関東湯煙温泉殺人事件

「なあ忌田、俺の温泉行こうぜ?」
「は…?俺のって…」
「こないだ温泉旅館の主人と博打して権利書手に入れたんだ♪だから俺の」
「お前またそんな罪作りな事を…」
「さあて。じゃそうと決まればみんな呼び付けようっと、萌え萌え」
毎度の帝王の駄々こね。止めても聞くはずもなく

当日。温泉旅館前に集められた面々。
「…何かまたいじられる…(泣)」
「ユウさん泣き顔も可愛いよ」
「まあただで泊まれんねのやったらな」
「ロクでもねーこと企んでやがるなあ目にみえてるが…近藤、オレは湯上がりのお前を見てみたい…」
「俺もだよ…個室露天風呂でお前と…フフ…」
何だかものすげえ事になりそーな予感、てか確信を誰もがもっていた。

「じゃさっそく部屋割りな。あ、ちゃんと一人づつ個室だからよ」
「何!?」
皆健の配慮に驚いた。こいつの事だから

「みんな俺と同室な。んでもってみんなして俺としっぽりー♪」

とか言い出す筈なのに
「じゃあ荷物置いたら風呂入っとけよ、俺は夕食の準備しとくからよ」
「何ぃ!?」
またまたおかしい…こいつが一緒に入りたがらないなんて…絶対何か企んでるよ!!
一同こわごわながら、盗撮されてないか勘繰りながら入浴した。
しかし幸いなことにその気配はなく。風呂から出た一行を待っていたのは豪華な夕食だった。

当然のように上座に座る健はにこやかに笑いながら手を振った。
「おー♪皆出たか、飯食お〜ぜ飯ぃ♪」
「なあユウさん、毒かなんか盛られてねえかな?」
「毒はねえだろうが催眠薬か…はたまた催淫薬かなんか入ってるかも」
とりあえずみんなして嫌がる木座に毒味させてみたが何もなかった
「おいおい、俺がンな事する男に見えるかよ」
「見える」
満場一致で答えが返った

夕食後
普通に飲んで騒いで唄って(超音痴)るだけの健に皆の不安は高まるばかりだった。
「…すげえ怖い」
「俺も」
そして就寝時になった。
「明日の朝食は七時だからなー」
と事務的報告だけして健は自分の部屋に去っていった
「なあ…変じゃないか?」
「ああおかしい…てかこのままで済む筈がねえ」
「気持ち悪いよな?」
みんな疑心暗鬼に陥っていた

「盗聴器も隠しカメラもないし、隠し通路もないで。窓やてちゃんと鍵かかるし。考えすぎちゃう?」
「いや…健程の玄人がそんな常識的な罠張る訳ねえ…何か…何かある筈なんだ。くそ、オレまだ頭堅ェよ…どうすりゃいいんだ房州さん!?」
「こんな事で頭悩ますのも馬鹿馬鹿しい…オレはもっぺん風呂入って寝るぜ」
小龍は近藤にそっとウインクして立ち去った。
“個人用露天風呂で、な”
という意味である。
頃合いを見て近藤も立ち上がり
「じゃあ先休むぜ阿佐田」
と去っていった。

「うふふ、期待通り最初は先生とプリンスですわね」
「だな♪」
健の部屋。
何故か来ていない筈のタミミミの姿があった
「じゃ約束通り…美味しくいただきましょ?」

そして嬉しそうに小龍は個人用露天風呂に向かっていた。
「準備に手間取ったな……しかし浴衣の近藤もよかったが…湯煙の中だとますますいいだろうな…フフ」
一方、一足先に露天風呂入り口に着いた近藤。
「小龍…どんな風に責めてくれるか…楽しみだ…」
戸を開け中に入ると湯煙が周りに立ち込めていた。
そしてその中に
「…何だ?何故か…鳥肌が…だっ、誰かいるのか?小龍?」
悪夢が始まろうとしていた。

「ああら先生?ふふ奇遇ね」
「え?」
個人風呂に奇遇もへったくれもあったもんじゃない
「…タミミミ?」
「覚えていて下さったのね」
「な…なんでここに…」
「もちろん…」
タミイはウインクした
「先生を頂くためよ」
「しゃ、しゃおろ〜ん!!(どらえもーんのアクセントで)」
近藤は露天風呂の奥へと引きずり込まれていった。

一方
「近藤の…声?!近藤っ!!」
猛然と露天風呂に駆けこむ小龍。
すると
「龍龍〜♪」
「っ?!」
警戒した小龍だったが湯煙が、彼自慢の目を遮る
「くそ…何が…」
言い掛けた小龍は何か獣臭いものに抱き締められた
「うぎゃあ!!」
踏み止まろうとした彼だが床に仕掛けられたトラップ(てか石鹸)に足をとられ押し倒された
「龍龍♪風呂入るんだから浴衣は脱ごうな♪」
「くっ…健健か…?やっぱりお前は!!」
浴衣の合わせから手を差し入れられ小龍は小さくうめいた。

そして奥では
「い…や…小龍ったすけ…」
「近藤…っ!!」
どっちも修羅場
「まあ先生?そんなに恥ずかしがらないで」
「そうよ、脱ぎ脱ぎしましょうね、うふふ」
タミミミはとうに全裸だったので、下半身が見るに堪えない
「ひいい…」
「そんなに怯えないで」
「私たちが恐いとでもおっしゃるの?」 「そーよ、ただのソープ嬢だと思えば…」
「下半身にンなモンついたソープ嬢がいるか!!」
近藤は目一杯抵抗したが、相手は二人、しかも彼は殴り合いはからきしである。
あっさりのしかかられてしまった
「くそ…俺の不運もここまで…オカマ二人に露天風呂で強姦かよ…(泣)」
「先生お肌綺麗ね、妬けちゃうわ」
「本当。白くて…すぐ赤くしてあげるから」
「…阿佐田…俺の人生って何何だろう…?」
もう抵抗する気力も失せた近藤だったが、ご主人様はなおも頑張っていた。

「離せけだもの!!」
「へへ、浴衣だと足がよく拝めるなあ♪しかし本当きれえだなっ」
「ひっ、撫でるなあっ!!」
小龍とて武器の密売をなりわいとしている闇世界の住人である。この位でへこたれる訳がなかった
「これでもくらえ!!」
無理な態勢から蹴をかまし、健の不意をつくと駈け去った

「近藤…近藤!!どこだ?」
「近藤…!」
着乱れた小龍が露天風呂の縁にたどり着くと、湯煙の中から何か悩ましい声が聞こえてくる
「ん…は…あ」
「先生、素敵ですわ」
「フフ…エッチな体ですわねえ」
「こ…こんどーっ!!!」
小龍が血相かえて近付くとそこでは、最愛の奴隷君がオカマ二人にいいようにされていた

「しゃお…ろ…ん…」
「こんどう…」
「嫌だわ健様ったら」
「プリンスを逃しちゃったのね、困った方」
「近藤を離せ!!」
だが二人は聞かない…そして
「龍龍つっかまえたっ♪」
がばっ
ケダモノ降臨
「もう離さないぜえ♪んー龍龍肩みせろぉっ♪」
「しゃ…おろ…ん逃げ…!ん…や…」
「先生こっちに集中なさって♪ふふ…」
「って訳で龍龍おれたちもやーろうぜっ」
「この…色魔の獣とオカマどもがあっ!!殺すっ!!」
「あいにく無理だぜえ♪」
風呂場というのは闇討ちに最適な場所である。なんせ大体の職種の人は武器なりなんなりを持たずに入る場所だからだ

「…くそ」
「龍龍ってばチャカ探してんのか?」
「あったら脳天に穴あけてやるのにな」
「ンな物騒な事言わずに穴は掘らせてくれよ♪」
小龍は無視して目の前の最愛の奴隷君がオカマ二人にいいようにされているのを唇を噛んで見つめるしかなかった
「ふ…ふうん…あ…は…」
湯煙と羞恥で赤く染まった肌の色は相手を掻き立てている…らしい
「センセってば意外と感じてるじゃん」
その台詞に遂に小龍の理性の糸が切れた

「この…オカマども!!近藤はオレだけのものだっ!!」
小龍は健を引きはがすと、三人の間に分け入りタミミミから近藤をもぎとった。
「しゃ…小龍…」
息を荒くしながら近藤は小龍にしがみつく。その紅潮した肌にうるんだ目に、小龍は怒りと同時に情欲を覚えた。
「近藤…」
小龍は近藤にむしゃぶりついた。

「あ…ひどいですわ。ここまでやったのに」
タミミミの抗議も耳に入らない二人はひたすら愛?を貪っている
「まあ…この二人の業の深さに免じて許してやれよ」
自分が首謀者の癖にずーずーしい事をいう健。そしてタミミミを手招きして風呂から出た

「ひどいですわ。まだ完遂してないのに」
「まあまあ。他にもいっぱいいるじゃねーか」
「うふふ、そーですわね」
「俺の旅館♪だからな。当然俺好みの改造がしてあるって事をたっぷり知ってもらわなくちゃな」

一方、ユウたんの個室。
「…あの野郎まだなんも仕掛けてこねえ…一体何考えてやがる?!」
「大丈夫、ユウさんはオレが守るから…ってか今夜はユウさんオレと…(照れ)」
「だっはあっ!!べっ別の危険が(泣)なあ哲…どーせだから打とーぜ?俺雀卓借りて…」
「危ないよ、ユウさんはここにいてくれよ。オレ取ってくる」
そして哲が去った後。

ガコン。

「…?!何の音だ?」

ウィーン…。

なおも続く奇妙な機械音。ふと窓に目を向けると
「な?!何だ?風景が消えてく…いや、部屋自体が動いて!!」
映画キューブよろしく、全ての個室は可動式になっていた。そして部屋の動かし方は帝王の手元のスイッチで自由自在。

ガターン…。

やっと部屋のは移動を終えた。
ユウの部屋が直結したのは無論…帝王の寝室だった。
ユウは玄人の勘でなんとなく事態を予測した

「ユウたーん」
勢い込んで駆け込んだ健だが
「あら…いねえぞ」
健は辺りを見回した
「ふふーん…かくれんぼだなお茶目なユウたんめ」
そして玄人の目になった
「俺から逃げ切れると思うなよ…ユっウた〜ん♪どこにいるのかなあ?ドゥフフフ」

ガタガタガタ…(すっげー怖えぇ!!!)

衣装タンスやら押し入れやらを開ける音を聞きながらユウは死にそうな気分だった。
と。
突然部屋を探る音がピタリと止んだ。
(…?!)
不審気に思いふと顔を上げると。
「っっひいいいいーー!!!!(泣)」
悪魔のように微笑む健の顔があった。

「いやさっすがユウたん♪洗面台の底抜いて隠れてるたあな…でも愛の波動びしびし感じたんだもーん♪」
「いやあああ!!堪忍してえっっ」

ズルズル…

ユウは健の部屋に引きずりこまれていった。

「ユウさん雀卓…」
ようやく戻ってきた哲は異変に気付いた
「部屋の配置が変わってる?」
とりあえず床や壁を叩くと何やら普通とは違う感触が
「…これは罠だ…ユウさんが危ない!!」
てかそん時ユウさんはもう手遅れだったんですが

健の寝室では更にオカマも控えていた。
「いらっしゃい♪」
「今度こそ私たちオトシてくれるわよね…ふふ」
「さあユウたん♪皆して楽しもうか?浴衣は脱がしやすくていいぜ、へへ」
「やめ…い…や…!さっ三人がかりっ?!そんな…ああ…ん…っ!」
かくしてユウさんが三人にいいようにされており、かつ哲が必死でユウの行方を追っている頃、残りの面々(てか忌田とドテ子とヘタレ)もようやく異変に気付いた
「師匠…いつの間にやら出口があらへんよ」
「やっぱ罠か…あいつもどうしてこう何時もいつもロクでもない事ばっかり(泣)」
「…師匠…エラいこっちゃで。外見て外」
「な…何い?!」
窓の外は三センチ未満の隙間しかない状態でコンクリートの巨大な壁がそそり立っていた。
「こ、これじゃ窓からの脱出も不可能!!何しやがんだあの糞帝王!!(泣)」
「…しかしいつどないして造ってんやこれ…」
ドテ子はため息をついた
「もうあかん…うちの貞操も今日限りや。あのエロ中年にええようにされてまうねん」
「ドテ子…心配するな、お父さんが守ってやる」
「(聞いてない)しかもなんかザーメン濃そうやし妊娠させられてまうかも。んでもって子供とか生まれたら、養育費と慰謝料なんぼとれるんかな…あのダホ中年割と金持ちやから(ぶつぶつ)」
「忌田さん。この関西娘はほっといても強く生きてくから多分大丈夫ですよ」
「とにかく…何が起こるか分かりゃしねえ…」
「…離れないでいきましょう!ね!ね!!」
廊下を行く三人。だが確実に魔の手は迫りつつあった。

ガコッ

「どひゃっ?!」
突然床がパックリ口を開いた。
「なっ…木座神!」
「た…助けて…(泣)」
辛うじて穴の縁に手をかけぶら下がっているキザ。
「世話のかかるやっちゃ!」
二人がかりでキザを引き上げた直後。

ヒュンヒュン…

穴の奥から妙な音がして…鎖が忌田の足に絡み付いた。
「…くっ!うっ…」
「師匠!」
「忌田さん!?」
「行け!早く…振り向かずにに走れ!!」
そして忌田の姿は穴の中に消えた。

「あ…忌田…さん…いやあああ!!!!」
泣き崩れる木座を
「泣いとってもどないもならへん」
叱咤するドテ子
「でもでも…」
「アホ、師匠の犠牲を無駄にする気かいな。逃げるねん、そして生き延びるんや!!」
「分かった…忌田さん、オレ、生き延びます!!貴方の分まで」
勝手に殺された忌田だったが勿論彼は生きていた

「うぇるかーむ、マイスイーツ」
「健…そしてユウジ!!」
「いみ…た…助け…」
忌田の目に写ったのはまさに地獄絵図だった
ユウの体にまとわりつく三匹の獣
「タミミミ…てめえらもっ!!」
「ウフフ…こんな美味しい企画…逃しちゃ罰があたりますもの」
「いい体してるわね…もっと哭いていいのよ、ふふ…」
涙を浮かべながらユウは獣にされるが儘だった
「ユウジ…健!お前いい加減にしろ!」
「やだ♪楽しいもん」
「…まさか、坊やや先生たちも…」
「センセと龍龍は二人で楽しんじゃってるぜ。哲は…じきここに来る手筈さ(ニヤり)さ。じゃお楽しみといこーか?」
「…ひっ!!」

さて恐怖そのものと化した旅館を彷徨うドテ子と木座だったが
「出口がねえよう(泣)オレこのまま野たれ死ぬんだ」
「やかましわ、泣き言いいな!!」
「畜生クソ帝王め…」
「最初マトモやったんわうちらを油断させる為のブラフやったんや…ひっかかったわ。ともかく誰かと合流せんと…あ」
「あ?」
「ダーリン!!ダーリンやっ!!」
「ドテ子!?」
「ユウさんがいない!多分健の奴が…!」
「こっちも忌田さんがあ…(泣)」
「ダーリン、ここ出口なくなっとんねん、どないする?」
「どこかに…路があるはず…探すぞ!」

一方健様。
「へへ。ドテ子と合流したか手間が省けたぜ」
モニタを見ながらトラップを発動させる健(ちなみにもう片方の手ではユウを責めてます)
「健!!まだ間に合う、考え直せ!!」
縛り上げられて見たくもないオカマと筋肉男のカラミを見せられていても忌田は気丈だった
「イヤ。こんな楽しい事めったにないもんね。さ、そろそろユウたんに突っ込ませてもらうかな」
「次はわたくし達ですわよ」
「いやああ!!健だけならまだしもオカマにまで掘られたくねえ!!」
「いやあね、わたくし達も健さまに負けないくらい立派なお道具ですのよ」
「そうですわ」
見せ付けられて真っ青になるユウ
「じ…冗談じゃねえ。痔になるわっ」
「哲、ドテ子待ってろよ。へへ。ぽちっとな」
「な、何のボタンだそれは」
「いやあただの電流トラップだよ♪」
「何てものを…お前ってやつは!!」

で哲は
「危ないドテ子!!」
と彼女を引き寄せたので
「うぎゃああ!!」
木座だけがひっかかった
「ふう…危ないトコやったわ。さんきゅなダーリン」
「いやいいよ」
「ちょ…オレはどうなんだ」
「あんたヘタレやから平気や」
「うん」
「畜生」

「ちぇ…かかったのは木座かよ」

「ここ…一体どんだけ罠仕掛けたんねや…」
「もう勘弁してくれえ(泣)」

モニターで三人の様子を見てる悪の帝王。
「はは、まだまだ罠は盛りだくさんだぜ…!」
「哲だけは…勘弁してやって…(泣)」
「父親(役)としていうがドテ子には手を出すな!!」
「ママンずは口出さなくていーから♪」

哲とドテ子は数々の罠を(木座を犠牲にして)乗り越えていった
「ドテ子…平気か?」
「ダーリン…うちダーリンがいたら平気やで」
「お前ら…オレの犠牲の元にラブってんの忘れンなよ…」
ズタボロの木座
「近い…もう健は近い筈だ」
「なんで分かるんや」
「多分奴がいるのはモニター室…そして配電盤の配置からしてそれは近い」

「へえ…さすがいい読みしてるじゃねえか。もうじき哲たちとご対面だぜ♪ユウたん…早くイキてえだろ?」
「もう、いじるのよして!!(泣)」
「その顔がたまんねーのなあ♪つっこむぜえ」
「やめてえええ!!…くうう…」
喉で堪えたような声
「今更何恥ずかしがってンだよ」
「ま…周り…」
「いるのは忌田にタミミミだけじゃん」
それが恥ずかしいんだよ!!とも言えずユウは声を堪えるのが精一杯だった。
忌田は縛られながらもなんとか目線を外してくれたが、タミミミは別だった
「まあ…本当美味しそう…」
「早く私たちも食べたいわねえ」
「もう…やあ…(泣)」
「健!オカマども!いい加減その辺にしておけ!裏社会にもルールはあんだ!人の道ってもんが!!」
「ユウたん喜んでるもんな?…ほら」
「う…く…」
「…すまねえ…ユウジ。こいつら鬼畜だ…!(泣)」

一方、木座を犠牲にしながら哲達はようやくモニタ室の前に辿り着いた
「多分ここだ」
「(ごくり)ダーリン、覚悟は出来てんで」
「待て(木座をドアの前に突き飛ばす)」
「ぎやあああ!!」
「ふう…触ると毒針が飛び出す仕掛けやってんな。危ない危ない」
「おい健、お前は完全に包囲されてる。大人しくユウさんを返せ」
「師匠もや!!」
「嫌っだもーん。だってユウたんは食ってる途中だし、忌田はまだ食ってないもーん、なユウたん?そのエッチな声聞かせてやれよ」
「は…あ…ン…哲…やめ…来るな…来るんじゃない…あふぅん…頼むから…来ないで…」
「畜生(怒りに震えた声で)この人でなしが!!許さねえ!!」
「お前らの方がよっぽど人でなしだよ」
瀕死の木座の弱々しいツッコミは誰の耳にも入らなかった

パタン!!

モニター室のドアを開けた哲たちの目に恐ろしい光景が飛込んできた。
「…ユウ…さん」
「み、見ない…で(泣)」
「え、エグすぎるわこれ…」
「よく来たな♪哲にドテ子。ユウたんイカせたらすぐに愛してやっから、ちょっと待ってろよ、ハハッ♪」
「ぐうっ…」
こんな状況でイカそうとする健も健だがイカされるユウもユウだった。

力なくくたりとするユウを抱き締め、とりあえずキスすると健は立ち上がった…もちろん全裸で
「カアッ…乙女にンな汚いモン見せな!!」
といいつつ別に恥じらおうとはしないドテ子もかなり男前だった
「汚いたあご挨拶だな。いずれ目にするモンだから慣れとけよ」
「うちのダーリンのはンな汚くないわっ!」
「あのドテ子…そーゆー話はやめときなさい。嫁入り前の女の子が口にする話題じゃない…」
縛られた忌田の方がよっぽど恥ずかしそうだった

「え…と…おい健!!ユウさんを返して貰うぜ」
「いいぜ。次はお前の番だからな」
「ふざけなや!!ダーリンにンな汚いモン突っ込む気かいな!?」
「お?じゃあ次はお前にするかドテ子?」
楽しそうな健に対して怒りに震える哲。切迫する雰囲気の中、木座はやっぱり小声で突っ込む
「誰か帝王に服着ろって言えよ」

「さあ来な、どっちが先に抱かれてえんだ?」
「ドテ子下がってろ」
「ダーリン…」
「おお哲お前か♪」
「てめえユウさんを…ゆるさねえ!」
と、怒りに燃える雀聖に近付く二つの影。
「いけない坊やね、ウフフ…」
「健様どうなさる?何なら私たちと三人がかりで…」
「うわあオカマどもも裸だよ」
「…恥らいの欠片もねえ…(泣)」
「どけオカマども!!」
哲は男前に叫んだ
「ふふ、そんな可愛い顔で凄んでも健さまには敵いませんわよ」
「だから大人しく…」
「健、勝負だ!!」
「へえ麻雀でかい?」
「いや…これだ!!」
と彼は何かを取り出した

ちなみにこちらは二人の世界を貪っていた小龍と先生
「なあ…小龍…」
「何だ?」
「健の奴、もしかして阿佐田も襲って…」
「多分な」
「(がばあっ)こうしちゃいられねえ。阿佐田を助けねえと…」
小龍はしばらく黙っていたが
「仕方ねえ、オレもいく」
「…小龍」
「だが今度は健健のでなくマトモな温泉で存分に…」
「もちろんさ…俺もそうしたい」

一方
「…こいつは…」
「健!!卓球で勝負だ!」
「…頼むから健、服着ろ…(泣)」
忌田の懇願に健は嫌々ながら浴衣を羽織った
「ちぇ、裸のが動きやすいのによ」
「ンなモンぶらぶらさせながら卓球するな!!」
「なあ健…俺も服着たいんだが。返してくんねーか?」
「嫌。だってユウたんのヌード見たいもん。な?哲?」
「…うん(恥)」
「俺は見せたかねーよう(泣)」
泣き入ったユウ。
「まあ花も恥じらう乙女の前で裸でおられても困るし…ヘタレ、綿入れ貸したり」
「乙女要素も恥じらいもねえくせに…ほらよ…こげてるけど(泣)」
「恩に着るぜ(泣)」
「あ。ユウたん腰隠しちまった。ちぇ。また後で脱がそっと。さあっ!!行くぜ哲ぅ♪」
「来い!!」
二人はマジな瞳で向かい合った

「先行はオレだ…いくぜ!!」
割と激しいラリーが続く
「なあ…ダーリンて卓球得意なん?」
「いや、やってるトコ見た事ねえが」
「師匠…ダホ中年は?」
「同じく」
「じゃなんで二人ともあんな巧いん?」
「…玄人は手先が器用…だからかな?」

なんでそんなに二人とも卓球がうまいのか?
そんな一同の疑問をよそに戦う二人の卓球の腕はほぼ互角にみえた。
「こらあ…長引くで」
「ってか勝負がつくのか?(泣)」
「オレ早くこっから出たいんすけど(泣)」
「実力はほぼ互角…なら、ダホ中年に隙を作らすんや!!」
「隙?!」
「玄人に必要なのは力やさかいな」
「お前玄人じゃねーだろ」
木座のツッコミに
「でもうち、ヒラなら多分あんたよりは強い思うで」
「確かに」
「納得しないで下さいよ忌田さん」
「エロ中年、これを見い!!」
ドテ子は上着をブラごと捲り上げた
「お前…女の子がなんて事…(泣)」
「うお!!ドテ子の生乳?!」
「脇がガラ空きだ!」

パシィッ
哲は健の隙に乗じて、強烈なスマッシュを放った

「やたっ!ダーリン一点先取や!」
「やられた…でも生乳は良かったな」
「予告や、次は下を見せたる」
「下あ!?」
どよめくギャラリー
「ふふふ。いつ見せるか分からんで?」
すげえ集中力乱しをするドテ子と恥じらうギャラリー。ちなみに恥らっているのは皆、闇社会に生きる男たちである

そして
「サーブ行くぜ!!」
まったく勝負以外には無関心な男。
そして運命の勝負は続く。

「…娘(分)が分からない…(泣)」
「いやわかんないでいいですから!もうちっと恥じらえ関西娘ぇ!!ユウジを見習えよ!」
「うるさいわ、この勝負にうちらの貞操がかかっとんねや!!負けたら元も子もないわ」
真剣勝負だが、聞こえるのはピンポンの音のみ

「白熱してるが…地味だ…」
「全く…」
だがさすがはノガミの帝王。人間離れした集中力とテクニックと体力でじわじわと哲を追い詰めていた
「クソ帝王でも…勝負してる時は男前っスよね」
「確かに。てか何でいっつも勝負してねえんだろ(泣)」
「確かにカッコいい…俺何言ってンだ!?あんな性獣に…」
「ハッ、見とれてる場合ちゃう…ダーリンの処女が!!いったる…うち行くで!!ダホ中年!見さらせ!」

バッ

「?!ドテ子の生…」
健がよそ見している間にユウは健の足元のリモコンスイッチを奪った。
「…もう、ここから出るっ!!」
ユウがスイッチを押すと床が揺れ始めた。
「あら…何で開かへんの?」
ドテ子の問いに健は答えた
「だってそれ爆破スイッチだもん」
「はあ!?何で旅館にンなもんが必要やねん!!」
「だって秘密基地っぽくしたかったんだもん。秘密基地ったら爆破スイッチだろ?」
「アホー!!」
「建物が…崩れる!」
「ひいいい!!!(泣)」
「きゃあ〜ん♪」×2
「ゆ、ユウさん!大丈夫か」
「哲…まだ腰が…(泣)」
「つかまって!」
「…こう言うのも何やけど、ユウさんかなり情けないで」
「あらら♪やべえな。とりあえず脱出〜♪」
「健、縄ほどけ…(泣)」

ちなみに外には一足早く抜け出た近藤と小龍がいた
「…何が起こったんだ!?」
「爆破オチやがな。見たら分かるやろ」
「どうしててめえはこーゆー事ばっかするんだ健健?」
「なんで俺って分かるんだよ」
「他にいるか!!」
「なあ…この話のタイトルは『関東湯煙温泉殺人事件』やろ?誰か死んだん?」
「ユウたんを天国に逝かせた〜♪」
「いってねえ…(泣)地獄だよ…」
「まじ最悪な一日やったな…けどダーリンの浴衣姿見れたんはよかったわ」
「オレもユウさんの裸を…(照れ)」

しかし誰も気付いてなかった。
今回のツアーで少なくとも五回はキザの瞳孔が開いていたことを…。
一瞬でも一応死人、出てたんです。
という訳で、ちゃんと『殺人事件』になった…という苦しいオチ


苦しいオチどころか、ジャロに訴えられそうです、このタイトル。本話は実は主役はドテ子ですね?男前だよ、君