」
「すげえ乗り気だなユウさん」
かくしてまんまと健の策に乗ったユウ(と哲)だった

人だかりの中をわけいっていくとそこに健子(仮)はいた。

ユウは息をのんだ。
「す…すげえ美人だ…しかも」
健子ちゃんてばすげえエロい体してました。
巨乳でどっちかっつーと筋肉質。更にそれを強調するようなエライえっちな服装。
「ユウさん…あの目付き、打ち方…ただもんじゃねえよ。強いぜ…あいつ」
だがユウたんはその言葉も耳に入らないくらいのぼせ上がっていた。

やがて健子はユウたちに気付き、ユウに意味ありげな流し目を送った。
その瞬間ユウの体に電流が走った

(間違いねえ…俺に惚れてるよ)
まあ間違いではないけどね

「やあ男前の兄さん、打たねえ?」
「勿論!!」
力一杯答えたユウへの、健子の意味ありげな笑顔に哲の玄人の勘は危険を感じた

「なあユウさん…この女、打筋や雰囲気がドサ健に似てねえ?」
「哲、こんな美人に失礼だろう」
「でもよ、タミミミの例もあるし…男ってことも」
「う、そんな…」
健子はにこやかに笑い
「なに?俺が男だって?ハハ…確かめてみろよ」
そう言ってユウの手をひっぱった。
「な…姉さんちょっと」
健子はユウの手をとりスカートの中へ入れる。
「…!!!」
「ない、だろ…?安心したか?」
もうユウはくらくらだった。

(この手は一生洗わねえ…)
密かに心に誓うユウ
「姉さん…オレはあんたと打ちたいだけだ、なあユウさん?」
「(くらくら)ああ…ついでだからもっと深いトコまでな」
「へへ…いいぜどっちも。特にそっちの男前にゃ興味あるんだ」
「マジ!?」
そして勝負は始まった。なにげにダンチ入ってますから。

「兄さん…」
「え、な、何だい?(うわあ目もエロいよー?!)」
「サシ馬で俺自身賭けてえんだけどいいかい?」
「えー!マジすかあ?!(嬉)」
「そーゆー勝負の仕方も健に似てる気がすんだよな。きょうだいかなんかじゃないのか?」
「おいおい哲、あいつは孤児だろ?勿論OKだ…なんなら俺がタネ代わりになっても(嬉)」
完っ全に舞い上がるユウ(とダンチ。彼は鼻の下がのびきってます)
「じゃ…始めるぜ(ニヤリ)」
その目はやはりドサ健の目だった

「ロン、満貫!」
「ん〜強えなあ…兄さんたちぃ」
勝負は哲たちに有利なペースで進んだ。

(ユウさん…おかしい…さっきの気迫が全然ねえ)
だが哲の通しも分からないくらい、ユウは既に頭の中で健子との甘い夜にトリップしていた。
「タンヤオチンイツで…ドラな。えへへへへ…」
なんて言いつつユウは、妄想モードの中で健子のボリュームのあるおっぱいを揉んでみたりなんか色々していた

(あーもう、ユウさんでは。こうなったらダンチ…) しかしダンチも涎を垂らさんばかりの顔をして、健子のはち切れんばかりの胸元を見つめていて通しに気付かない
(こうなったらオレ一人でやるしかねえ)
坊や、しかし少しは女性に興味持とうよ。博打だけじゃなくてさ

ニヤりと健子は微笑んだ。
(へへ…やっぱり哲以外はもう俺にメッロメロな♪)
「ろ、ロン!」
ユウは順調に上がっていた。

(も…もうすぐあの胸が…脚が…俺のもの。たまんねー!!)
脚を組み交える健子に更にユウ達は釘付けになる。
だが哲は一人健子のお色気攻撃から無傷でいた(さすが坊や哲)

「ロン、リーチのみ」
「おい哲、なんでそんなゴミ手で俺の役満を…」
だが哲は鋭い瞳を健子に向けて睨み付けただけだった
「なあ坊や哲…なんか俺に含みでもあるのかい?」
「理由はねえ…だが…てめえはヤバい。そうオレの勘が告げてんだ」
「哲さん、相手は女、しかもすげェ美人スよ?何もそんな…」
「お前は黙ってろダンチ」
「はあ…」
何としてでも哲は健子にも、そしてユウにも上がらせないつもりでいた。

「おい姉さん…」
「何だ坊や?」
「あんたドサ健を知ってるか?」
(カマかけてきやがったな)
健子は妖しく微笑んだ。ユウもダンチもフヌケ状態である。
「答え…らんねえのか?」
だが騙されない哲に健子は
「知ってるよ。ノガミの最強の玄人だろ」
「哲、そりゃ奴の悪名は高ェんだ。誰でも知って…」
「じゃ奴と打ったらあんた勝てるかい?」
「へえ…面白ェ事言うな…」
「さあな?そん時の運、かね…?」
「…」
「可愛い面して怖い顔すんなよ。坊や?」
ニヤり。
健子の笑いに哲の疑惑は増す。
対してユウは
(オトす!ぜっったいにオトすう!!!)
すげえ燃えまくっていた。その勢いに運もついてきたようだった。

「親っパネだ」
高めを発動し始め

「姉さん…あんた今晩には俺のモンだぜ」
「嬉しいなあ男前。そうしてくれるかい?」
「くっ…ユウさんの流れが強すぎる」
ヤバい…哲がそう思ったその時

「全然懲りてないみたいですね」 何かが来た
顔だけいい風水師でした。

「玄人は気の流れに逆らい秩序を乱すもの…その結果がこれ…うわあ!!黒シャツ魔人だあっ!!(泣)」
「おい、お前…この女を知ってるのか?」
(やべえな…)
健子は強行策に出た。

「ロン、国士無双だ!!」
健子は役満をアガり
「確かあんたも体賭けてたよな男前」
「うん(ぐにゃぐにゃ)」
「おいてめえ…」
「勝ったからには言う事聞いて貰うぜ」
「勿論さ」
フヌケたユウには何を言っても無駄だった

「いいなあユウさん…」
心底うらやましそうなダンチ
「くっ…まったく懲りてないし…この上は…」
「ユウさん!!」
「え?なんだ哲ぅ〜?(グニャグニャ)」
「今夜だけなら…オレ、受けてもいいよ…」
「えっえええー?!」
「その女とオレ…どっちを選ぶんだ、ユウさん?!」
「何だ男前の兄さん…今日は俺としっぽりしてくれんだよなあ?」
ユウは悩んだ。目の前のエロい美人はこの機会を逃したら多分二度とあんな事やこんな事は出来ない。
が、哲が受けてくれるのもこの機会を逃したら二度とないかも…悩んだ末にユウは答えた

「すまねえ姉さん」
「ユウさん(嬉)」
「お姉さま!!ならオレがお相手しますよー?」
「兄さん玄人だろ?…賭けの代償はきっちり払って貰うぜ、男前の兄さん…何なら俺をその坊やの後で抱いてくれてもいい。ガタイいいしイケるよな?」
「え…」
再びユウの心がぐらつく。一晩で二人?しかも極上?うわあ〜い、まさにパラダイス〜
ユウは意識を飛ばしてしまった。
「じゃ…じゃあオレその間に姉さんとしっぽり…」
嬉しそうに立候補したダンチだが
「うるせえんだよリーゼント」
とあっさりフラれた
「別にいいじゃねえかダンチでも」
「哲さあん(泣)」
「だってよ坊や、そこの男前とそのリーゼント比べてリーゼントが勝ってるトコあるか」
「え?」

哲は宇宙を構成する方程式を答えさせられたような顔になり…
「わ…若さ、かな?」
「他には…」
「い…いいだろ別に!!ダンチにはダンチのいいトコがあるんだよ」
「何がだ?」
「何がって…何かだよ!!」
「哲さん…もういいっすよ(泣)オレ諦めますから」
「さてじゃちょっと用があるから、先にそっちいくわ。またな男前♪」
「ま…また来てくれよ!姉さん!!これ俺のヤサん地図だ」
「まあ分かるけど…センキュ♪」
そして健子は向かった。
そう。もう一人の巨乳好きんとこへ(笑)

近藤先生は通常国会も終わり行きつけのバーでくつろいでいた
「ふー…たまにゃ女のトコでも行くかな…」
なんて呟いていると
「お隣よろしいかしら?」
見れば、零れんばかりの色気と乳をした美人が妖しげに微笑んでいる。
それは美人なんか見慣れている筈の先生でもメロメロになっちゃう位のいい女だった

「勿論…おいマスター、カクテルを彼女に」
「うふふ、お優しいのね」
近藤は女をじっくり眺めて言った
「どこかで会った事あったかな」
「まあ何で?」
「いや…知ってる顔に思えてな」
意味ありげに近藤をみつめる美女
「いや…君ほどの美人に会えば覚えている筈だな…フ…俺としたことが…」
「(お〜お〜やっぱちらちら乳見てるよ。むっつりだなあ先生♪…お上手ね…でも私も初めて会った気がしない…ものすごく…貴方が気になるの。もっと貴方のこと教えてくださらない?」
タミミミ仕込みの完璧な女性喋りを駆使する健に、近藤はかなり悩殺されてきたようだ
「それは…」
健子の胸と顔を交互に見やる先生
「…私、少し酔ったみたい…どこかで休みたいわ」
先生は無言で会計を済ますと
「いい場所を知ってるんだ…」
と健子の腕に手をかけた

(やりい、どんぴしゃ)
健子の胸の感触を腕に感じながら近藤は人目を避けてホテルに入った。

「…具合はどうだ?」
「あまり…早く…横になりたいかも(先生目の色変えてやんの。た〜のしーい♪止めらんねーな。これ)」
やがて二人は部屋に入った。
「何だか…胸が苦しい…」
「いけないな」
「何とかして下さらない?」
健子は豊満な胸に近藤の手をあてがった。
近藤の理性がすげえ勢いで消えていった

「いやん…ブラのホックを外してくださらないと…苦しいわ」
その台詞に近藤は健子の背中に手を回す
「どう…だ?」
「ね、心臓がすごい音だしてるでしょ?聞いてみて」
たまらず近藤は健子にのしかかった。
「あん…駄目…ますますドキドキしてきたわ、破裂しそう」
「俺もだ」
(ブフー!先生目ぇギラギラだよ。俺ってば悪女♪)
近藤が健子の下着を脱がせようとした時

「ルームサービスです」
と戸を叩く音がした
「頼んだ覚えはねえぞ」
「ともかく開けて頂けますか?」
「仕方ねえなあ…」
勿論予想はしてると思いますがいたのは

「…小龍…」
ルームサービスに化けたご主人さまだった。

小龍は、近藤をひっつかむようにして入り込み
「女ナンパするたあいい身分じゃねえか…」
「いや…これは…」
「ん?この女…何か…雰囲気がにてるな健健に…」
「…あ」
さっき感じた既視感はそれだったか、と少し近藤は戸惑ったが、巨乳の魔力が健似という負の要素にうち勝ったのだった。
「し、小龍…こんな美人を健に似てるだなんて」
「確に年増だがとびきりの『いい女』だ…だが危ねえ」
「え?企んでる?…まさかスパイが何かか?」
さすが政界に生きているだけあってそーゆー罠は多いらしい
「いや…だが危険だ。さっさと追い出せ」

雲行きが怪しくなってきたので健子は言った
「ひどいお兄さんね?こちらのセンセとどんなご関係なの?」
「…オレはこいつの…」
言いかけた小龍に慌てて近藤は駆け寄る。
「し、小龍!待て。まだスパイと決まった訳じゃない…君、身元を教えてくれないか?」
あ…そろそろヤバいかな。
そう思った健は
「うふふ、お店に来て下さるのね」
「やっぱホステスか…でどこの…」
聞きかけた近藤を小龍が止めた
「名刺見せてみろよ。ホステスなら営業用を持ち歩いてる筈だ」
「(女に興味ねえくせになんでンな事知ってんだよ)私まだ入りたてで用意できてなくて。でもうちのマッチならありますわ」
そう言って、健子は近藤にマッチ箱を手渡した。
「是非いらしてね。お待ちしてるわ」
そして健子は去って行った。

マッチはもちろん天界のだった…
「あそこ…遂にクラブも始めたのか?」
「健のハレムに成り下がって商売にならねえような事を忌田がするかよ」
「じゃなんでまた…」
「あの女…玄人タコがありやがった…」
「何!?じゃああの女…上野の玄人?」
「そう考えるのが妥当か…しかしだとすると何故…また健健の野郎何か企んでやがるのか?」
さすがの目利きの小龍も、まさか女当人が健だとは知らない
「…ともかく…天界に行ってみるか」
「そうだな。あ、先に言っておくが近藤…浮気の代償は後でキッチリ払えよ」
「…胸も揉んでねえのに(泣)」

二人が天界に向かった頃。
「さーてユウたん、ユウたんっと…お。ちゃんとヤサにいるみてえだ、灯りついてら。…しかし何か空気が重いな?何だ?」
やがてヤサから怒号が聞こえてきた。
「哲…か?」

ユウのヤサの中
「ユウさん…オレ、ユウさんが信じられなくなったよ」
「いや…その…」
「オレの事一番愛してるって言葉を信じてたから、健の奴といちゃついてても我慢できた…のに今回はあんな女に…」
「だって…俺だってノーマルに彼女が欲しいんだよ」
「オレじゃ駄目なのかよ!?」
「だって…お前最近俺食う気満々だし(泣)俺だって攻めがいいよう」

「ユウたんてばどんどんヘタレになってんな(嬉)ま、それもいいんだけどな」

「分かった…ユウさんがそんなならオレにも考えがある…」
「浮気してやる!!」
「哲?!」

ダッシュでヤサから飛び出す哲。出際に健子とぶつかった。

無言で微笑む健子を睨みつけると、哲は走り去った。
後から慌てて出てきたユウだったが
「男前♪約束どおり抱かれにきたぜ」
「す、すまん。今それどころじゃあ…」
「玄人としての落とし前はきっちりつけてもらうぜ…なあ兄さん?」
健子はユウの顔を引き寄せ口付けた。
健子の熱いキスを受けながらユウは何故か健を思い出した
「あの…落とし前は後で…」
「そうはいかねえよ」
「哲う!!」

ずるずる

「小龍!!」
哲は見つけた小龍に叫んだ
「オレを抱いてくれ!!」
「黒シャツ…」
「阿佐田?阿佐田…お前一体どうし…」
哲が哀し気な目を向ける。近藤は言葉につまった。
「黒シャツ…オレはいつでも抱いてやるぜ。ただ優しく抱くのは、オレの性に合わないし苦手だが…それでもいいな?」
「…かまわねえよ」
「阿佐田、小龍ちょっと待てよ…」
近藤は強い調子で止めに入った
「そんな自暴自棄な事をするな」
「自暴自棄なんかじゃねェよ!!」
「とにかく訳を話してみろ」
近藤は哲にだけはどうしようもなく親身で優しかった

「…近藤…」
泣きそうな顔で哲は近藤に抱きついた
「阿佐田…」
少し困惑しつつも哲の背中に手を回す近藤。
そんな二人の一輻の絵のような麗しい友情に小龍は嫉妬した

「おい黒シャツ…てめえそんな生温い覚悟で抱いてくれなんて抜かしやがったのか?」
「…」
哲は真顔になった。
「天運のついたすげえ男と思ったのはオレの見込み違いだったか」
挑発する小龍だった。
それを見て焦ったのは近藤で。
「おい…そんな問題じゃないだろ、とにかく事情を聞いてからでも…!」
純粋に好意と思いやりから哲を庇う近藤は益々小龍を苛立たせた
(むしろ健に抱かれてる方がマシだ…あっちは体だけの付き合いだが…哲の方は近藤当人に『お前より大事だ』と言われた事もあるし。純粋な友情だと思って我慢しているが、何かの拍子で恋愛感情に転化したらどうするんだ?やっぱ近哲か?畜生許せない!!)
…とかいろいろ考え小龍はたまらなくなったが、その隙に近藤は哲から事情を聞き出していた

「ユウさんが…変な色気過剰な乳のでかい女に誑かされてオレを捨てようとしてるんだ…」
「…そりゃ…ツラいなあ…」
哲にだけはノーマルでいてほしい近藤は複雑な表情になった
哲は続けた。
「何か健に似た雰囲気の…凄腕の玄人で…」
「なに?!玄人?!」
「健に似た?巨乳の?!」
「知ってるのか、二人とも…」
まさかホテルで抱こうとしてました、なんて言えない近藤センセだった。
「ああまあ…ちょっと…な。」
言葉を濁した近藤に小龍が言った
「その女は近藤も食おうとしてた」
「小龍!?」
哲は眉をひそめた
「くそ…何者なんだあの女…あの腕からしてきっとノガミの新しい刺客かなんかだと思ったんだが、近藤にまで毒牙をのばすなんて…」
「(良かった。哲の信頼を失わずに済んだ)その女は天界のマッチを置いてったんだが…」
「天界の?」
「行ってみないか?」
「ああ」

天界。
突然の三人の訪問にキザと忌田は戸惑ったが、健似の女玄人の話を聞き、首をひねった。
「…そんな玄人はうちにはいねえぜ?」
「ジュクや上野で打ってるが見たこともねえよ…」
「でも確にこのマッチを」
「…うちのには間違いないが。…分からんな。…健似の女…か。そういやあれは」
昼ちかくの出来事を忌田は思い出した。
「健の部屋から女が一人飛び出して来たんだ…すげえふしだらなカッコで。しかも『俺は健だ』とか訳わかんねえ事言って。どうせ健が連れ込んだヘンな女かなんかだと思って追い出したが」
「で健は!?」
「そういや朝から見ないが…またどっかでフラフラしてんだろ」
三人は忌田の言葉に顔を見合わせた
「やっぱ…」
「いやまさか」
「でも健なら」
「ありえん事が有りうるな」
「だとしたらユウさんが危ない!!」
哲はユウを助けるため。小龍は奴隷くんを食おうとした健への怒りから、ユウのヤサへと向かった。

辛うじて今回難を逃れた近藤は冷や汗を流した。
「しかし健の奴どうやって…ホルモン注射か?!」
「ユウさんがスカートん中手つっこんでたけど、確に女だって言ってた」
「…手つっこんだんのか…」
哲は暫し考えてまた口にした

「そういやインチキ風水師がそいつに気の流れがどーとか、全く懲りてないとか言ってたけどなんか関係あるのかな?」
「風水!?」
「…そいつがどこにいるか分かるか?」
「ああ…だがどーする気だ近藤?」
「風水は少し心得がある」
「初耳だな、なんでまた」
近藤は自嘲気味に微笑んだ

「昔な…どうにもこうにも不運だから…悪いモンでも憑いてんじゃねえかと…霊能者に視てもらったり、占い行ったりした事があってな。そん時風水もかじったのさ。色々やったぜ…部屋の配置換えとか…色紙置いたりとか(泣)」
「近藤…お前…」
「関係ないが道服の近藤もいいな」
「…まあともかくよ。風水では気の流れが乱れたら良くない事が起こったり、邪が跳梁跋扈したりする」
「だが健はいつも邪悪だぜ?」
「まあ…とりあえずその風水師を探してみよう」

で一方ユウは
「…抱かないのかよ?」
全裸の健子に挑発されながら、一抹の不安から逃れられないでいた
(こ…こんなナイスバディの姉さんなのに…何故か健といるような感じがしてたまんねえ…すげえ食われそうで…恐い)
「(ユウたんてば勘づいたかな?まあいいや、女の体で体験出来るなんて滅多とねえしな)来ないんなら、こっちから行くぜ?」
健子はユウを押し倒すと服を脱がし始めた。

「いいガタイしてるな、兄さん…早く抱きしめてくれよ…」
(やっ、やっぱ食われんの俺?!)

そして哲たちはジュクの一角で
「おい、早いとこ金返してもらおうか?シシ」
「す、すいません!テナント料やらなんやらで…手いっぱいでして(泣)何なら無料で家相見ますから(泣)」
「いらねえよ…返さないならこっちにも…」
「ひいいい!!」
風水師は、信に脅されまくっていた。

「修羅場だな」
「だな」

近藤は信に近づくと
「これで足りるか?」
と財布から金を出した
「シシ…まあ誰が払おうが構わねえが…あんたらも物好きだな」

信が去った後
「ありがとございます」
「やっぱこないだの風水師だな。聞きたい事があるんだ」
「ひいっ!!黒シャツの悪魔」
「健っていうオレの百倍はタチ悪そうな不精髭知ってるよな?あいつに何かしたか?」
「いえ…私は何も。ですがあの男は気の流れに逆らい常に秩序を乱している…その反動で」
「性別が変わることも…ありえるのか?」
「今まさにあの男を襲っている現象がそれです」
「まじかよ…奴を元に戻す方法は?」
「あるにはありますが…」
風水師は顔をしかめ、そして邪悪な笑みを浮かべると言った
「それにはお足が少々高くつきますが」
足元見みやがった
…みんながそう思った

「なあてめえ…この世に金より大事なものがあるのを知ってるかい?」
「はて何でしょう」
「命だよ…てめえ自身のな」
小龍は微笑み、チャカをちらつかせた
「も一個の選択肢としてコンクリとドボンでも…オレはいいんだぜ?」
泣きながらインチキ風水師は言った。
「祭壇を組んで祈祷させて頂きます。無論タダで!!…けど本人がいないことには…(泣)」
「よし行くぞ!」
「ユウさんのヤサだ!!」
「…風水も高●易断も結局俺の不運には効果なかったな(泣)」

健子に押し倒され服をひん剥かれ、恥ずかしい所とかなぶられているユウたん。
その指やらの動きに彼の疑惑は増した
「ホント…あんた健なんじゃ…」
「乳はあるし、物はねえぜ?だろ?」
「でも…」
やっぱりどうしても健と重ねあわせてしまい、恐怖がつのるユウ。そこへ

「ユウさん!」
「て…哲?!哲ぅっ!!」
「…何だ、きやがったか?♪」
戸を開けて飛込んだ哲たち。

「…すげえ」
健子の全裸に、健と分かりつつも思わず呟く近藤。

だが他の二人は正体は健にしても全裸の美女を前にして、さして動揺しなかった。
「ユウさんを離せ!健!!」
「健?じゃやっぱりこの姉さんは…」
呟くユウに哲は言った
「そうだよ、健なんだ…ところで全裸のユウさんてすげえエッチな体してる(恥)」
「確かにな…責めてえぜ」
「お前ら…総受けの俺が言うのもなんだが男として間違ってるぞ(泣)」
「ううむ…こんな気の流れが最悪な空間は初めてですが…観念なさい。邪淫は罪、より気を乱す事になるのですよ」
「チッ…まあこいつが出てきたら仕方ねえか。ああ、俺は健さ…」
健は立ち上がった、モチ全裸で
「み…見えるってば(泣)」

「朝起きたらよ、俺ってばこんなエロい体のすっげえ美人ちゃんになっててよ…ハハ♪見ろよ、すげえだろこの胸」
「…巨乳だ…そして美乳だ」
「近藤お前何を言っている!いい加減目を覚ませ…あれは健健なんだぞ?!」
「すげえだろ?抱きてえだろ♪」
「…健、抱くならオレは男のお前のがいい!」
「阿佐田…(泣)」
「…何でもいいです。アナタ、この親切なご友人方がアナタを元に戻そうとしてくれます。だからさっさと…」
「嫌」
「は?」
「だってまだこのカラダ堪能してねえもん」
「馬鹿野郎、戻れなくてもいいのかよ?」
「ほら、男より女のがヤるのはイイってゆーし。それを堪能しまくってからでいい。この体でも博打は打てるしな」
「アホか。女は気を抜くと妊娠するし、月のモンとかいろいろややこしいだろ!?」
「こいつに説得なんて無駄だ」
「俺が女になってなんかお前らに迷惑かかンのかよ」
「そういや健が女になって困ることって別に…」
「むしろ嬉しい…かも」
「まあ釜掘られる心配はねえか」
一同真剣に考えこんでしまった。

「どうでもいいですけど、この人ずっと裸なんですが…」

(だが…あいつが女の儘だったら俺の事抱いてくれねえじゃねえか)
近藤はひそかに思った。
確かに巨乳は好きだが正体が健だと知ってるとちょっと…
「ン?センセってばそんなに期待してんの?」
「え?」
「健!女は攻め風受けなら出来るが…純粋に受けも攻めもできんのは男しか無理だろ!!」
「阿佐田何言ってんだ!!(泣)」
「…そうだな黒シャツ。さすがオレの見込んだ男」
「あなた方…どういう生き方してきたんですか」
「う〜ん確になあ…ユウたん男の俺と女の俺、どっちに食われたい?」
「どっちも恐ろしいわ!!(泣)」
「阿佐田は…阿佐田はこんな男じゃなかったのに(泣)」
「よく分かるぜ議員先生…」
何だか友情が芽生えた近藤とユウ
「?オレはずっとこうだろ?」
天然鬼畜の雀聖
「女なんざには快楽の真味は分からん。男こそだ!!」
受けた事ない癖に断言する密輸プリンス

「…分かった、じゃあ俺戻る」
「ふう…じゃさっさと祭壇しつらえますんで横になって下さい」


祭壇に横になる健。
もち全裸。
風水師は怪し気な呪文を唱え始める。

「なんか生け贄みてえだ…」
「大人しくしてりゃこれ以上ねえ美人だよなあ」
「でも健だぜ?」

風水師の呪文を唱える声が高くなり、カッと目が見開かれた。
「…うお?!何だ…光が!」
そして祭壇から発する光が収まった時。
祭壇の上にいたのは…

いつもの健だった
「おお…ちゃんとついてるよ」
いきなし品のない発言をし
「じゃ、復活した俺の大型爆撃機くんが使えるかリハビリ代りに…」
「えーオホン。一週間は気の流れを整える生活をして下さい」
「どんな生活だ?」
「生臭は厳禁。気の流れが悪いので賭場もダメです。勿論色事は絶対駄目です」
「それって俺に死ねって事じゃん」
「むしろ死ねよ健健」
「俺は禁欲なんてするつもりはねえ!別にそれで気の流れがどうこうなっても、知ったこっちゃねえよ」
「…絶対何があっても死なねえなこいつは…」
「この前みたいに飢えて暴れまわられる方がよっぽど怖いからな」
「…もう知りませんよ…(泣)」

とまあ、こんな感じで元に戻った健のいつもの生活が始まった。
だがやはり一週間は気の流れが不安定で…。

「…おお!見て見てまた健子になってる!!やっぱすげーエロいよ」
「…胸しまいなさい…(泣)」
「下もみる?♪」
ってな日々を送ったそうな。


今から八ヶ月くらい前につくったリレー小説話。こってこての性別転換ネタですが…やっぱ健は、女になったら美人なんでしょうか?どう考えても整った系ではないのにな、あの顔
まあ、色気はすごそうです