ミスサマーは君だ!!

ある日タミミミたちは暇をもてあましていた

「何か面白いことないかしら?木座ちゃん」
「しらねえよオカマども!」
「ひどい言い草よね、ヘタレの分際で。んーやることないし、木座ちゃんメイクしてあげるわ」
「はあ?いらねーよっ!?」
「いいから来やがれ!!」
「…う…はい(泣)」
所詮ヘタレ。双子のドスにあっさり負けてしまい…

そして。

「出来たわ♪私たちのメイクテクって…」
「すごいわよねえタミイちゃん。ヘタレにもメイクね」
「ちくしょう…」
「よーう♪タミミミ」
「あら健様あん」
「ん、何だ木座。また抱かれたくなったのか?ンな女装なんかしてよ」
「ちがが!こいつらが勝手にっ」
「…あー」

ニンマと笑うと健は木座の首ねっこを掴んだ。

「はぎゃ?!」
「タミミミ、ついでに何か服も着せてやってくれ♪いーこと思いついた♪名付けてユウたんに木座を口説かせよう企画だ♪」
木座は当然の様に泣いて嫌がったが、帝王とオカマどもがそんな位で引き下がる筈なかった

「今回のコンセプトは清純派お嬢様ですわン」
「くそ…自分でなけりゃ乙女可愛いのに(泣)」
「確かにな、お前でなきゃ処女食いたい♪って思うんだがお前じゃなあ」
「まあ健さま、コレ、をどうするんですの?」
「春木を呼んで、ついでにさっちんも呼んでオーディションをやるんだ。名付けて“今年のミスサマーは君だ!!”」
「イヤだあっ!!!!」

木座神は泣いて嫌がったが、もちろん、そんな事が通じる相手な訳はなかった

手配をタミミミどもに任せて健はユウのヤサに向かった。

「ユウた〜ん」
「またきやがったな」
「へへ、あのさあ今度うちでミスサマーコンテストやるんだけどさあ…審査員になってくれよ」
「ミス…コン…?!」

ミスター女好き、ユウは反応しまくった。

「さっちんも協力してくれるって♪」
「お…お前んとこ主催の怪し気な企画に妹を一人で参加させるなんて…んなこた出来ない!!兄として!!乗ってやるぜ健!」
「へへ、ちょろいなあ♪」

早速出掛けてみると、春木の手腕か上野の力か綺麗なお姉さんがたくさん集まっていた

「あ兄ちゃん」
「早智子!!お前こんな怪しげな主催者の企画に兄ちゃんに黙って参加して!!しかも…なんですかそのミニスカキャミソールは!!!?嫁入り前の娘が肌をそんなにさらけ出して…はしたない!!」

際限なく続きそうなお小言と健の
「うまそーだなー。あの足…兄妹丼てのも悪くねえ(じゅるり)」
と言う不穏当な発言を聞きタミミミが割って入った

「ようこそ」
「出たなオカマども!!」
「うふふひどーい。今回は私達も審査員でしてよ」
「よろしくね」
「あ…そうそう兄ちゃん。あたしここで会った娘と仲良くなったの。紹介するね…」 そして、泣きそうな顔をした木座が早智子の後ろから現れ、ペコリと頭を下げた。
ちなみに清楚系で水色のシャツワンピース来てます。

(チクショー!何でオレがこんな…っ(泣)帝王め!)

むっちゃブルーな木座を前に、ユウは電流に撃たれたような衝撃を覚えていた。

「か…可愛い…」
「ほげあ?!」
(ユウジー!!(泣)二度目だぞ、気付けーー!!アホウ!!)
「やっぱユウたんの女見る目、最悪だな…」
「なんか言ったか健」
「いーや♪」
「ところで君、名前なんて…」
「あ…き…き…君子ですゥ」

冷や汗を吹き出しながら答える君子ちゃん。
笑いをギリギリで堪える早智子とタミミミ。
だがそれでもユウは気付かなかった

「そうか可愛い名前だね」
吹き出しそうになる早智子を見て、健は話題を変えた

「あそーそー一次審査は水着だかんな♪」
「何い!?」
ユウと木座は同時に叫んだ

「ちょ…聞いてない!」
涙ながらに訴える君子ちゃん。
「まあまあ…」
意味ありげに視線を泳がす帝王。
慌てふためく君子ちんを見て、ユウは言った。

「おい…お前君ちゃん、今初めて聞いたみてえじゃねえか!こんな可愛いお嬢さんにいきなり水着なんて…(見たいけど)あんまりじゃねえか!」
(ブフー!!)
一同腹ん中では吹き出していた。
「んーでも審査の一つだしい?まあ代理人♪立てるのもアリなんだけど〜」
「お、俺が水着んなる!!」
「嘘だろオイ!!(泣)」
ユウのヘタレっぷりはヘタレの神様さえも涙させた。
「わーいユウたんの水着だあ!!絶対ビキニ着せるぞわーい」
浮かれる帝王に早智子は言った
「やっぱそれはよくないと思う。だってプロポーションは必須条件だし」
「いやいやいや!!」
嫌がる木座とタミミミと健を、そう言って早智子は物陰に引きずり込んだ

「ユウたんのぴちぴちビキニー」
心から残念そうな帝王と
「お…男があんなモン着たら一発でバレちまうだろ」
マジ泣きする木座

「大丈夫♪そうよねタミミミさん」
「まあ確かにね…方法はありましてよ」

そして二人は木座を文字通り丸裸にひん剥き、無駄毛処理を施すと水着を着せた

「おおすげえ、巨乳だ」
「うふふ。木座ちゃん元から貧弱だし、下はきちんとおかまさんご用達の股間ガードでもっこりが目立たない様にして、しかもパレオ(腰布)でパーペキ昼ケは貧乳の女の子の味方買Gア入りで貴女も巨乳!!ですわ」
「ひ…こんな姿…忌田さんに見られたら…」
「泣いちゃいけませんわ木座ちゃん。メイクが流れちゃう」
「ね?どう健さん?」
「さっちん男前ー!!春木の代わりにげーのーぷろ出来っぜ」

「できたよ兄ちゃん」
「こ、こら早智子!お前無理矢理…あ…」 ユウは、もう人間やめたい表情をしてる君子ちゃんを見て、絶句した。

「兄ちゃんどうしたん?」
「…素敵だ」
(ユウジ〜っっ!!!??)
笑いたい衝動をこらえまくり、健はユウに小声で言った。
「巨乳だよなあ?♪」
「あ…ああ。それに…腰細え…何よりあの恥らった様子が…」
「…うぷぷ…なあユウたん?口説いちまえよ」
「え、ええっ?!」
口では驚きつつまんざらでもない表情のユウ。
木座はいっそ何もかもブチまけたい衝動と、こんな姿を自分と気付かれる恥がましさとを必死に戦わせていた

「あの…君子ちゃん」
「…」
喋る気力のなさを恥じらいと勝手に解釈したユウは男前モードになって何やら言い掛けたが
「いや…その…頑張ってくれよ。大丈夫、君ほどの可愛い子なら絶対ゆ…」
優勝と言い掛けてシスコン魂が再燃する
「いいトコまでいけるよ。だから自信を持って(にこっ)」
爆笑しそうになる一同と世界の真ん中で

「バホ」

を叫びたい木座だった

(もうこいつ手つけらんねえ大馬鹿だよう!!もう…んな嬉しそーな顔でみんじゃねえ!)
木座が心ん中でシャウトしてる間にも審査は進む。

審査員席にて。
「健…」
「何だ?♪」
「す、すげえ可愛いよな君子ちゃん…」
「(ブフー)ああ♪絵的に悪かないよな♪」
「てか、芯から乙女って感じだよな…。うん、あれこそ真の乙女だ…」
いつもの木座の台詞をぱくってひたすら呟きまくるユウ。
もうメロリンラブな様子だった。

なーんて言ってる間に早智子ちゃんの出番
「ひゅーひゅー」
「な…なんなんだあのハイレグはっ!!破廉恥な…」
「まあイマドキの女の子なら普通ですわ」
「だからお兄ちゃんは女優志望なんて反対だったんだ。君子ちゃんの清楚さを見習え!!」
「(ブフー)さっちんかーいーじゃあん♪」

「…健、一言言っとくが」
ユウは殺気塗れに言った

「早智子にいかがわしい事しやがったら」
「ら?」
「殺すぞ」
「へえ…ユウたん、今まで見たなかで一番男前な顔してっぜ♪なあ…哲とさっちゃんどっちか片方だったらどっち選ぶんだ?」
「そ…それは…」
「どこまでも優柔不断ですわ」
「も少し何とかしてもらわないと困りますわね。まあそこがつけこみやすいんだけど…フフ…」
「ユウたん、最近皆のユウたん見る目が冷たいぜ♪」
「俺何したよ?!」

審査はちゃきちゃき進んだ。
浴衣だったりなんやら色々して…最終審査

「体力テストおっ!!」
帝王はすげえ嬉しそうに叫んだ

「ミスコンで体力?」
「おう。女は体力だ」
「まあそうだろうが…」
「つー訳で一人一人俺としっぽりして、いっちばん耐久力があったねーちゃんの優勝な…ぶべらっ!!」
ユウの鉄拳が飛んだので、帝王は審査を変えた。

「はいはーい!♪お姫様だっこで俺をもちあげるー」
「はあ?!か、か弱い乙女に出来るかよ!ただでさえてめえ筋肉質で重いのに!」
「兄ちゃん、はなから出来ん決めつけるんは女性差別よ…私はやるから」
「さ…早智子…?」
「うわあい♪さっちゃん早くう♪」

早智子は腕を捲った。当たり前の様に細い腕である。
対するは体積だけでも彼女の倍はあろうかという生物

…だが

「演技の神様、芸能界の神様、もし私が女優になってブレイク出来るんなら上がりますように。無理ならこれでぷっつり諦めます…」

彼女の周囲に殺気が巻き起こる

「ふんぬらばあっ!!」

あんまり(てか全然)乙女らしくない絶叫と共に彼女は健を持ち上げた

「断じて行なえば鬼神をもこれを避くって奴よ」
「すげえさっちん、男前すぎて惚れそう」
しばしの沈黙の後、周囲から巻き起こった拍手は長い間鳴り止まなかったという

「早智子…」
「兄ちゃん、覚悟きめれば大抵のことは出来るもんなんよ」
男前に言い放つと、早智子は控え席に戻った。

参加者が当然のように苦戦する中、やがて君子ちゃんの番がまわってきた。

「(小声)おい木座。本物の女の子のさっちんですら持ち上げられたのに、お前が出来なかったら恥だぜ?」
「お…俺は華奢なんだよ!忌田さんならともかく、てめえみたいな筋肉野郎…」
「ん〜♪あいつも俺のでけえ手や広い背中が好きつってるし♪俺を持ち上げらんないようじゃなあ…」
「ぬ…ぐ…くそ!!(いつか帝王じゃなく忌田さんお姫様だっこするんだ)く…うう〜」
「む、無理するな君子ちゃん!!(汗)」

木座も祈ってみた。
神様仏様ヘタレ様乙女の守護者さまあ!!どうかオレに力をば!!」
木座は全身の力を200%くらいに振り絞った

「どぐありゃああ!!」

ヘタレと乙女の神様は彼に確かに力を与えてくれた。帝王が持ち上がったのだ…が

「マ神さま…オレ、もう限界みてえだフフ…」
だが所詮ヘタレなのでそこ迄で彼は力尽き倒れ伏した

「まあお前にしちゃ頑張ったな」
「でも情けないですわ男の癖に。早智子ちゃんは割と余裕でしたのに」
「ん?君子ちゃんは乙女だろ」
(しまった…)

すかさず早智子が
「男兄弟の中で育ったから、男同然やゆうのよ、君子ちゃんてば」
とフォローする。
「何を…あんな乙女な女の子そうはいないぜ!何て謙虚で可愛いんだ…」
「兄ちゃん深刻ね…」
もう駄目だこいつ、皆してそう思った。

そうして審査は終わったが、

「持ち上げられたのはさっちんと、き…君子ちゃんとあそこにいるゴリラみてーな女だけだ。しっかし…あの女、俺よりデカいしな」
「まあないすばでーはないすばでーでしたわね」
「でもあれならユウたんにワンピース水着着せた方が万倍はかーいーよぅ」
「じゃ順位は…」
「早智子が優勝だよなっ!?」

そうユウが念を押すと、健とタミミミは意味ありげに顔を見合わせた

「何が起こるか分からないのが玄人と芸の世界でしてよ♪」
「戦後初めてのミスサマーコンテストだかんな♪これからのおねーちゃんたちには」
「美しさと…それ以上に逞しさが必要ですわん♪そして真夏の太陽も恐れる位の存在感…」
「よってゆうしょーは♪ゴリ子ちゃん!!やあ、俺の萌えじゃねーけどいい子生めるぜ♪フンバ!!」
「っなっ…なにいーー?!」
ユウの絶叫が響いた。

「てっ…てめえら!!俺の妹があんなゴリラに劣ると…」
「兄ちゃん…いいの」
「早智子…お前…」
言い掛けてユウは早智子の示す優勝の賞品を読んだ

“芸能プロデューサーと過ごすハワイ七日間の旅”

会場に響き渡る
「あんびりーばぼー」
という絶叫の中、ユウは優しく微笑んだ
「おめでとう、ゴリ子ちゃん」

とりあえず何とかミスコンは終了。

「ああさっちゃん♪審査員特別賞で俺が一晩…」
「健…ブチ殺すぜ?」
「ほんっとユウたんシスコンな〜。まあそれはともかくよ♪なあ、どうすんだよ?」
「どうって…」
「君子ちゃんだよ♪もうこれきりか?ユウたん?」
「え…あ…」

ちら、

と木座を流しみるユウ。

「いやでも…初対面だし」
含み笑いをする一同

「ぷくく…ユウたん?どんな奴でもはじめは初対面だぜ?俺とユウたんだって敵同士だったのに今じゃこんなに愛し合ってんじゃねえか」
「あ…そうだな」

認めるのかー!?

みんなの心からの突っ込みも知らず、ユウは君子ちゃんに近づいた

「なあ君子ちゃん…その俺と…文通から…」
「何で……わかんないんだよう!!(泣)」
ついに我慢の限界が来て木座は叫んだ。

「…いくら何でもおかしいって…乙女じゃないってみんな分かってんのに!!気付いてんのに!!」
「あーあ、ネタバレですわ」
「でもよ、ユウたんさっきもマジ顔でさあ…」
「君子ちゃん!!」
突然ユウは叫んだ。
「君は…どこまで可憐なんだよ…。自分を卑下しちゃいけない!君は立派な乙女だ…。俺…惚れちまう、かも…っ」
「なにいいいい?!!!(泣)」
木座の絶叫を前に、一同はユウに呆れたのを通り越して同情を感じ始めていた。

「兄ちゃんて…兄ちゃんて思い込み激しすぎるんよ」
「博打うちとして致命的な弱点だよな」
これだけ言われてもまだ気付かないユウ。

とそこへ
「なんでまた女装してんだ木座神…」
「センセ、何でここに」
「何でって美人コンテストだろ」
「まあムッツリなんだから」
「もう終わったのか?そういやさっきそこで、春木がゴリラに抱きつかれて悲鳴あげてたが…」

センセは早智子に目を留めた
「美人だな君…」
「それは俺の妹だ!!触れたら殺す!!」
「あ…ああ…」
「ところで変態代議士。今、木座神って言わなかったか」
「言ったよ」
「どこに木座神がいんだよ?」
「は?お前の目の前にいるじゃないか…」
「何を訳のわか…」
笑いながらユウは君子ちゃんを見つめ直したが…

「…?…え、ちょっと…え…もしかして」
「…オレだよユウジ(泣)」
声もなく固まりまくるユウだった。

「…まさか…本気で気付いてなかったのか?」
気の毒そうにセンセが言うと、一同は黙って頷いた

「お前…やっぱ女と付き合わないで、野郎といちゃついてた方がいい。でないとその内エラい目に会うぜ」
それでも硬直したままのユウ。

木座はダッシュでメイクを洗い流すと
「もう二度とこめんだぜ!!」
と泣きながら去った

「ユウたーん?(つむつむ)ちゅーしちゃうぞー(むちゅー)気付かねえや」
しばらくして、やっと意識を回復したユウは…
「帰る…」
「ユウたん、なら俺と愛しあお〜ぜ♪」
「一人きりになりたいんだ…」
とぼとぼと帰っていくユウの後ろ姿に、かける言葉もない一同だった。





ユウたんいぢめネタなのか、木座神いぢめネタなのか微妙な代物。
個人的には健の
「女は体力だ」
の台詞が気に入っとります