のっぺらぼう
その日おやっさん(房州)が賭場で稼いで旅館に戻る途中。高架下でうすぐまっている若者の姿が目に留まりました。
面倒見のいい彼はすぐに声をかけました。
「どうした兄さん?腹でも痛むのか?」
「…大事な賽子を落とちまったんだ」
後ろ目からも分かる細身の美青年。
なんで後ろからで美青年か分かるのかって、サラサラの黒髪に白いうなじに細い腰といったら美形しかないっしょ
「賽子?へえ…あんたも玄人かい?兄さん」
その美青年は何故か少し笑いました
「ああ、そうだよ…なあおっさん…てか房州さん」
「お前俺を知って…?」
突然美青年はおやっさんの腕をひっ掴むとすごい勢いで服を脱ぎ捨て振り返りました。
「なっ?!ぼ、坊や…?!」
「似合うかい?」
そこにいたのは
うっすら化粧をしたメイド哲でした
「その格好は…何だ?」
「いつもノラリクラリかわされるけど今日は逃がさないぜ。この格好で攻めさせて貰う!!」
「お前そんな事して親御さんが泣く…ああだから
合わせる顔がなくてのっぺらぼう
か…苦しいな」
落語だったら師匠に怒られそうなオチを前に、房州さんは苦悩しました
めでたしめでたし