ドサ健!禁欲餓鬼道編

「ロン、ジュンチャン三色にドラが乗って…ハネ満だ」
「…負けた…」
「ふふふふ…今日はツキがねえみたいだな。でも勝ちは勝ちだ。言う事聞いてもらうぜ?健」
珍しく?てかマジ珍しく健に勝ったユウさん。今回のサシウマはお馴染みの
勝った方が負けた方に一つ命令できる
というモノ(但し十日リミットで)

「仕方ねえなあ…でなんだ?十日間ブッ通しでヤリたいのか?」
「なんでンな拷問されなきゃなんねえんだ。命令だ <これから十日間、ずっと禁欲する事。野郎も女も無し>だ」
「無理(あっさり)」
「無理じゃねえ!!やるんだ!!玄人だろ?負けたんなら痛ェ目みろ」
そしてとにもかくにも、玄人なんで健はユウの言に従うよりなかった。
「十日間〜?まじかよー」
はっきし言って健には未体験ゾーン。
「一週間以上もユウたんとも忌田とも…誰ともやっちゃいけねーって。拷問じゃんか」
「玄人ならつべこべ言わない!さて…じゃあ俺はちょっと哲の顔を見に…」
「ああっ俺も!!」
「ダメ。じゃあしっかり守れ。守れなかったら玄人失格だぜ」
「ひどいぜユウたん(泣)」

こんな事なら昨日ユウたんが
「もうやめてくれ」
った時やめなきゃよかった、とか忌田が仕事で忙しいつった時に無理矢理押し倒せば良かったとか…
「まあ今日は博打打つか」
健は腹いせに二流玄人を何人か叩きのめし、眠くなった頃に飯を食って寝た。
その日はそれで済んだのだった

禁欲一日目

「やりてーなー」
一晩一人で寝ただけでもうタマってしまった帝王
「する事ねえし…飯食って寝て博打打つしかやる事ねえよ、ふああ…」
「なんだ帝王ごろごろしくさって。邪魔だから賭場いけ!!」
「まだ開いてねーんだもん。なあ一日誰ともやらずに楽しんで時間潰す方法知んねーか?」
「んなの…いくらでもあるだろ…いい歳こいた大人だったら」
「ねえよ?」
「こいつ重症だ…」
「まあヘタレに聞いてもしゃーねーか…はあ」
「失敬だな!!(泣)」
「おい木座、暇だから少し揉んでやるよ」
「は?」
「博打だよばーくーち、てめえもいつまでもハンチクはヤだろ?」
「まあそうだけど…」
「だから俺が鍛えてやろってンだよ。いやあ俺、自分で言うのもなんだけど部下思いの総帥だなあ」
「今暇つぶしって言わなかったか」
「まあまあ。じゃまずは積み込みからな」

がらがらがら雀牌を卓にあける音)

「五秒で積め」
「は?」
「玄人相手じゃてめえみたくタラタラ積んでたら牌見られちまう。だから早い積み込みが肝心なんだ」
「あの…そんだけ早かったら要る牌見てる暇ねえし…だいたい無理だよ!!あの坊や哲だってそこまで早くねえだろが!!」
「ヘタレから抜け出してえンだろ?(玄人の目)四の五の言わずにやれ」
「ひいっ」

ジャラララ…
「遅い!!てか遅すぎだ!!何時間かかってんだてめえ!!」
「くうっ…!五秒って…やっぱ無茶…」
「言ってる間あるなら積め!!」
「…」

三時間後。
疲労こんばいな木座神と不満気な健様。
「とっことんヘタレな。お前」
「ち…畜生…」
「も一回やれ」
「も…もう腕が…」
「あ、忌田がシャツのボタン外してる!早く積まねえと見逃すぞ!!」
「まじぃー??!!」
じゃららら。
「…八秒か。まあヘタレならこんなもんか」
「てて帝王どこにい…あ…まさかブラフ?(泣)」
「んーキザで遊ぶの飽きた。外行くか〜」

ふらふら歩いていると何故か ロリコスをした美少女…じゃなくて雀聖がいた
「哲ぅ…」
抱きつこうとした健だが玄人としての最後の良心からかろうじて押し留まった
「なあ健、お前禁欲中なんだって?」
「ああ…でそのカッコは何なんだ?」
「いや。お前の玄人としての根性を試そうと思ってさ」
鬼畜な雀聖がそこにはいた
「どーだ?可愛ーだろ?」
「ああ…」
「喰いたいだろ」
「…」
「やってみろよ?そしたらその瞬間てめえは玄人失格だ」
哲はそのロリコスに似合わず邪悪な笑みを浮かべて挑発した
「どうだ?健?食いたいか?」
「…くそ〜」
「いいんだぜ?別に抱いても…ただしてめえは玄人やめる事になるけどな…」
可愛い顔してすげええげつない哲。理性が保てそうにないとみるや、健は全力疾走で逃げ出した。
「くそ…期限切れたら必ず抱きにくんぜ!哲!!…うう、もったいねえ…」

健は天界に戻ると忌田には見向きもせずに部屋に閉じこもった
「おい健?飯つくってあるぜ」
「置いといてくれ」
「どうしたんだ?」
哲に刺激されたので美味そうな人物を見ると飛び掛かりたくなってしまうのだった
「くそ…まだ一日目かよ…先は長いなあ」
健は珍しく泣きそうになった

翌日、禁欲二日目。

やっぱり忌田には会わずに賭場をブラつく健
「ふう…さいわい美味そうな玄人はいねえな…」
安心していると誰かが声をかけてきた
「兄さん隣空いてるかい?」
声をかけてきたのは…ギリ師のトビちゃんでした。
「まじかよ…萌え…」
「どうしたんだ?」
無言で健は賭場から走り出た。そしてシャウトした。
「ちくしょー!!賭場もダメ、街うろつくもダメ、天界もやべえ…どーしろってんだ!!」
健が去った後。
「兄さんご苦労だったな…」
ユウさんがトビにお礼を渡してました。
「一日でへばるかと思いきや…ねばりやがる」

健は行く当てもなくふらふら町を歩く。とポスターが張ってあった
からだを動かしてモヤモヤを健康的に発散させよう
「これだ…」
そして。

がががが

「おい新入り!!次はアスファルト剥がすぞ」
「おうっ!」
「いやあ良く働くなお前」
「へへ…まあな」
道路工事現場で働く健の姿があった
(これなら萌玄人もいねえし、する事なくてモヤモヤする事もねえ。しかも適度に疲れるからよく眠れるしな)
健さまそれ堅気の仕事です(笑)しかし性欲の昇華に体を動かすのは理に適ってますしね。
しかーし、いつも健にひどい目に会ってる面々がこんな絶好の復讐チャンスを逃す筈なかった
「へえ健健が禁欲?もし破ったら玄人やめるか…へえ」
もちろん総攻めの鬼畜プリンスも
何だか爽やかにカタギに働いちゃって、気分よく天界に戻りその日は無事に終ったのだった。

そして禁欲三日目。

職場?てかバイト先に向かう健の前に
「よお健健…」
「龍龍!」
「ふふ…お前今禁欲しているらしいな」
「…」
「実はな。オレ今日は下何も穿いてないんだぜ?」
「ま…まじ?!」
「ああ。ほら」
裾を引き上げ股の付け根ギリギリをさらす小龍。
確に…何もつけてない模様。
「ほら…今ならいつでも来ていいぜ?」
「くう…」
だっ!
走り出す健。
「逃がすか!」
小龍は健めがけてワイヤーで編んだ網を投げ付ける。
「…ふふ、逃がさねえぜ」
網にかかった獲物に小龍は歩み寄る。
だが。
「…何だ…お前…」
「奄美のハブ…鬼畜プリンス?一目、顔をみたかったんだ…」
「ええい!変わり身か!健健の奴!!」
健は全力で走って逃げると仕事先でやはし全力をもってツルハシを叩きつけた
「おい新入り…」
だが爆発しそうなエネルギーをぶつける健の耳には入らない
「そこ水道管」

ぶしゃあああ!!
水が激しく吹き出した

当然首になった健の前に今度は近藤が現れた
「…あんたも俺をからかいに来たのか?」
珍しくちょっとナーバスな健にためらいつつも近藤は言った
「いや…バイト先紹介してやろうと思ってな」
紹介された先は
「おじちゃあん、この本返すね」
図書館の児童室のカウンター業務だった
「確かにこれならガキばっかだし萌えなさそう」
けど。そうとばかりも言えなかった
「すいません…この本こちらに置いてますか?」
「ん?」
顔を上げた健の目に若い美人なおかーさんの姿が飛込んできた。
「ここもアウトかよ!!」
「?」

そして。
「…おっさん…」
「何じゃ、健か?」
やつれた健が訪れた先は神保の教会だった。
「一体どうしたんじゃ健!?地獄に堕ちてもまったくヘコたれんかったお主が…」
「オッサン…俺もう疲れたよ」
「…一体何が…」
健は神保さんに洗い浚いブチ撒けた
「健よ…それは天がお主を正道に立ち返らせようとする為の試練じゃ」
「俺十日も保たねえ…」
「うむうむ。しばらくここで過ごすがよいぞ。心が清められるかもしれん」
「うん…」
打ち拉がれた健はなんだか可愛かった
そしてその日から健の教会での健全過ぎる毎日が始まった。

翌日、禁欲四日目。

朝四時にからのミサに参加する。
勿論ぼーっとしてて祈りの内容など聞いてる筈もなかったが、それでも一応じっとしてる健に神保さんは満足そうだった。
祈りの後。
「健、耐えるのじゃぞ。この試練を乗り越えればお前は正道に戻れる!」
「うん…おっさん。俺死なずにいけるかなあ…」
「お前らしくもない、弱気なことを。大丈夫じゃ、きっと神様が守って下さる!」
って訳で屑拾いをし、教会の清掃をし、子供たちと戯れる一日。
その日の健は一ミリの業も積まず神保さんを感涙にむせばせた
「何だ…つまんねえな」
だが健の今まで積んだ業の前ではそんなものいか程の功徳にもならないようだった
で、毒のかたまりのような人間があまり清らかな生活をしてるとこうなる
「健…お主やつれたのお…」
「…だってよ…博打のばもねえ生活で刺激ゼロだし…おっさん…俺地獄のがよっぽど楽しかったぜ」
「お前といい房州といい、玄人というのは全く…まあ言うてもはじまらんが」
「健よ。オヌシこれを機に堅気になろうとは思わんのか?」
「ぜってえ無理。二日で死ぬ。てか俺が玄人やらなくて誰が玄人やるんだよ」
「業が深いのう…」
ため息をつく神保さんに健は言った
「オッサン、俺やっぱ出ていくよ。別に博打打っちゃ駄目たあ言われてねえし。業だけ積んでねえと多分死ぬ」
「まあ…好きにするがよい」
で健が転がり込んだのは春木の家だった

禁欲五日目

なんといっても哲也一の萎えキャラの家である。

飯時。
「ふーりふりエプロン〜♪」
「萎え〜」
入浴時
「いやん!まだ洗ってるまっさ〜い中♪」
「激萎えー」
就寝時
「どのネグリヂェがベストかな〜?♪」
「萎え大賞あっげーる」

って訳で刺激も何も萎え萎えな日々なのだった。
健は確かに萌えはしなかったが自分の強烈すぎる自我が崩壊していくのを感じ恐怖した
「こ…このままだと俺は萎えキャラになっちまう」
恐怖心…その疾うに克服した感情を健は感じ春木の元を去る事にした
「おい信、しばらく泊まるぜ」
「否だっつっても泊まンだろ?宿賃払えよ」

健の禁欲六日目。

まだ約束の日まで半分残っているが、健はもう自己限界と戦い始めていた
地下の迷宮で暮らし始める健
「何かもぐらになったみてえだ…」
頭のなかをラバーたちの顔がよぎる。
「くそ…早くこんな生活抜け出してえ…」
地下牢にでも入ってる気分だった。
「同居人は宇宙人だしー母船来ねーかな…ハハ」
禁断症状でかなりやばい状態。

「おい健てめーに客だ」
「は?だれも知らねえ筈だぞ…信まさかてめえ」
「シシ、まあ金積まれりゃな」
訪ねてきたのはユウだった(しかも着流しで)
「ユウたん…またそんな美味そうなカッコで」
健は減量中のボクサーのように生唾を呑んだ
「よお健、達者でやってるみてえだな(にやにや)」
「畜生そんなに困ってる俺見るのが楽しいかよ」
「そりゃあなあ、滅多にお目にかかれるもんじゃねえしな…」
ユウは嬉しそうに笑った。
「でもよ健…」
「?」
「ここしばらくお前に抱かれてねーもんだから…俺も体がうずいちまって…」
ユウは健に切なそうな表情で流し目を送る。
「お前の…その腕で抱かれてえなあ…」
「ユウ…たん」
フラフラとユウに歩み寄る健。ユウは単の襟元をはだけて更に健を挑発する。
「健…来て…」
危うし健の玄人生命!!
健は着流しのユウを抱き締め口付けた
「健…」
またいつもに増して色っぽいユウ。さすが演技派
「ユウたん…」
うっかり寝床にひきずっていきかけた健だが、彼の玄人としてのプライドが最後の歯止めになった。

どん

ユウを突き放し健は言った
「惜しくねえのかよ?」
「そんなに俺に玄人やめさせてえのか?」
「へえ…」
ユウは感心した。そして玄人としてだけなら純粋に健をちょっと尊敬した。
「さすが…上野のドサ健だな」
「早く行けよユウたん、まだ先は長えんだ…」
痩せたライオンのような健の姿が少し痛ましくもあったが、いつもがいつもなんで
「まあ、ちょっとは業軽くしろよ」
「…」
ユウは美味そうな笑顔を残し去っていった。

七日目

健は地下迷宮の中で布団をひっかぶっていた
「…マジ大丈夫か?」
信すら心配する程顔色が悪い
「…話し掛けるな…そろそろお前すら美味そうに見えてきた…」
「オイオイ…勘弁しろよ」
信は不気味そうに仕事へと向った

「腹減った…食いてえ…」
減量中のボクサーのように呟く
「とりあえず眠っちまいてえが…腹が減って眠れねえ…」
目をつぶれば眼前にハレムの住人達の艶めかしい?姿が浮かぶ
「何か…何か気が紛れる事はねえか…」
集中力がないので博打は打てない。だが何か他に…

そして信は天界にいた
「おい、おめえらん所の健が今うちにいんだが…何か死にそうな面してんぜ」
「なに?!全然帰ってこなくて心配してたんだが…お前の家に?!」
「おいおい帝王に限って死にそうなんてこたあ…」
「何なら見にくるか?禁欲中とかでもう薬切れたシャブ中みてえだぜ」
「…木座神…ちょっと見てきてくれないか?この…弁当もって」
「は、はあ…オレは全然構わないですけど…まじかよ…あの帝王が?」

そして信のヤサ、てか地下迷宮
「…キザ、か…?」
「ま、まじだった」
やつれてはいるが目だけはギラギラしていて死神みたいだった
「ああ…忌田さんから差し入れ…」
健は無言でひっさらうとガツガツ詰め込んだ
「…一体…何があったんだよ」
だが健は答えず、じっと木座の顔を見て呟いた
「お前も…美味そうだな…」
「ひ…ひいい…」

但ならぬものを感じた木座は一目散に逃げ帰ると忌田に一部始終を報告した
「あれ帝王じゃないっスよ…なんか憑いてますよ絶対」
何とかしないと…うちの子が死んじゃう!!
父性本能だか母性本能だかで忌田さんはそう感じた。
神保さんやら近藤っちからも健の孤独な?闘いを聞き
「…春木、もう健が萎えるのは多分お前くらいだ…だからこれを渡してきてくれないか?」
春木にあるものを託し再び健の元に向かわせたのだった。

時に禁欲八日目

健は眠るに眠れず、かといって何も出来ずに布団の中でまんじりともせずにいた。
もう何もかもどうでも良くなりそうな彼の自我を支えていたのは玄人としての強烈なプライドだった
「健さま♪」
春木が現れた
「…さすがにてめえにゃ食指は動かねえが、何か気に障ること言いやがったら殺すぞ」
「おう、アイムアフレイド…いや、私はこれを言付かっただけで」
と春木は本を取り出した
春木から受け取った本のページを繰った。
「…こりゃあ…」
漢字ドリルに計算ドリル。ちなみに尋常小学校対応です。
「では健様私はこれで♪シーユ〜♪」
春木が去った後。
「とにかくなんかに集中しねーとな…やってみっか…」

する事ない健はドリルをひたすらやる事にした。ちなみに一年から六年まで全部あります 元々頭はいい上に、玄人のすさまじい集中力がある彼の事。
一日であっさりマスターしてしまった
「これで漢字もはやさの計算や分数もバッチリだな」
何だか充実した気分になった健だが、そこでいきなり虚しくなった
「ンなモンが賭場で役に立つかよ」

禁欲九日目

「くそ…まだ二日ある…」
穴ぐらん中で悩む健。何だか戦場のピアニストの主人公みてえ。
「何か他にやること…」
健はふと部屋の壁に目をやった。
「…あ、銃だ…てか手留彈もある…」
健はひらめいた。
「おい信」
「何だ気味悪いからあんま寄るなよ」
「爆弾の造り方って知ってるか?知ってたら教えろ!!」
「…また物騒なこと考えてやがる…」
信から教えてもらい材料の調合に取り掛かる健
「確かこーゆーのを悪ガキにマッチ、気違いに刃物てンだよな」
「へへ、いい感じだぜ」
「爆破テロでもやんのかよ」
「いーや…だが似た様な動機だぜ」
「?」
「復讐だよ(ニタリ)」
「復讐、ね。だが俺の商売に支障ねえよう頼むぜ」
「ああそりゃ大丈夫…なあついでだから、トラップとここにある武器の使い方と…のサバイバルの戦法一とおり教えてくれよ」
「授業料は頂くぜ…何かとんでもねーことになりそうだな、シシ」
そしてミリタリーづくしでその日は過ぎていった。

十日目

今日が終ればパラダイス…てか、健以外の人物にとっては悪夢のような日々が始まる
「ふふふふふ…俺をさんざ馬鹿にしくさった落とし前はたっぷりつけてやるぜ」
健は限界まで追い詰められた自己の均衡をその思いだけで保っていた

「…ま、一応市民の義務としてな」
信は健の目につかないように電話をかけた
「今日の十二時までにとりあえず東京から離れとけよ」

恐怖の大魔王襲来の危機にユウたちは対策を講じていた。
「あいつはどっから襲ってくるか分からねえ…しかも信の奴、ゲリラのバッコするジャングルで十年は生き延びられるサバイバル戦法を叩きこんだとか…どうする?」
「あいにく軍隊に知り合いはいねえよ…」
「旧日本軍の武器なら山ほどあるが…どうも奴の手元にあんのは最新式の銃に爆弾…畜生ふざけてやがる」
「房州さん…オレは奴に勝てるだろうか…」
とそこに電話が鳴った
「はい、もしもし…」
「阿佐田か?」
「近藤!?」
「何…おい貸せ黒シャツ…近藤?今どこだ。大変な事態に…」
「話は聞いた。だから俺のトコ来ないか?」
「どこにいるんだ」
「核シェルターだ」
「核シェルター!?」
「先の戦争中に作られた奴でな。広島に落とされた新型爆弾級のモンにも耐えられるように設計されてる。だから多分健でも平気…だろう」
「近藤…ところでお前は健になんか嫌がらせしたのか?」
「いや。だが今の奴にそんな理屈は通じないと思うが」
一行は近藤の言に従い核シェルターへと向かうことに。

しかし。
「へへ♪そうきたか…けど逃がさねえぜ♪」
電話は健に盗聴されていた。
「この十日間の鬱憤はらしまくっちゃる」

ぴっぴっぴっぽーん。午前零時の時報をお知らせします

「来た…約束の期限だ」
「まあ食料もあるからいざとなったら十年でも閉じこもってられるけどよ…またお前らなんでそんな挑発したんだ。予測は出来た事態じゃねえか」
「だって…健の野郎の玄人としての覚悟を確かめたかったんだ」
「オレは純粋に嫌がらせだ。いたぶりがいがある奴をいたぶらねえのは鬼畜の名に恥じる!!」
「普段の意趣返しだ」
「こいつらは…」
「しかしばかデケエシェルターだなあ…端がみえねえぜ」
「無駄なもん造ったもんだ」
「うす暗くてあんまいい気分じゃねえな」
「贅沢をいうな。とりあえずここら中からでないと開かないようにロックしてある。これじゃあ健の奴も…」
「フフフ〜ん♪」
「その声…ま、まさかっ!?」
暗がりからギラギラと目を光らせた健が、姿を現わした。

「ど…どっから涌いて出たんだ健!?」
そんな抗議もどこへやら。飢えを満たす残忍な快楽に目をギラつかせた健には通じなかった
「中からしか開かねえって事ァよ、誰からも邪魔されねえって事だよな」
そして唇を舐める
「一月でも二月でも俺の満足するまで…」
「やばい…これじゃむしろ檻に閉じ込められたようなモンじゃねえか」
「さ。おとなしく抱かれてもらおうか」

(小龍…)
(近藤…)
二人は通しで語ると、いきなりユウを健の前に突き飛ばした。
「えええ〜?!」
「ユウさん!」
ユウを抱きとめ愛撫を施しつつも
「逃がすかよ」
出口に向かう近藤たちに健は笑みを放つ。

走る近藤の足元に何かが当たった
「?!」
「いけねえ、近藤逃げ…」
「うっ、うわ!!」
網に絡み取られ宙吊りになる近藤。
「くっ!待て今助ける!」
「無駄だよ…自分の心配をしろよ?」
「なっ…」

シュコー

周りに煙が充満する。
「げほっこ…れは…」
「心配すんな、しばらく体が痺れるだけさ。害はねえよ」
ガスマスクを一人着用しながら健は言う。
「…う…体が…駄目だ」
「お…哲がいねえ…」
さすが雀聖。隙を見るのは誰よりも巧みだった
「まあいいか。ここの鍵は…センセが持ってんだしな」
近藤を引きずり下ろすと同時に鍵を巻き上げた健
「さあて龍龍?最初に突っ込んでもいいけどよ…折角だから嫌がらせだ。そのままセンセがヒーヒー言うのを見てろよ。じゃセンセ?とりあえず口で満足させてもらうぜ?気のねえサービスしたら即、龍龍食うからな」
「クソ外道が…俺が何したって言うんだよ(泣)」
「ユウたんは俺がたっぷり愛撫してやるよ」
「くっそう…」

体が動かない苛立ちと最愛の奴隷くんが健に奉仕する様をみて、小龍は歯がみした。
ユウはユウで常より更に激しい健の愛撫に涙混じりであえいでいた。

一方哲はシェルターの深部にまで逃れていた。
(…さて、どうしよう)
哲は悩んだ。
このまま耐えていてもジリ貧だ。だが奴は強すぎる(てかヤバすぎる)真正面から行っても無駄だ…しかし友を見捨てる訳にはいかない
「房州さん…オレは一体どうすりゃいいんだ」
ンな無茶俺に聞いてやるなよ、と言いたかったろうがお父さんは答えを啓示してくれた

一方
「さあて…じゃそろそろ突っ込むぜユウたん」
「は…もう……」
「センセ?俺の味はどうだい?」
近藤は眼鏡についた白いものを拭き取りながら黙ってうなずいた
「はは…心配しなくても下の口も俺ですぐにいっぱいにしてやるよ」

と、暗がりの奥からなにかがふらふら歩いてきた。
「怖え…」
「房州さん…怖いよ…(泣)」
「ん?哲…か?」
「黒シャツ…?!」
ニヤり。
健はユウと近藤から離れると声のする方に向かった。
暗がりで哲は震えている。
「どーした哲ぅ?ブルっちまったか?大丈夫…初めは痛ぇかもしんねえが…病み付きになんぜ?」
「…ほ…本当に…?(泣)」
「ああ、それに俺は巧いからな…満足させてやるぜ」
健は哲を引き寄せた。
「あ…」
「いい顔してるな…」
脅えた色の瞳、だが瞬時にそれが玄人の目に変わった。

健の腰から鍵をもぎとり、それを近藤に投げる。
「やりやがったな…けど哲お前は逃がさないぜ?」
健は哲の黒シャツをめくった。
「…怪我するぜ?」
「哲、てめえ…」

白い華奢な体にはダイナマイトが巻き付けられていた。

「くくく…俺にンなモンが脅しになると思ったのか?」
「じゃあやってみな。粉微塵にしてやる」
「阿佐田…開いたぜ」
「逃げろ近藤。オレは…ここでこいつと決着をつける。健、てめえに犯される前にオレはこいつに火つけるぜ…骨も残らねえ…玄人の死に様としちゃあいい方かもな」
「ハハっ、さすがだぜ哲、俺と互角に渡りあっただけあらあ。じゃあここで色っぽくダイナマイトで情死としゃれこむか?え?」
「哲!!頼む無茶は止めてくれ!」
叫ぶユウ。

そしてなんとかシェルターという名の地獄の檻から脱出した近藤と小龍だったが
「動けるか?」
「いや…まだ痺れが…クソあのケダモノめ」
「…阿佐田が心配だ」
「黒シャツなら平気だ。奴には天運がついてる」
「でも天惚けだからどこでポカしやがるか」
「仕方ねえな…まあ黒シャツ相手に嫉妬はしねえよ。助けに行ってやれ、これ持ってな」
小龍は近藤にあるものを手渡した

「健!!阿佐田を離せ!!」
「なんだ先生?戻ってきてくれたのかよ、うっれし〜ぃ♪おい、後ろに何もってんだよ?」
「…阿佐田…」
「…近藤?」
「避けろ!!」

バウンっ!

しばしの沈黙。
「なっ…近藤お前!」
近藤は、いましがた撃ったばかりの短銃を下ろした。
「…先生…」
健はよろめきながら脇腹に手をあてた。
「大丈夫だ、ただの麻酔銃さ…ただし象用のものらしいが…」
だが健の顔にはまだ悪魔のような笑みが
「俺にンなもの効くかよ」
健は立ち上がり近藤を抱き締めた
「…健!?」
「…これが効かなかったら…お前人間じゃねえよ」
茫然とする近藤に健は答えた
「何でもいいさ…じゃセンセが最初な…」
半分覚悟を決めた近藤だったが

健の手が弛む…

ばた。

さすがに倒れた健だった
「良かった…」
「こいつも一応人間だったんだな」
ちなみに象用の麻酔銃をくらったら普通の人間なら即死しますから

とりあえず麻痺が解けた小龍は、健を一生シェルターの中に閉じ込めておくべきだと主張したが。さすがに温情派のユウと再戦を望む哲によって却下となった。
代わりに、ジョジョでディオを閉じ込めたような棺に健を押し込め、鎖で縛りまくった挙げ句ナマモノとして天界に送りつけた。
「…本当化けもんだよありゃあ…」
「二度とこういう事がないよう頼むぜ」

天界では
「ちわーす、宅配便でーす。ハンコお願いします」
「ん?危険物!?」

ガタガタガタ

「い…忌田さん動いてますよ」
「あのハンコ…」
「なあ、これ送り主は誰だ?」
「さあ…じゃこれで失礼しますね」
とりあえず二人で中に運び込み
「開けるか…」
「え!?やめましょーよ!!てかどっかに捨てるべきっスよ」
「裏社会に生きるモンがこの位でビビってどーする?」
「だって…暗黒のオーラが…」
「ならいい。俺一人で開ける」
「いやンな訳にはいかねえっス」

せーの

数日後…。
天界からも健からも全く音沙汰ないのをいぶかしみユウと哲は一しきり武装して天界に赴いた。
「本日休業…か」
「ユウさん、これ!」
天界の看板に貼りつけられた紙を見て…ユウは絶句した。
「次はお前の番だぜ…か。あいつ…ちょっと字うまくなったんじゃないか?」
哲の言葉も耳に入らずユウは恐怖におののくのだった

アタマの悪い話です、これに限った事じゃありませんが
性欲というのは昇華させると素晴らしいエネルギーになります、と保健で習いました。確かにすごいエネルギーです…発散方法が間違いまくってますが