木座神改造計画…早く萌えキャラになりたぁい
「…」
「なんだあ木座?何ジロジロ見てんだ?」
「くっ、クソ帝王…何でもねえよ」
「?何か視線がいつもと違うなあ(勝負師の勘)何か言いてえ事あんのかよ?」
「…」
「あーさては俺に惚れたんだろー!!」
嫌がらせを言う健。
いつもなら
“クソ帝王”
と怒りだす筈の木座だが…何故か黙って俯いてしまった
「…オレ…オレ…」
「…おいおいマジかよ。お前にゃ惚れられたってぜんぜん萌ねえよ」
木座は低くうめくように呟いた。
「てめえに…」
「ん?」
「節操なしのてめえにすら萌えられねえオレが…忌田さんに振り向いて貰える筈もねえ…」
「ああ?んなの分かりきったことだろ?」
「オレ…修行してくる…」
「んあ?」
「てめえが速攻押し倒したくなるよーな萌えキャラに…なってみせるんだ!!オレ旅に出る!!(泣)」
木座神はダッシュで走り去った。
勢いよく走り去ったものの、すぐに走り疲れた木座がとぼとぼ歩いていると
「木座神さん?」
「あんたは…碧さん…」
「どうしたの?元気がないわね」
木座は疲れてはいたものの、気分だけは高揚していたので、彼女にあらいざらいぶちまけた
「(そんな無駄どころか有害な努力しなくてもいいのに)そんなに萌られたいなら…うちの主人をとりあえず見習ってみたら?」
「おお、そうしてみます」
「今の時間は工事現場で働いてる筈よ」
碧に教えてもらった現場に足を運ぶ木座神。
「やっぱ絵だけじゃ食ってけねーから…大変だな」
現場につくと、そこに澄んだ目の男前はいた。
声をかけるが、もくもくと土木作業に打ち込むラバは気付かない。
(…この純粋さが帝王のツボなんだろうか?)
やがて休憩時間になった。
無言で弁当を受け取り、無言で広げ無言で口に運ぶ。
一切口を効かないその姿は、思いっきり浮いていた
「…ラバさん?」
恐る恐る話し掛けてみると
「あんた、木座神か?」
「はあ…」
カタギに迫力負けする玄人
「ところでキツそうな仕事だけど」
「別に博打に比べりゃ大した事じゃない」
「はあ、そおっスか…いつ絵描いてるんスか?」
「夜だ」
彼の簡潔極まる話を総合すると、ほとんど寝も休みもしていないらしい
「そりゃキツいだろやっぱ」
「絵で飯食えるなんて思っちゃいない。好きな事して生きてるんだ。別にキツくもなんともない」
やはり澄んだ瞳のラバに、木座は今まで天ボケとかさんざ罵った事を深く反省した
「確かに…博打の方が儲かるんじゃないかと思う時もあるがな。あいつとの約束がある」
何だか萌え♪とかそーゆー問題じゃなく、崇高な男
「…エラいですね」
「俺が?まさか。食えない画家に過ぎないんだ。ここの現場仕切ってるのはあんたのトコの総帥だろ?それに比べりゃ…」
「うわホントだ!!うちの会社だよ!!」
総帥は馬鹿な事しかしなくても組織は回るのであった。
何だか普段の自分が情けなくなった木座が立ち去ろうとすると
「おいラバ!!」
現場の同僚が因縁をつけてきた。
あまり人と関わりたがらない彼は、やっぱりここでも浮いていて目をつけられていたらしい
「オイチョしねえか?」
「博打はしない」
ラバの物言いに案の定、食ってかかる一同。
「てめえこっちが誘ってやってんのに、いつもいつも!」
「別に頼んでない」
「ちょ…あんた…」
ラバの横で蒼くなる木座神。
周囲に一触即発の緊張感が漂う。
と。
木座神は思い直した。
オレは萌えキャラになるべく男気を身に付けに来たんだ。ここでこんなド素人どもにビビってちゃ玄人の名が廃るぜ!!
「おいっ!!そんなにやりたきゃオレが相手してやる!!」
「…てめえ…何だ?」
「ふふふ…聞いて驚け(てか驚いて)オレはノガミグループでその名も名高き(ヘタレとして)玄人、木座神だ!!(びしいっ)」
「知らねえ」
「…(でしょうね)」
「ん…?お前そういや劇場の工事現場にいなかったか?」
「ぎくーん」
「そうだ、確か蹴られてたぞ」
あ…あれは愛の一つの形なんだよ!と叫びたい木座神だったが、
「要はチキン野郎か」
「ピーピーわめくなチキン野郎」
「ち…違う!!(泣)」
何か事態は妙な方向へ。
危うくリンチにされそうになったキザだったがラバが口を挟んだ
「こいつはあのノガミのドサ健の直属の玄人だ」
「ドサ健!?」
一様にびびる人々。さすがに帝王の悪名は知れ渡りすぎていたらしい
「いや…オレは忌田さんの部下だから…」
だがまあ名目上は忌田は参謀な訳だから、直属は帝王の筈
「あのドサ健の直属…じゃあさぞや強ェんだろな…あんまそうは見えねえが」
「いや、一見ヘタレっぽい奴ほど実は強いモンだし…」
人々は勝手に納得してくれた
「おみそれいたしました、木座神さん」
「…はあ(オレ悪運強いのかもしんない…)」
微妙に感慨深いキザ。
やがて勤務時間が終った後、ラバは言った。
「…すまなかったな」
「え?い、いやオレは別に何も…てかむしろ助けてもらった方で」
「俺はどうも人づきあいが下手でな」
「…いや、なまじ流されて生きてるオレみたいなのより…無茶苦茶すげえよ、男前だよあんた」
何だか情けなくて泣きそうになりながら呟く木座神。
「あんたくれえの度胸と信念が欲しいよ…」
「度胸と信念か…」
ラバは感慨深げに呟いた
「そんな大したものじゃない。ただ不器用なだけだ」
なーんて恥ずかしい台詞が異様に似合うラバがすげえ羨ましい木座だった
(そうか…この人が天ボケに見えるのは冗談とか軽口とかを一切叩かないからなんだな)
そーゆー人を朴念人いいます
「礼にもならんと思うが…うちで飯でも食っていってくれ」
「ああ、喜んで」
家に着くと
「お帰りなさいあなた♪食事にする?お風呂にする?それとも…わたし?」
奥様の軽いジョークが出迎えてくれた(木座がいるのに)
だが、ラバは真顔で答えた
「客づれなんだ。木座神、あんた風呂はどうする?」
「いえいえそんな。オレは遠慮しときます」
「そうか。じゃ俺が先に風呂を使わせてもらう。上がったらすぐ食事に出来るよう準備しておいてくれ」
「分かったわ」
「…冗談が全く通じねえ…す、すげえ」
「フフ…こういう人なのよ」
ラバさんが風呂につかってる間、木座神は碧に話をもちかけた。
「あの…ぶっちゃけオレが萌えキャラになるのに…どうすればいいと思います?(泣)」
碧は答えた
「やめた方がいいわ」
「だって碧さん!!オレ…オレ…あの節操なしの帝王にすら萎えられちまうんスよ!?」
「いいじゃない。平和で」
「人としての尊厳に関わるンすよ!!」
「そんな尊厳いらないと思うけど」
「あがったぞ」
風呂上りのラバはなんだか異様に艶っぽかった
「これだ!!」
「は?」
「色気だよ!!オレには色気が足りないんだ」
「何の話だ?」
「すいません!!ちょっとオレ用事思い出したんで失礼します!!」
走り去る木座神。
「…努力家なのに…努力するべき事がズレまくってるわ」
「勤め人は大変だな…」
「あなた…それは違う…」
そして木座神が訪れた先は。
「御免!!」
「あら…」
「珍しいわね、キザちゃん♪」
タミミミの店だった。
「タミィ、ミミィ、オレを…女にしてくれ!!」
不審な顔をするタミミミに木座は熱く事の次第を語った
(無駄な努力ですわ)
二人の顔はあからさまにそう語っていたが、木座は退かない
「そこまで言うんでしたらやりますわ」
「同僚のよしみですもの」
「但し♪」
「私たちの好きな様にメーキャップさせて頂きますことよ♪」
そして二時間後
「出来ましたわ」
手渡された鏡を、木座神はおそるおそる覗いた。
「…な、なんか…これ…」
「お気に召して?」
「ウフフ、久しぶりだから気合い入っちゃいましたわあん♪」
「乙女じゃないYOー?!!(泣)」
鏡の中にいたのは木座神の好きな清純派乙女とは正反対の代物だった。
まあ、タミミミのメーキャップ技術のおかげか、一応キザの十人並以上のルックスのためか、お水系のオネーサンぽくまだ美人には仕上がっていた。
「違うよう(泣)これはオレの望んだ代物とは違うよう(大泣)」
「うるさいですわね。ヘタレなあなたをちゃんと萌えキャラにしましたのよ」
「こんな脳みそスカスカでナンパされたら即ついてっちゃうような尻軽な代物は嫌だよう!!」
人にやってもらっておきながら駄々こねる木座
「…あー!!うるせえんだよ!!文句あるなら自分でやれ!!」
遂にキレた二人に重低音で凄まれ、木座は泣く泣く諦めた
「さて…外見はこんなもんかな…いや、これくらいですわね。次は実践ですわ♪」
「え…」
「お客様のお相手をしてさしあげますのよ…さあ、早く着替えて」
「え…ええ〜!?(泣)」
タミミミのような裾の長いスカートを穿かされた木座(胸元開きまくりはさすがに勘弁してもらった)はやって来る客どもに半泣きの笑顔でサービスさせられた
(オレ…何やってんだろ)
木座子ちゃん(仮)は割と好評だったが
「あ、もうすぐ来ますわよ」
「…何が?」
「健さまに決まってますわ♪」
「えええっ!?って…ちょ…絶対バレるよっ!!」
「分かりきった事ですわ」
「でも健様の性格からして、そ知らぬ顔で店員扱いしてくれますわん」
「嫌がらせに…か(泣)」
「そこでどうやって萌えさせるかで…勝負が決まるんですのよ」
「…」
「メイクは完璧。あとはキザちゃんあなた次第ですわん♪」
「…(泣)」
言ってる間に
「やっほーい★」
ヤンチャ中年が現れた。
ジャリガキ中年は来るなりキザ子ちゃをに目を留めた
「ん?新しい店員入れたのか?」
「新人のキザ子ちゃんですわ」
健はじろりと見回すと
にこっ♪
と笑いいきなり胸を揉んだ
(ぎやあっ)
叫ぶのをなんとか堪えるキザ子ちゃんに
「乳ねーな」
「うふふ、だって…ね?」
タミミミは意味ありげにキザ子に微笑みかけた
(試されてる…オレは今、萌えキャラとしての器を試されてるんだ)
そしてキザは返答した
「も…もう!き…気にしてるのにぃ、お客様ってば♪イケズ」
キザはセルフつっこみを内心かましまくりながら、もう泣きそうだったが何とか返した。
「ふーん?気に入ったぜ?(ニヤニヤ)まあ隣来いよ?」
いじめっ子オーラが出まくった笑顔で、健はキザの肩に手をかけた。
タミミミはキザを応援しているのか嫌がらせなのか、別の客の対応に行ってしまった
(…孤立無援)
だがここが踏張り時と涙を堪えて微笑むキザ。その努力は非常に無駄なものなのだがまあ、崇高な姿ではあった。
健は嫌がらせのように(嫌がらせそのものだが)腰やらケツやらを撫でまくってさんざんセクハラ台詞を吐きまくった挙げ句言った
「ここ、店外デートありだよな」
「は!?」
「ええ。でも別料金ですことよ」
タミミミの台詞に健は札ビラを切った
「足りるよな?キザ子ちゃん?」
(やべえ…もうダメだよオレ…)
ふんふーん♪
鼻唄を唄いながら町をゆく健の後ろを、蒼くなったキザはとぼとぼとついていくしかなかった。
(こいつを…萌えさせなければ…でも…)
このヤンチャくれの事だから絶対やばすぎる展開になるはず。
更に自分は女装して町を歩いてるのだ。ちぢこまらずにはいられない。
「どしたあ?キザ子ちん」
悪意たっぷりの笑顔。
「い…いえ…」
本当、何で忌田さんはこんな奴に惚れこんでるんだ?!
内心叫びながら木座神はふと思った。
こいつを…好意的にみたら少しは萌えポイントが分かるかも。
忌田さんとの心の距離が埋まるかも(埋まらないよ)
(まず…博打は強い。これだきゃ逆立ちしたって認めなきゃなんねえだろ。それに勝負度胸!!確かにすげえよ…ただ馬鹿なだけじゃなけりゃだけど)
そこは微妙
(あと外見…見ようによってはあの不精髭も足の臭さもワイルドな男らしさかも。筋肉すげえし…そういやないすばでーだな。あんな自堕落な生活してて何であんな体格いいんだろ。顔は…いい…のかな?)
まじまじ
「キザ子ちゃん♪そんなに俺をじろじろ見てどーしたんだ?」
「い…いえ…(裏声)」
「ふふーん♪そんなに間近で見たきゃキスしてやろっか!?」
「(うがあっ!!)そ…そんな!!!」
必死で抵抗するキザを引き寄せるヤンチャ帝王。
「はずかしがるなって♪」
「ち…ちが…!(泣)(やっぱこいつどーしよーもねえ!!)」
もう全部うっちゃらかそうかとした木座神だったが
(思えば忌田さんといい、ユウジといい、いっつもこいつにセクハラされてるけど…心底嫌がってはいないみたい…何でだろ?や、ヤられたら考え方変わるのかな?)
…木座神、冷静になれ?
頑張ってキスくらいされてみやうか、さう思ひついてみたのですが…
「臭!!」
息が臭い
「ちょてめ…じゃなくてお客さん?歯磨いたのいつですか(ひきつった笑顔で)」
「さあ」
「さあって…歯ぁ磨け!!」
「めんどくさーい」
「うわ…顔近付けるな…た…誰か助け…!!」
天へ祈りが通じたのか
「お♪」
「げ…あんたは…」
「…健?」
「おおユウたん!♪」
(うわあああー!やっべー!!)
固まるキザの横で健はにんまり笑った。
「今日は女づれかよ?」
「ああ♪」
何とか隠れようとするキザだが健にがっちり捕まれ逃げられない。
「行きつけのバーでゲットしたんだぜ♪かあいーだろ」
あえてタミミミの名は出さず、キザをユウの前面に押し出す健。
(どわああもうシマイだあ、ヘタレの上変態扱いかよ(泣)
蒼白のキザをびっくりしたようにユウは眺めた。
「…おい」
「…。」
「健、か、可愛いじゃねえか…いいな」
「…ユウたん」
本当にユウの女?を見る目は最悪だった…。
何言ってんだ男前!!
とツッコミかけたキザだったが、何とか我慢
「ふふーん(にやにや)ユウたんはこーゆーお水っぽいのが好きなんだあ」
「お…まあそうかも。しかも何か中身は乙女っぽいのがまた…」
最悪の判別眼の癖に、妙に鋭いユウにキザ子はただひきつった笑みを浮かべるので精一杯だった
「キザ子ちゃんてば折角の店外デートなのにキスすんの嫌がんだぜ?くせーとかゆーし」
「事実だろ。てかこんな可愛い子にセクハラするなよ、な?」
何だか妙に優しいユウが滑稽でたまらないキザだった
「ならユウたんがキスしてくれよ」
「は!?な…何で俺が!しかもこんな可愛い子の前で!」
「んーやってくんなきゃキザ子ちんここで押し倒しちまうかな♪」
「こ…の鬼畜…(泣)」
(何かおかしな事に…どうしよう)
「キザ子ちん、見とけよ?キスしたくてたまんなくなるから…な?(にやり)」
健はユウを引き寄せると、町のただ中で熱すぎる口付けをし始めた。
(うわー!!)
「…ん…んっ」
ユウの顔が紅潮する。
(うわ…え、エロい…!)
二人の熱すぎるキスはうんざりする程長く続いた
(すげえ…あんな便所の金隠しみてえな口臭の奴とあんな気持ち良さそうにキス出来るなんて)
恥ずかしそうだが気持ち良さげなユウと、調子にのってこのまま本番おっぱじめるんじゃないか…な健。
しばらくしてさすがにユウは健を引き剥がし
「…もう…いいだろ?」
と息を切らせながら呟いた
「嫌。やっぱヤろーぜ!!キスだけじゃたまんねーだろ!?」
「馬鹿…女の子の前で…」
「ふっふーん(ニヤニヤ)じゃまキザ子ちん?精々次までに萌え精進しなよな」
健は思いっくそ悪意塗れな笑顔でユウを拉致して去っていった
「…負けた…萌えキャラとしてユウジみてーな筋肉男にあからさまに負けた!!」
キザは悲しくてやりきれなくなった
「ん?お嬢さんこんな夜道で一人じゃ…」
「くそう!!ナンパなら余所あたりやがれド畜生!!」
「…木座神?…なんだ…そのカッコ…」
スケベだがユウより女見る目があるセンセでした
互いにあまりツッコミたくなかったが、そうもいかず木座神は今までの纏末を話し、先生はそれを聞き
「馬鹿か?」
と一言呟いた。
「何だよ馬鹿って!俺は…!(泣)…う…うう」
泣き始める木座神に周りの視線が集まり、先生は慌てて取り繕った。
「と…とりあえずうちに来い?な?」
「…」
黙ってキザは従った。
議員宿舎。
近藤は泣き顔のキザを前に
「健に萌えられた所で…お前忌田に好かれるとは限らねえだろう」
「…あんたには…」
「?」
「あんたには分からないよ…あんな獣にも萌えらんないなんて…オレ、オレ!なあ、あんた無駄にエロくて淫乱だよな?どうやったらそんな…エロくなれるんだ?!」
「…すげえ言われようだな…」
ひどい言われようはしたが、あんまり目の前の生物が哀れなので近藤は答えてやった
「…俺がエロいかどうかはしんねえが」
「エロいよ」
「…服装かな?ほら俺、学ランとかスーツとか…」
「フェチ好みのカッコしてるよな。そんなにマニア受けしたいのかよ」
恨めしそうに言う木座
「マニア…学生が学ラン着て、社会人がスーツ着てて…マニア受け…」
普段着選ぶのがめんどくさいからそれでうろついてるだけなのに、ひどい言われよう
「そんなにヘンタイにいたぶられんのが楽しいのかよぅっ」
「てめえな…黙って聞いてりゃ…」
「…オレ、あの筋肉男に萌え負けした…」
「は?ユウジのことか?」
「…そのうち春木以上の萎えキャラにされるかもしんない…(泣)」
「いや、あいつは別格だろ…」
「今もタミミミにメイクしてもらってっけど、上面じゃねえんだよ。内面からにじみ出る色気…そいつがオレには全くなくて…色気ってどうやれば身につくもんなんだ?(泣)」
「…色気、なあ?それは努力して身につくモンなのか?そうさな…やっぱ色恋の経験が多い…てかぶっちゃけ性関係が多いとそれなりに身につくモンさ。てめえンとこの総帥なんてフェロモンの塊だろ?」
「確かに…だがよ。さっきおとぼけアーティストに会ってきたけどあいつは色気があったぞ?あいつはどー考えても経験豊富じゃないだろ」
「天性のもんもあるさ。阿佐田だってそうだろう」
「え…いや…あれは…」
「とにかく常人なら経験積むしかねえだろ。…玄人女買ってしっかり叩きこんでもらえよ」
「そ…そんな…!乙女保護の会会長として無理無理だっ!!」
「ふん…じゃあ…俺でも抱いていくか?」
「…え…?」
「ヘタレに抱かれるのも屈辱的でいいかもしれねえ…」
「いや…だからオレの好きなのは乙女…」
「萌えキャラってのは乙女じゃねえだろ(じりじり)」
「ってか…オレ…忌田さん以外の野郎に興味は…」
「そう言わずに抱いてみろよ。人生変えてやるぜ…フフ…」
誘い受け…てか攻め受け発動
受けなのに攻めな目をして、舌舐めずりする近藤。
シャツのボタンを外しながら、木座神をじわじわと追いつめていく。
「んきゃあ!!(泣)」
ベッドに押し倒される木座神。
「さあ…いかしてくれよ?何なら…リードしてやるぜ?」
ちなみにこの場面を客観的に眺めると、お水なお姉ちゃんを代議士が押し倒しているように見えます
「どんなやり方が好みだ?好きな体位でやってやるぜ」
「いやいやいやあっ(泣)」
「フフフ…こーゆーのも悪くねえ…たっぷり快楽のお勉強させてやるぜ」
ちなみに代議士が受けですから
「や…めてっ…お願い…(泣)」
「ほら…しゃぶっていいんだぜ?…まさか不能ってわけじゃないだろう?」
「う…怖い…怖いよお!(泣)」
「早く気持ち良くしてくれ…木座神?」
近藤は木座神の耳に甘くささやいた。
「ふ…ふわっ?!」
「フフ…何だちゃんと感じられるんじゃねえか…色事ってのをたっぷり教えてやるよ?」
「ち…畜生。そーゆーのを淫乱ってゆーんだよ!!好きでも何でもない奴と寝て楽しいのかよ!!」
「ああ楽しいさ。心とカラダは別モンだからな…何だったら健と寝てみろよ。その意味がよく分かるぜ」
「ひ…分かりたくねーよ!!」
「フフ(舌なめずりして)嫌がるのを無理にってのは萌えるなあ…癖になりそうだぜ」
確かに眼前の代議士は無駄にエロい。
健でなくてもなんかソソられちゃうのはよく分かった。分かったから
「助けてー!!」
かまわず木座神にのしかかる近藤。おもいっきし淫らな目をしている。
「…お…オレの純情…(泣)」
「…木座神男みせてみろよ?さあ…」
「…う!」
近藤は木座神の耳を舌でなぞる。
抵抗するが逃げられない。
(…うう…忌田さん…!(泣)オレ汚されちゃう…!)
木座神の願いは、地獄に通じた
じゃき
「また浮気してやがるな」
「…チッ…小龍」
頭に突き付けられた銃口を見やり近藤は舌打ちした
(た…助か…)
った訳では勿論ない。
その銃口はすぐに木座神の頭に突き付けられたからである
「さて…どうやって死にたい!?」
「ひいい!!」
「おい、小龍こいつは…」
「ヘタレ玄人だろうが。女装してもヘタレ臭さがにじみでてる」
「…お、襲ってきたのはそっちの方…(泣)」
「煩い。いっそ潔く死ね!!近藤お前も後でお仕置してやる…」
「後で?ボルテージ上がってんだぜ、今…してくれよ…」
唇を舐めながらいう近藤を小龍は組み敷いた。
「どうしようもない淫売め…」
二人がラブラブ?なのを幸いとして、キザ子は宿舎からズラかった。
着乱れた服のまま震えながら歩きつつ彼は思った。
「あの先生が…エロくて淫乱なのはよく分かったけど…無理だよ…絶対ああにはなれない(泣)」
いやヘタレじゃなくても無理です。
「経験…つってもオレ、文通からが精一杯だ…」
半泣きの木座が歩いていると、何かにぶつかった
「何さらしとんねん!!どこ目ェつけとんじゃ」
「…関西娘」
「ヘタレやん…なんやねんそのカッコ。ついに玄人廃業してゲイバーの店員になったんか?」
(そういやこいつも帝王の萌えキャラなんだよな。確かに胸はあるが狂暴で乙女のかけらもないこいつのどこがいいんだろう)
「なんやねんジロジロ見て。うちが別品やて?誉めてもなんも出えへんで」
「やい関西娘。てめ…自分のどこがチャームポイントだと思う?四百字で述べてみろ」
ドテ子は言った。
「何言うてけつかる。うちは存在そのもんがチャーミングやねん!!」
「こいつも…帝王と同じく根拠のない自信が…ごふっ」
「あんなエロ中年と一緒にしなや!腹立つヘタレやな。こんなナイスバデーな美少女つかまえて…しょうのない奴やで」
まあ、ソバカスあるけど顔立ちは確に可愛いっちゃ可愛いか。バストもあるし…。でも変態議員みてえな色気は特にないよなあ。
「何かわかんなくなってきた(泣)」
「は?何がやねん?」
木座神は帝王の萌えポイントを求め彷徨っていると語った
「は?あのエロ中年に好みなんて高尚なモンがあるんかい?」
「畜生あるんだよ!でもそれが何か分かんねえから困ってんだ!」
「別にええやん」
「よかねえ!!(泣)それが色気なんじゃないかと思ったがてめえみてえな色気もへったくれもないジャリガキも萌えるってゆーしよ」
「うちは清純派やから」
「どこがやねん!!」
うっかり関西弁で突っ込む木座だった
「ないすばでーちゃう?」
「え?」
「つまりカラダや」
「体?!」
「ユウさんかてええガタイしとるし…」
「…体、か…。確にあの天然アーティストも…!色気か体か…それなのか?!…オレ貧弱だし色気ねーしだからなのか?に、肉体改造かっ!!」
「は?」
「確かにそうかもな。タミミミだってナイスバデーだしな。オレやるよ!!すげえばでーになってみせる!!」
木座は走り去った
「…でも、そやったら師匠はどないなんかな」
なんてドテ子の言葉は当然耳に入らない
「頼もう!!」
木座神の訪れた先は…
「何だ、ヘタレじゃねえか…シシ」
「信!ここらでいいジムか道場あったら教えてえ!!金は…食費削って出すから(泣)」
「シシシ…別にそんくらいタダで教えてやるがよ。玄人のてめえが体鍛えて何すんだい?」
「てめえも萎えキャラだから分かるだろ!?クソ帝王が思わず押し倒したくなるくれーの筋肉ぼでこんになるんだ」
信は木座神の話を聞き、頭の弱い子を目の前にしたような顔になった
「…てめえらノガミとは付き合いがあるからタダで忠告するけどよ…そんな無駄な事する暇あったら積み込みでも練習しろよ」
「だってよ…帝王の萌えポイントが色気か体なんじゃないか、って所までいきついたんだ!やるしかねーだろ?!」
「シシ、本当頭弱いなお前。大体一日や二日で体格変えられるわけねえだろ」
「…う…」
「ヘタレはおとなしく帰って寝てな、シシ」
「畜生…オレに途はないのかよ!(泣)」
「うざったい奴だぜ…シシ…てっとりばやく媚薬でも使やどうだ?安くしとくぜ」
「…まじ?」
木座は
「こいつはフェロモン香水の超強力版だ。相手が獣に近い程よく効く。つけりゃ春木だって萌えキャラになるぜ」
というすげえ代物を半年月賦で入手した
(これでしばらく一日一食だな)
だが…微妙に心配だ
「なあ信。効かなかったらどうしてくれんだよ」
「シシ…確かに尤だ。なら実験してみろよアレで」
と示した先には…いたよいました
「金男長男!?」
木座神は香水を半信半疑でつけ、長男の前をさりげなく横切った。
と。
ドサ。
「…え?」
「君、これで一晩私のものにならんかね?(ハアハア)」
「ドぎゃああ!!いや…オレそーゆー仕事じゃないから」
逃げようとした木座だが、毛唐はがっしりと木座を捕まえ
「逃がさないよマイハニー」
「いや…嫌々いやあっ!!」
ずるずるずる
…木座神が連れ去られた後、信は金男が出した札束を拾い
「毎度ありー。シシこれで代金は貰ったから後は頑張れよ。それがありゃ売れっ子になれるぜ」
と店に戻って行った
「さあ!始めよう!我々の愛の…」
「もう…やだあっ!!」
木座神猛ダッシュ。
ストーキングとパシリで鍛えた足腰はダテじゃありませんでした。
長男の追尾を何とかまいて、木座神はつけた香水を水で洗い流した。
「な…なんて代物だよこりゃ…怖!(泣)でも…これで帝王も…?!」
キザは手の中の香水瓶を握りしめた。
さて帝王は…ユウたんのヤサにいた
「は…はう…ん…け…ん…もう…」
「へへ、まだまだイクは早すぎっぜ」
「違…もうやめ…(キスで塞がれる)」
「俺ユウたんに萌え萌えだもーん。まだまだ離さねーかんな」
ばた、
ドアが開いた
「ん…さっきの女の子…」
「ん?…キザ?」
「やい帝王!!オレは…てめえに萌えられるべく…今日一日死ぬ思いで修行した!!」
ちなみにユウたんと健、濡れ場まっ最中ですから。
「…」
「これで萌えなかったらてめえ獣じゃねえよ!!」
キザは香水をつけながらシャウトした。
「おい健?今あの娘の事木座って…てかあの娘お前の事帝王って…」
いいかけたユウだが健の目が何やらおかしい事に気付いた
「健…?」
木座も勿論それに気付いた…が何やらおかしい。
さっきの金男長男のように息を荒げるでなく目をギラギラ光らせるでなく…
「へへ…こいつはいい」
薄ら笑う帝王に木座はいきなり弱気になった
「な…何が?」
びびるキザに健はにじりよった。
「な…何だよ…帝王?」
キザを見下ろしながら健はキザの顎をしゃくった。
「よし…」
「へ…?」
「かきまわしてやんよ」
「っ」
「息の根止まるまでな…」
キザの額を冷や汗がつたった。
木座はようやく我に返った。
そうオレは帝王に抱かれたい訳じゃなく萎えキャラを脱出したいだけで…言い掛けたがすげえ濃厚なキスで言葉を遮られた
「へへへ…楽しみだ…」
薄ら笑い唇を舐める健の目に、木座は生命の危機を感じた
「た…助けてくれ…ユウジ(泣)」
「…木座神!?もしかして…木座神か?!お、お前…!」
「見たら分か…や…ひっ!」
「キザ…たっぷりかわいがってやる…萌えられたかったんだろ?俺に?」
ユウは頭が混乱したがとにかく声をかけた。
「おい健、お前ちょっと…どうしたんだ…?!」
しかしユウに悪魔のような笑顔を返すと、健はキザのスカートに手をつっこんだ。
「や…やあ!!(泣)」
「け、健止めろ!」
後ろからはがいじめにして健を押さえようとするが、健の執着ぶりは尋常でなかった。
「く…!何がどうなってんだ?!」
「キザ…お前可愛いじゃねえか?泣き顔もそそるぜ」
「違…違ェよう…」
健に襲われながら木座は“こいつに萌えられる”という事の真の恐怖を理解した。
そーいやユウジもセンセも最初は無理矢理だったというし…
「止めてやれ健」
「…少し待ってろよユウたん。抱いてほしいんだろ?」
「違う!!木座が可哀想だろ」
「へへへ…なら一緒に可愛いがってやるぜ」
帝王にいいようにされながらも木座を庇うユウ
「帝王…(怖い!!議員先生も怖かったけど…万倍怖いっ!!(泣)」
「どうやったかは知らねえが、お前にしちゃ上出来だぜ…ユウたんともども悦ばしてやる」
「健!これ以上犠牲者を増や…ん…う…」
ユウの唇を塞ぎながら健は木座神の胸を撫で始めた。
「は…う…」
こいつ確にメチャメチャうめえよ!すげえ、すげえのは分かったー!だから
「もう許してえ(泣)」
木座神が叫んだと同時に。
ガラッ。
部屋の扉が開いた。
木座が涙で霞んだ目を向けると、そこにはバケツを両手に下げた愛しの忌田さんが立っていた
「忌田…さん…」
擦れた声で呼ぶ木座神と
「何だ?お前も入るのかよ」
不敵に笑う帝王。
忌田はつかつかと歩み寄ると…
ざばば×2
バケツの水を木座(及帝王及ユウ)にぶっかけた
呆気にとられた一同だったが
「…なんで俺、木座に萌えたんだ?」
帝王が驚いた顔で木座から手を離す
「香水が…水で流されたんだ…」
助かった、と言いたげに忌田を見上げながら呟いた木座を忌田は無言で蹴り飛ばした
「お前…信が俺に知らせたからよかったようなものの…どうするつもりだったんだ!!」
「忌田さん…だってオレ…こいつに萌えられたら…少しは忌田さんに認めて貰えるかと(泣)…」
「馬鹿野郎!そんな訳ねえだろう!」
「…何か察するにすげえ頭弱いやり方だな…」
「でもユウたんはそんなキザに萌えてたじゃん?」
「う゛」
「木座神、いつも言ってるだろが!!ちったあ考えて行動しろ!傷付くだけじゃねえか。本当に…てめえは馬鹿で馬鹿で仕方ねえな…」
「うあ台詞パクられた!!(泣)」
ユウがつっこんだ(笑)
木座は泣きながら頭を下げた。
「すんません忌田さん。心配かけて…オレ本当馬鹿でした」
「やーいホント馬鹿だあ」
「木座もてめえに言われたかねえよ」
「ユウジ…こいつからオレ守ってくれてありがとう。本気で取り返しのつかない事にならずに済んだよ」
「構やしねえよ…だから二度とこんな事しでかすなよ」
「うん」
「あ、そーだ」
「何だよクソ帝王」
「ドゥフフフ…。木座神でもこんだけ萌えるんだから♪お前らにかけたらどーなんのかなあ、忌田ユウたーん?」
「なっ」
オカンズは共通の危機を察知するや、通しなしで行動に出た。
ユウは香水瓶を手にとり
「忌田!」
ユウの放った瓶を忌田はキックで窓の外に蹴り出した。
事態は解決した…かのようにみえた。
だがちょうどその時窓の下には…
「ふんふ〜ん♪」
通りすがりの複製人間!!
パリーン、
ぱシャア…。
頭から香水まみれになった春木を…蒼ざめた表情で一同眺めた。
以下、音声だけでお楽しみ下さい
「ん?これだけいいお天気なのにレインですか♪」
「…君は…」
「は?」
「ハアハアハア…お水なジャパニーズゲイシャガールを追い掛けていたらこんな素敵な人に会えるとは…ジーザス、感謝します」
「あの…異人さん?」
「さあ…私と素晴らしい愛の一夜を…金に糸目はつけんよグフフ…」
「…どーすんだ?忌田」
「(窓から空を眺め)いい天気だ…洗濯モンが乾きそうだな…」
「ああ…現実逃避する忌田さんも素敵だ…」
「外からすげーうまそーな臭いがすっけど…なんか同時にすげえ萎えそーな雰囲気もあるな…どうしよっかな…」
そして外では、絶叫が響いてましたとさ
後日談
天界
「なあ忌田、春木最近みねえな」
「そう…だな(拉致られたのか…香水の効力ってどれくらい続くのか…)」
「木座神の奴まだ来てねえな?」
「お前まさか…」
「食わねえよ、もう萌えねーし♪あいついびんのは楽しいけど」
「やめなさい!」
(しかし本当健の萌えポイントって何なんだろう…謎だ)
一方上野公園。
ベンチで物思いにふける木座神に
「よう」
「…ユウジ…」
「どうした?また健にいびられたか」
「いや。ただオレ…忌田さんにとって何なんだろ」
「部下兼子供だろ?」
「ほげあ?」
「手かかるだけに放っとけねえ…だからあん時も助けにきたんだろ」
「なんか微妙だ(泣)オレにときめいて欲しいのに…」
「…(ボソ)お前の女装結構可愛かったぜ?(恥)」
「はあ?!お前に萌えられてもしゃーねーよ!!(泣)」
ストーキングやめたらもうちょっと何とかなると思う。
そう言いたかったが、多分それが木座神の型なんでどうにも言えないユウだった
金男×春木は、『哲也』世界一、萎えるカプだと思います。ええ。想像したくもないですが
ちなみに木座子ちゃんは、当然、緑川ボイスでお楽しみ下さい。かなり萌えると思います