リリカル×リリカル
ある日忌田氏が、健の迷惑を詫びに近藤センセの宿舎に行ったところ、センセは薄暗い部屋でスーツのまま三角座りをして部屋の壁に向き合っていた
「…先生?」
だが近藤はなにやらひたすらぶつぶつ言うだけ
「リリカル…リリカル…リリカル…」
「先生…どうしたんだ?何かあったのか」
「…」
近藤は虚ろな目をこちらに向けた。
「…忌田…か」
「ああ。先生あんたがおかし…いや、不運なのはいつもの事だろうが、リリカルが一体どうしたんだ?」
「忌田、リリカる方法を教えてくれ…」
「は?」
「…小龍からの宿題なんだよ。今度はリリカルプレイでいくと。…エロは大概モノにした。だが、純愛映画やら小説やらあさったが逆にすさんじまってよ。…頼む、教えてくれ。リリカルの極意を俺に!!」
「い、いや…そもそも俺はリリカル好きだが別にリリカルな生活なんてしてねえしよ…」
「でも優しい忌田さんは、なんとか色々相談に乗ってやった
で
「近藤」
一体どこで買ってきたんだか、想像するのも恐いふりふりのワンピースに身を包んだ小龍が待つ、夕焼けの公園のベンチ
「小龍…」
やっぱりスーツの近藤が駆寄る
「すまん遅れて」
「いや…来たばかりだから」
近藤が何げなしに肩に置こうとした手に、少しうつむく小龍
「…いやごめん」
あわてて手をあげる近藤
「…いやいいんだ…」
「小龍…」
二人の視線がゆっくり交差した
後ろの茂み
「リリカル評論家としてどうだ木座?」
「いつもの二人を下手に知ってるだけに恐いんスけど(泣)」
近藤は戸惑いながら言う。
「小龍…その、手握ってもいい、かな?」
頬を染めうつむきながら、小龍はゆっくり首を縦に振った。
小龍にそっと手を重ねる。
「近藤…」
うるんだ瞳で見上げる小龍
「…好きだ…」
「近藤…」
茂みん中
「こここ、こえ〜〜!!!(泣泣)」
茂みの中で恐慌をきたしている二人がいる事を知ってか知らずか、二人は止まらない。
近藤は小龍の瞳を覗き込み、少し口ごもった
「…?」
不思議そうな小龍に、近藤は恥ずかしそうな小声で言った
「キス…していいかな」
小龍は頬を赤らめて、そっとうなずいた
「どどど…どうします忌田さん?」
「どうしよう(泣)」
大騒ぎする二人に
「なになに、なんかあったのか?」
「ぎゃーす!!」
「け、健!何でお前ここに?!」
「うまそーな匂いがしたから♪お。あれ先生と龍龍じゃんか。何だ何だあ?今日はいつもと違って…(二ヤり)リリカルプレイか?おい?」
「ちくしょう、やっぱ勘は冴えてやがる…(泣)帝王出てったら密輸プリンスが…」
「分かってるもーん♪しかし…いつもとはまた違って美味そう…じゅるり」
「健…鬼畜カップルとはいえ、人の恋路を邪魔する奴は…」
「邪魔しねーもん。盛り上げるだけさ♪」
盛り上げる♪と邪魔をする♪の区別がついていない生物は、キスまでに十分かけているリリカルプレイ中の二人のベンチの下にもぐりこんだ
「キスして…いい?」
こくり
「じゃあ」
目をつぶる小龍。
と…
ぶちゅう!!
なんだか激しい音がした
「…!?」
小龍が目をあけると
「龍龍ー♪」
「ぎゃああああああああああああ!!」
小龍は、しがみついてる獣を我が身から引き剥がすと
「お前は健健!?何てばっちいものを!!…うげ…」
「健…!だ、大丈夫か小龍?!」
「龍龍可愛ーし、先生じれったいことしてたからよ♪もらっちった」
「この…野蛮人があ!死ね!!」
パヒュンパヒュン
「…もはやリリカルの欠片もない…(泣)」
「無惨だ…」
ふりふりルックで銃を乱射する美人と、余裕で逃げまくる不精髭。
だが、あまりに非現実的な光景な為、みな映画の撮影だと思ったらしく騒ぎ立てなかった。
近藤は忌田と木座に歩み寄り
「俺、すげえ頑張ったよな」
と力なく言った
「頑張ったよ、あんたは頑張った…」
忌田は優しくそれだけ言ったという事だ
エロより、リリカルの方が難しいと思います