死神とピクニック

ある日。天界に、木座神と碧…何故かドテ子しかいない折、印南がフラリと訪ねてきた。

「よう…ヒヒ。ん?そっちは確か函館で会った姉ちゃんか」
「貴方は…印南さんだったかしら」
「印南…!今は帝王も忌田さんも留守だけど、どうしたんだ?」
「そうか…いや健ちゃんと打とうかと思ったんだがな…ときに元気だったかい木座ちゃん、それに嬢ちゃん」
「うちは元気やけど…あんたはいっつも死にそうやな。ヘタレ!茶入れたりや」
「うっせえ!今入れてるとこだ!」
「気使わねえでくれよ」

一同茶を飲みながら雑談。
と印南が碧に言った

「なあ姉さん…旦那とは仲良くやってるかい」
「ええ」
「碧さんの旦那はものごっつい天ボケなんを除けば、めちゃええ男やからな」
「言い過ぎよドテ子さん」
「といいつつ顔赤いやん」
「…帝王がいないとなんてリリカルなんだ(泣)」
「確かにな。あんたみてえにらぶらぶな夫婦は羨ましいぜ…俺みてえな玄人にはな」
「印南さんは、外見からは想像できない程マトモな神経してるから…家庭もてるんじゃないかしら?ヒロポンやめれば」
「ヤクはやめれんねえなあ」
「で、でも恋愛は第一印象さえ何とかすれば出来る…かな?関西娘?」
「何でうちに振んねん。死神の兄さん、何やったらこの絶世の美少女が一日デートしたろか?金はあんたもちやけど」
「いや、あんたの相手は哲ちゃんて決ってるじゃねえか」
「嫌やわあ!(バシイ!)」
「ガフ」
「ちょ…大丈夫か印南?!体弱いんだから丁重に扱えよ!!」
「(聞いてない)ダーリンは大物やさかい、そんな些細な事気にせんて」

ちなみにその頃の雀聖は、ユウさんといちゃついていた

「という訳で決定や…そやな、ピクニックにしよか。青空の元、手作りのお弁当持ってピクニックや」

死神がピクニック

…碧と木座は顔を見合わせたが、印南はその提案が気に入ったらしかった

上野公園
「ほら、うちサンドイッチ作ってみてん」
「私は厚焼きたまごを…」
「すげえな」
「やっぱりランチョンマットはギンガムチェックだ!!それが乙女道!!」
「訳わからんわ。しかしええ天気やなあ」
「本当。風も爽やかだし…面子は爽やかとはいいがたいけど。昼の休憩時間には主人も呼びにいくわ」
「ヘタレにいかせたらええで」
「な…まあいいよ(泣)…」

かくして美女と美少女とヘタレと死神のピクニックはなごやかに進んだ…周りの人間は目を合わせないようにしているが。

そして
「待たせたな」
「いいえ」
「お久しぶりやな、ラバさん」 「ヒヒ…おたくの奥さんお借りしてるぜ」
「まあお茶でも…」
更にそこに、男前の天ボケ芸術家まで加わり、益々なんの集団だか分からなくなった

「緑が眩しいな」
「ほんといいお天気」
「空も青いし…なんで食べへんの?死神」
「生憎と食が細くてな…気持ちだけ有り難く貰っとくよ」
「さよか…じゃラバさん、あーん」
「…いや、そんな年ごろの娘さんが恋人でもない男にそんな(赤面)」
「リリカルだ…これぞリリカルだよう(泣)」

しかし、リリカルは儚いもの。

「…うまそーな集団みーっけ♪」
茂みから一行をうかがうのは、勿論あの生物だった。
「俺を差し置いてリリカるたあ、悪いハニーたちだぜ♪」
しかもピクニックの一団は二人を除き、みんな美味だった
「赤面ラバりんうまそー♪羞恥プレイでもっと恥じらわせてえ。碧ちんも細身だけどいー腰してるし、ドテ子は今日もいい乳だな♪」
リリカルというものを解した事のない生物が襲い掛かろうとした、その時だった

「…なんや聞き覚えある声やな」
(バレたか?)
「…祥ちゃんの声だぜ」

ひら、

飛んできたビラには

『保守党期待の若手議員、公開討論会IN上野公園』

とあった

「行ってみよか。これもなんかの縁や。」
「そうね」

壇上で、先生は爬虫類、更にエム特有笑みをたたえて座っていた。
「何や変態議員センセやんか」
「討論会…か。俺はあいにく大の苦手だ」
「分かってるわ、あなた」
「祥ちゃん内心すげえブルーとみたぜ…」
「何かキャラ知ってるだけに討論会ってゆーより…クイズ番組の解答者席に見えてきた…(泣)」
一同、何食わぬ顔で会場に潜り込む
ついでに生物も

「今回のテーマは道徳についてです」

ぶふー!!

ドテ子はいきなり吹き出した

「あのセンセに道徳やて…おもろすぎやこのコント」
「始まる前から笑うなよ、関西娘。てかこれコンじゃねえし…」
「どんなネタが飛び出すんやろか」

ドテ子の期待どおり、大変面白い展開になった。
何故ならそこに呼ばれていた教育評論家から出された議題は

『青少年の非行ー賭博と不純異性交遊について』

だったからである。

近藤はさすがに顔色も変えずに差し出されたマイクをとった
紹介を受けて、何食わぬ顔で話し始める。

「…今日お話しますのは青少年の非行、中でも特に青少年の健全な成長を著しく阻害し、問題となっている賭博と不純異性交遊についてですが。皆さんの身近に起こりうる問題として我々が取り組まなければならない、緊急の課題であります…」

「身近…てか先生自身がドップリやんか!!(笑)」
「改めて、せ…政治家って面の皮厚いな…」
「祥ちゃん、しかしどこ見て喋ってんだろう」

近藤は聴衆を見ているようで、実は見ていなかった。
多分異次元空間を見てでもいたのだろう。

彼は不純異性交遊の実態と対処法について、抽象的かつ道徳的に非の打ち所のない意見をとうとうと述べた

「こういう話は秘書かなんかが前もって原稿書いてるって言うけど」
「流暢に喋るなあ…」
「ヒヒ、でもさっきからやたらと唇舐めてるぜ。さすがに良心が痛むのかもな」

近藤の目がふと聴衆に向けられ、途端にぎょっとした顔になった…すぐに元に戻したが

「…うちら見つけたんかな」
「まさか。そんな目立ってる訳ねえよ」
「…お?」
ラバが何かに気付いた
「あそこで、壇上に向かって激しく手を振ってる…あれは髭乙女じゃないのか?」
「何い??!!!」

一同言われた方をみると、満面の笑みでヤンチャ中年が近藤に手を振っていた。

「うわああクソ帝王!!」
「ダホ中年なんてとこに…」
とりあえず一同ダッシュ。そして健を取り囲んだ

「やめい恥ずかしい」
「なんだよ。センセが暇そうだから応援してたんじゃん…何言ってるかはさっぱりわかんねえけどな」

「えー…青少年の健全育成には環境が第一です…特に青少年が歓楽街をうろつき、玄人などと呼ばれるような、素行のよろしくない輩と接触したり、未成年が反倫理的な性行為に及んだりなどという事を許してはなりません!!」

「なんかセンセが熱く語り始めたな…何言ってんだ?」
「平たくいうと、あんたは教育によくないから消えろゆーとんねん」
「何だよブー!俺とセンセの仲なのに〜!よし、上へ上がって…」
「やめろ帝王っ!」
「やだ…モガフ」
「ほらサンドイッチ食わしたるさかい、大人しくしい!」
「(むぐむぐ)うめえな♪ついでにラバりんも食…」
「調子にのんじゃねえ!(ズビシ)」
「碧…」
「すげえ人妻だな、ヒヒ」

なあんて騒いでいたら、当然の様に係の人に追い出された。
仕方ないのでジャリガキも入れてピクニックの続き

「もふ…卵焼きうめー♪だってよ(もぐもぐ)俺の事みんなしてよ(むぐむぐ)仲間外れにすっから…おにぎりくれよー」
「うら食え…あんたがいっつもいっつも人に迷惑しかかけんさかい、そないなんねん」
「しかしよく食べるわね」
「羨ましいなあ…ヒヒ」
「筋肉質な人間は新陳代謝が活発だというからな。その分、腹が減るんだろう」
「なんてゆーラバさんも筋肉質やん。なんで食べへんの?」
「いや俺は…」
「ごめんなさいねあなた。貧乏で…」
「すまん碧、それは俺の台詞だ…」
「ラバりんもうちで働けばいーじゃん♪俺のハレムで…ごぶうっ!!」
「調子ぶっこいてんじゃねえぞクソが!!」
「いつもの碧じゃない…」
「あら嫌だ。ついフクロウといた時の癖が…習慣って恐いわね」
「オレには碧さんの方が恐いです(泣)」
「ヒヒ、賑やかでいいな…」
「…クソ帝王まじりの脱リリカルピクニックだぞ?(泣)楽しいか?」
「ああ…すげえ楽しいさ」
「死神くんも、俺みてえなおっとこまえがいた方がいいだろー?♪」
「ああ。健ちゃんがいると場が湧くな」
「だろー?」
「ムードはぶち壊しだけどな(泣)はあ…忌田さんとピクニックしたい…(涙)」
「ふむ、もし君の都合さえよければ、是非絵のモデルになって欲しいのだが。いつでもうちにも来てくれ」
「俺も!俺も!」
「うっせえタコ!!少し黙れ!印南さん、貴方なら大歓迎よ…こっちの健さんみたいなのは扱いかねるけど」

なんて大騒ぎしていると誰やらが近付いてきた

「…誰や」
「知らねえ」
「誰かしら」
「さあ…」
「誰だろうな」
「分からない」

誰やらは苦笑すると言った
「お前らの目は節穴かよ」
そして眼鏡をかけた
「俺だよ」

「センセ!?」
「たく…お前ら、俺を眼鏡で識別してんのか」
「てか…全くの別人や」
「正体バレるとまずいんで外しとくぞ」
「誰だかやっぱ分からない…」

「よお印南…」
「祥ちゃん見てたぜ、さっきの」
「センセ、めちゃめちゃ笑わせてもろたで」
「フン、あれも商売さ」
「…先生ー!どーせだからしよーぜ♪野外プレ…ヘビシ!」
「さっきから下ネタばっかじゃねーか下衆野郎が!…あら駄目だわ…ストレス溜ってるのかしら。ごめんなさいね健さん」
「碧…すまない…俺のせいで苦労させて、ストレスがたまってるんだな…」
「ラバさん。あなたのせいじゃないと思います…(泣)」
「さすが健の知り合い…一筋縄じゃいかねえのが揃ってるみたいだな」
「祥ちゃんその後あの人とはどうだい?うまくやってんのかい?」
「フフ…それがよ…」
「あの人?」
不思議そうなラバ夫婦にドテ子が説明する

「センセのええ人や。すんごい美形やで…血の色緑やけど、しかもバカップルやけど」
「ああ…あの人ね」
「小龍が言うんだよ。半島でデカい戦争があるからしばらく忙しいってな」
「じゃ体が疼いて仕方ねーだろ♪やっぱ俺としっぽりー♪」
「そないに儲けてどないすんねん」
「フフ…なんでもよ。新しい拷問器具を造らせるって…ドイツの技術者拉致ったらしくてな。開発費にごそっと要るみてえだ…」
「何考えてんねや…緑プリンス…」
「もう…裏世界の中でも最悪だ!!(泣)リリカルの星はどこっ?!」
「フクロウに勝る外道みたいね」
「フクロウ…今もどこかの賭場で…ところで何故拷問器具が必要なんだ?」
「あなたはそんな爛れた事に一生関わらないで」
「…?」
「じゃあ龍龍がいないうちに、俺とやりまくろうな♪」
「髭乙女…何をするんだ?」
「俺とセンセは恋人どーしなんだ」
「馬鹿をいうな」
「なんだよブー!」
「む…そうか…」
「どうしたの貴方?」
「髭乙女は…彼女もちのこの先生に、片想いしてるのだな…辛い恋愛をしてたんだな…」
「ラバさん…(泣)」
「碧さん…あんたの旦那、ほんま頭が可哀相に出来とるな」
「いいのよ。それでも好きだから」
「はあ…純情なうちにはこんな環境堪えられんわ」
「前大阪府議員としてツッコむが、お前のどこが純情なんだ?」
「なんや、うちダーリン一サオ主義やで!?」
「純情な女はそんな単語口にしねえよ」
「ったく失敬な。センセみたく眼鏡ッコの基本としてフェラとか巧そうで、しかも顔射されんの好きそうな輩と一緒にせんとってや…何赤面しとんねんヘタレ?」
「印南…」
「なんだい木座ちゃん?」
「オレに残った最後のリリカルの砦が…忌田さんとお前だよ…分かるだろ?(泣)」
「木座ちゃん、泣くなよ」
「なあヘタレ。前々から思っててんけどあんたドーテーちゃうん?」
「なっ…ななっ?!か、関西娘お前なっ!(泣汗)」
「図星っぽいで〜?」
「クク、じゃあ俺でやるか筆下ろし…?」
「なんだ情けねえ。その年で…しかも玄人やってて、僕さくらんぼかよ」
「だって…だって…(泣)」
「ククク…泣いてる姿もそそるな(舌舐めずり)」
「ちょ…そんなに木座神さんをいじめたら可哀相よ」
「碧さん(嬉泣)」
「なんでいきなりそんな話に…別にこういう体験は早ければいいってものでもないだろう」
「ラバさん…すんません、オレ、あなたの事大好きになりました」
「ラバりんも純情だな♪さすが一穴主義は違うよな」
「そうっスよね?愛がなきゃ、やっちゃ駄目ですよね!?」
「なんやラバさんも碧さんが初めてで唯一の女かいな、律儀やな」
ドテ子の台詞にラバは微妙に当惑した顔になった

「…いや…」
「ん?ラバりんもしかして実は遊んでたとか?♪」
「るせえ!黙れエロ無精髭!てめえの下半身思考でみんじゃねえよ!」
「…み、碧が…。いや、すまん。お前を無駄に混乱させて…」
「あなた、混乱してないわ。悪い虫はしつこいから早く潰さないと」
「怖いよう…(泣)」
「落ち着いて聞いてくれ碧。実は、特攻に志願する前…俺には許嫁がいたんだ」
「許嫁、か…。古風でいいな、ひひ」
「それは初耳だわ…その方は?」
「うん。さすがに生きて戻ってくるつもりはなかったから、婚約破棄しに行ったんだ。そしたら
『あなたが死んだとしても待ちますから』
と言われてしまってな…嬉しかったよ…だがそうもいくまい」
「ええ」
「でやったんだな♪」
「だからうるせえ…」
「そうだ」
「へ?」
「俺は…行く前に、せめて夫婦の契りをと、そう言った彼女を抱いた…」
「え?!ラバさんじゃあその女性は今?!」
「もういない。…俺が特攻で死ねずにおめおめと戻って来た時…あれはもう死んでいた。焼夷弾をまともに食らって、即死…だったそうだ」
「あなた、その話私には一度も…」
「…言えなかった…あの時、俺は人生が信じられなくなった…死にに行った筈の俺が生き、守った筈の彼女は死んだ…だから博打うちになったんだ」
「あなた…」
「すまん、不快な話だったな」
「今は…どうなの?」
「…博打はやめた。そして、もう…今は生きる事に絶望はしないよ…お前がいてくれるからな」
「…貴方…」
「う…うわあん(泣)愛だよう、愛がここにあるよう〜!」
「だなあ木座ちゃん」
「見つめ合ってる二人も美味そう。食いてえ♪」
「歩く生殖器は黙ってやがれ!」
「クク、堕とし甲斐がありそうだ」
それでも畜生な二人に木座がツッコんだ

「てめえらに人の血は流れてねえのか!!」
「あるぜ」
「俺もな♪」
「人生、博打と同じで何が起こるか分かんねえから楽しいんじゃん♪」
「あんた、いくらなんでも不謹慎やで!?」
「…ラバりんは人生に絶望して博打はじめたから、碧ちんと会えたんだろ?」
「…まあな」
「俺だって、俺の生みの親とかいうのが俺を捨ててったから、今こんな人生歩んでて、で今楽しいんだぜ?」
「…まあ、後悔したって仕方がないのは確かだな。置かれた状況で精一杯生きるしかないのが人生だ…しかし髭乙女。明るいのに似合わず大変な人生を歩んできたんだな。感服する」
「だろだろ惚れるだろ?」
「俺が今愛してるのは碧だけだ。髭乙女、すまない。お前の気持ちには応えられない…」
「だいじょぶ♪力でオトすから」
「ざけんな!」
「しかし髭乙女…そちらの先生に確か片想いしていたのでは…?」
「いんや。そーしそーあいだぜ?♪」
「まさか。俺には小龍がいんだよ」
「髭乙女、道は厳しいが強く生きろ」
「おう♪」
「いい加減しぶとく図太く生きてんだろっ!!」
「碧…なんだか最近語気が荒いが、なんか疲れてるのか」
「いやあね…おほほ、そんな事…」
「そーだぜ碧ちん、最近俺に冷てえよ」
「ずっと冷たいわよ」
「さては俺のこと嫌いになったんだな」
「最初から嫌いだよ、この下半身野郎が」
「…あかん、この生物どっかやらな…やい、ダホ中年!今日はこの死にそうな兄さんを元気づけるためのピクニックやねん!あんたいてたら精神衛生上よろしくないんや!そっちの変態センセも!」
「健と一緒にされるとは不愉快だ…」
「ひでえよドテ子、先生〜!愛しあってんのにー」
「ああもう!二人でラブホでも行ってヤりさらせ!」
「お♪いーなあ。行くかセンセ?」
「今はいらねえよ。印南、お前となら…クク」
「浮気は良くないぜ祥ちゃん」
「じゃあ俺と死神君とセンセの三人で行こう♪ならいーだろ?」
「ああ…それならな」
「すまねえ嬢ちゃん…俺ァ命と貞操が惜しいんで退散するぜ。せっかく誘ってくれたのに悪かったな」
「えー!!ラブホー!!」

「…碧…一体なんの会話が…」
「(にっこり)あなた、そろそろ仕事に戻りましょう」
「ああ、そうだな」
「じゃあねドテ子さん、忌田さん、木座さん」
「碧ちん俺には?」
碧は笑顔(びくぴくしてる)のまま親指をくい、と下に向けた

「印南…」
「なんだい木座ちゃん」
「すまねえな…うちの帝王と変態議員が全部滅茶苦茶に(泣)」
「いや、楽しかったぜ。何せ賭場じゃ気味悪がられてばっかでよ。こんな賑やかなのもいいな」
「死神の兄さん、また遊びにきいやー。今度はママさんにも来てもらお、ダホの手綱とってくれるから」
「ええ?まゆみかよ!…ちぇ…」

つー訳で残された四人のうち、センセと健はいつものようにしっぽりしに行き、ドテ子と木座がお片付け

「ったく食い散らかしおってからに」
「まったくだあのクソ帝王…」
二人がぶつぶつ言いながら片付けていると、後ろで知らないおばちゃんが
「あらあ、若い二人でピクニック…いいわねえ、仲良しの恋人達は」
と声をかけてきた

「カップル…うちとこのヘタレがかいな!?冗談キツいで!!おばちゃん!!」
「お、オレだってこんな乙女とは程遠い関西娘となんて!」
「恥ずかしがっちゃって可愛いわねえ」
「違う!!」×2
否定しまくる二人をニヤニヤ眺めながらおばさんは
「お幸せにね」
と去っていってしまった。

「勘違いはなはだしいわ」
「ホントだよちくしょう!」
二人ともすげえ不愉快なまま天界に戻り、びっくりする程仕事がはかどってのんびりコーヒーなぞすすっていた忌田さんにそれぞれ不快さを訴えた

「…嫌なのか」
「たりまえや!!」
「ですよ忌田さん!!オレが好きなのはあなたです!!乙女なんです」
「うちが好きなんは博打の強いカッコ可愛い男やで!?」

二人の訴えを聞きながら忌田さんは、この二人いいカップルなんじゃないかと思ったが、口にはしなかった。
ついでに二人には、当然ながらこれから恋は、芽生えませんでしたとさ







文章なんで、なごやかなピクニックに見えますが、これを画像化した瞬間、きっと印南の死神な外見がすべてをブチ壊してくれるのではないかと思います
ラバさんの過去話は…なんか彼って、こんなような過去を持ってそうじゃないですか?特攻に出たのは自分なのに、帰ってきたら家族が札幌大空襲で死んでたとかそういうのが…