チビとわんこと時空移動
変なオッサン(当人は仙人と主張)と博打して、タイムトリップ能力を巻き上げた健様。
さっそく二十年前の台湾とかに来てみた
「わーい♪さっそくみっけ♪」
そこには、いかにも変質者に目をつけられそうな、眼鏡の天然エロ少年の姿があった
「センセっ♪」
「(不審そうに見上げる)おじさん…誰?」
「(ショタじゃないけどうまそー♪とか思いながら)俺けんー♪でえとしよっぜ?なんでも欲しいモン買ってやっから」
健様それ誘拐です。が、少年は不審そうな顔もせずに、問い返した
「…ホント?」
「おう♪何が欲しい?」
「…お母さん」
「へ?」
「本当のお母さん」
「センセってオフクロいなかったっけ?」
「(自嘲しながら)今の母さんは兄さんばっか可愛がるんだ。今日も、お前みたいなできの悪い子はホントは私の子じゃないって言われたんだ」
「…」
「おじさん…ホントのお母さん買って!!」
さすがに絶句する健。だが、真摯にみつめる眼鏡少年に、健は言った
「…俺もずっと欲しかったもんな…よしセンセついてきな」
「?」
そして二十年後のジュク。夕方の商店街。
「ユウた〜ん、忌田あー♪」
夕飯の買い出し中のユウと極道
「健?お前その子…」
「どこでこしらえてきたんだ?!しかももう大分大きい…」
「俺の子じゃないの〜!センセなの〜!オフクロ欲しいんだって♪」
「は?」×2
健は説明したが無論通じる筈もなかった
「…まさか誘拐じゃなかろうな」
「違うもんなー?」
「…うん」
「その子、誰かに似てないか?」
「だってセンセだもん」
「先生の?そういや似て…」
「やめとけユウジ。プライベートだ。ともかく、飯でも食うか?」
「…おじさんたちが作るの?」
「おかしいか?」
「うちのお父さんは、台所に入った事もないよ」
「どこのおぼっちゃまだ!?」
「いーから飯ぃ♪」
「はいはい」
例によって、天界の充実したキッチンで、おいしい料理が完成した。
「坊主、出来たぞ。グラタン好きか?」
「わーいうっまそー♪」
「…これおじさんたちが作ったの…?」
「ああ」
「(もごもご)うめえ〜♪」
「健、落ち着いて食べなさい…。坊主、辛いこともあるだろうが今は食べなさい」
「…」
祥二少年は無言でグラタンを食べた
「(もっさもっさ)おかわりー」
「まだ食うんかい!?」
「俺、たべざかりだもん♪」
「そりゃこっちの坊主だろ?…ん?どうした?まずいのか?牛乳入れすぎたかな…健がこってりが好きだからつい」
「…うっ(泣)」
「な…なんで泣くんだ?」
「…だって…こんな楽しそうなご飯…食べた事なかった…」
「健。いったいどこからさらって来たんだ?この子」
「んー…たいわん?」
「ブラフぶっこけよ!」
「ブラフじゃねーもん。あと二十年前な♪」
「…もう健、お前はいいから…坊主家はどこだ?帰らないと親御さんも心配するぞ?」
「心配なんてしないよ…」
「…先生爬虫類だからやっぱり…」
「認知してるんだろうか?」
変な方向に勘違いしてるユウと忌田だった。
「心配なんてしない。ぼくなんていらなかったんだ。兄さんだけで良かったんだ…」
「センセって昔から暗かったんだな」
「子供がいらない親なんてねえよ」
「…そんな事ない…そんな事ないよ!!ぼくの家を知らないからそんな事言えるんだ!!…ぼくは…近藤の家の出来損ないだって…兄さんはなんでも出来るのに、なんでお前はなんにも出来ないんだって…(泣)」
「(祥二少年の頭を撫でながら)泣いてるセンセはやっぱ、かーいーなー♪じゃ家帰らずに俺のハレム入る?」
「健!!」
「健…」
「どうしたユウたん?」
「ちょっとこれは酷すぎる…俺先生にひとこと言わねえと気が済まねえ!」
「俺もだユウジ」
「だからこれがセンセなんだってば」
「行くぞ、坊主…お前の父ちゃんに灸据えてやらないとな」
「…え?」
勢いこんで走る二人に引きずられた祥二少年を追い掛けるわんこ。
議員宿舎
「センセ!!」
「…忌田…ユウジ?その子供は?」
「ひどすぎるぜ!?」
「何が?」
「そりゃあんたにとっちゃ不本意な子供だったかもしんねえがよ」
「だから何が?」
「あんた親だろ!?」
「誰の?」
「この子だよ!!そっくりじゃねえか!!」
「…誰?」
「おじさん…誰?」
「へっ!?」
「センセの隠し子じゃなかったのか、健?!」
「だから先生本人なんだってば」
「坊主の父ちゃんじゃないんだな?」
「うん」
「??と、とにかく…先生お邪魔しました。じゃあ…!」
逃げるようにまた少年をひっ抱え帰ろうとするユウ達に、近藤は言った。
「その子供…」
「ん?」
「ホントに俺なのか?」
「へ?センセまで何を馬鹿な事を」
「そうだぜ♪」
「フフ…名前は?」
「こんどうしょうじ」
「同姓同名?」
「奇遇だな…俺も近藤祥二ってんだ」
「おじさんも?」
「ああ。だからそのよしみで言っておいてやる」
「…何?」
「甘えるなよ、クソガキが」
唐突な近藤の言葉に驚く忌田とユウしチビ近藤
「先生いきなり何…」
「てめえが世の中で一番不幸だって思ってるんだろう。いい加減にしろよ」
「…」
「世の中にゃ不幸なやつはゴマンといる…てめえ自身で何もしないまま愚痴垂れ流してんじゃねえ」
「僕は…ぼく…は…」
「先生、ちょっと見ず知らずの子に何も…」
「でも正しいぜ?センセの言うこたあ」
「俺はてめえより無駄に二十年ばかし生きただけさ。そして成り下がった姿がこれだ。自分を肯定出来ず、死ぬ覚悟も決められず、今を生きる為だけにどんどん汚れてる…嫌だろう?そんな人間になりたいか!?」
「や…やだよ…」
「なら自分でなんとかしろ!!誰も助けちゃくれねえんだ」
「…うん…」
「な…なんでそんな一生懸命なんだ?」
「だって俺なんだろ?その子供。なら…もっとまともな人生歩ませてえじゃねえか」
「おじさん…そんなに自分がキライなの?どうして?」
「ああ…確かに。センセ、あんたは確かに人格にゃ多大な問題があるが、立派な代議士センセじゃねえかよ、その若さで」
「おじさん政治家なの?すごい…ぼく、ならそんな立派な人になりたいよ」
「…政治家だろうがなんだろうが、屑はクズさ」
「先生…あんたは…打算的で生粋のエムの変態で、後ろむきで一緒にいてるとこっちまで暗くなるような男だが…」
「ユウジ!いい過ぎだ!!いくら先生が爬虫類で見境なしの人格破綻者でも…」
「…おじさん…確に最低だ…」
「ユウジ、忌田…てめえら…」
「う…で、でもここにいる犬畜生よりは屑じゃねえ!坊主、本当に見習っちゃいけないのはあのワンコのおじさんだからな!」
「…でも人生楽しそうだよ…?」
うん。俺毎日すげえ楽しい。わーい幸せ、はっぴっぴー♪」
「いいか?人として最低限のラインってのはな、自分だけの為に人に迷惑をかけないって事だ!!あの不精髭は、それが理解出来ないんだ!!頭のかわいそうな人…てか犬だ!!」
「おじさん、なんでそんな一生懸命にあのおじさん罵倒するの?」
「んー俺のこと大好きだから罵倒すんだよな♪てかここにいる全員俺のこと好き好きなんだ♪ひゃほーい♪」
「…こいつ…(泣)」
「…おじさん…」
「何だチビセンセ♪」
「どうやったらそこまで人生楽しめるのか僕に教えて!!」
「よーし手とり足とり♪」
「ダメー!!!(泣泣)」
「なんでさ?つっこまねーから」
「当たり前だ!!男子小学生にんな事するな!!」
「なんでさー(ぶーぶー)」
「分かったよおじさん。人生楽しむ為には、思いやりとか気遣いとかいう社会通念を打破しなきゃならないんだね…ククク、なーんだ。簡単じゃないか」
「おい、坊主!?」
「おっ、さすがセンセだけあって賢いな(なでなで)あと五年したらずっぽししよーな♪」
「俺が…俺が汚されてゆく…」
悪いわんこに、世の中の裏面を知らされたチビ近藤は、割とあっさりとそれを受け入れた
「おじさん人生の中で一番楽しいことって何?」
「やっぱそりゃ萌えキャラとがっつんがっつんだろ♪」
「へえ…じゃあ僕ともやってくれる?何事も経験だよね…クク…」
「おれショタじゃねーけどやって欲しいなら♪」
「ヤメヤメー!!(泣泣)」
「坊主!!今から人生捨てるな!!」
「俺はやっぱり俺なんだな…(ブツブツ)」
チビ祥二を食おうとする健を必死で引き止めるおかん二人と
「やだやだー!!据え膳食わねーのは俺の恥ぃ!!」
だだこねるわんこ。
祥二少年はそれを冷ややかに眺めると
「ぼくばっか屑だと思ってたけど、屑はたくさんいるんだね」
自己を肯定する発言が出来るようになった
「嫌な悟り開いたな、ガキな俺…まあ、世の中、意外となんとかなるもんさ」
「食うー!!食うー!!」
「あんな生物もいるしな」
「うん、ぼくなんだか生きる希望が涌いてきたよ、わんこのおじさん見て」
「だろだろー!?」
「堕落させやがった…汚れ無き少年を(泣)」
というわけで何だかしたたかになった祥二少年を、おかんずに怒られて、しぶしぶ送り返すことになった健様。
「じゃあ今度はしっぽりしよーな、チビセンセ」
「クク…考えとくよ。あ、そうだ。他のおじさんたちに伝えといてよ」
「何何?♪」
「あんまり人がいいとロクな目に合わないよってね」
「人がいーからかーいーんじゃん」
「あと、おじさんと一緒にいるとロクな目に合わないよってさ」
「だってみんな俺に惚れまくってんだもーん♪」
「ホントおじさんは犬畜生だなあ」
「そんに誉めるなよ♪」
チビ祥二はエロ可愛い嘲りの笑みを浮かべ、うちに帰っていった。
「あーもったいねえなあ…あーそーだ(にやり)」
数日後
「ユウた〜ん!忌田〜!」
「何だまたそうぞうしい…」
「はいはい、何…う…」
「どーせだから、チビユウたんとチビ忌田連れてきたあ♪すっげ可愛い♪」
「…(怯)」
「ほわぎゃー!!(泣泣)」×2
チビを前にして、また駄々をこねるわんこ
「食うっ♪」
「食うな!!」
「(不満そう)じゃつまみぐい」
「ダメ!!」
「じゃ味見(べろんちょっ)うまーい♪」
「(怯泣)」×2
「お、おら早くうちさけえりてえ(泣)」
チビユウが泣き出す
「うちの親父の恨み…?(泣)」
よその子供よりしっかりしてはいても、やっぱり謎の無精髭に誘拐されては怖いチビ忌田
「チビなユウたん、忌田かーわいー♪俺と遊ぼーなー♪」
「もうやめてくれ!」×2
「お肌がぷりぷりー(うにー)」
「このオッサン恐ェべさ」
「やめろ!!(健を殴る)」
「へぷっ…」
「オッサン…おらの父ちゃんさ似てる…親戚だべか?」
「いや…(当人)」
チビユウはデカユウ…要するに当人に飛び付いた。
「あんたは何か安心だべさ…あのおっさん一体なんなんだべ…」
「下衆野郎の犬畜生だよ…」
「うわあWユウたんめさうまそー!!もう食うったら食う!!」
飛び付こうとした健は、WユウにWパンチをくらった
「なんで嫌がんのさー」
「当たり前だ!!」
それを見ていたチビ忌
「なんだか…将来あんな生物と関わりそうな予感がした」
「当ってるよ…利口だなあ、俺(泣)」
チビ忌は二十年後の本人に聞いた。
「あんたも極道…?親父の知り合い?」
「…(ある意味)ああ…そうだ」
「でも親父と雰囲気違うな…」
「そうか?…(よかった…)」
「なんか…優しそうだ。こんな言い方したら怒るかもしれないけど、オフクロってこんな感じなのかも…」
「だろだろ♪だって俺のオフクロだしぃ(チビユウを抱き締めながら)」
「離せー!!離すだよ(じたばた)」
「さすがユウたんだけあって、ガキでもいい体してんな。なあ、初キスちょーだい♪」
「いやだあ!(泣)初キスはヤエちゃんとって決めてあるだよー!」
「んー下の方はどっかなー♪」
「やめろ!俺を幼児虐待すんのはやめろー!!(泣)」
「こら健!!いい加減にしなさい!!」
「ふんふーん♪やーだ!チビ忌田もかあいいなあ〜(頬ずり)」
「や…やだっ!(赤面)訳わかんないこの人!」
「ちっせえ忌田もやっぱ赤くなんのな、へへ…へぶっ」
「…(やっぱり赤面してキック)馬鹿野郎…!」
チビたちにさんざいかがわしい事を言いたくった変質者健は、それに見合う位殴られたり蹴られたりしたが、あんまり懲りなかった。
二人のおかんに怒られて、ようやくチビ二人を帰しに行ったが…
「ただいまー♪」
「な…なんで血まみれなんだ!!!?」
「んー…ユウたんの村に行ったら村の自警団にまかれてさ」
「当たり前だ!!幼児誘拐(しかも猥褻目的)だろうがよ!!」
「そっち切り抜けて忌田帰しに行ったら、人相の悪いホリモン入ったオッサンとその若ェのに撃たれた♪」
「この子は(泣)」
「忌田の親父かな、あれ。全然似てねーけど」
「ともかく!!もうするんじゃありません!!」
「なんでー(ぶー)」
「ぶーじゃない!!…何背中にしょってるんだ?」
「あ、これ?チビ龍龍♪」
「おまえはまた…」
どがん!!(銃声)
「ひ…なんだ!?」
「うちの息子を返しな!!この不精髭!!」
「すげえ美人♪」
「だがすげえ恐そうだぞ?まさか…」
「マーマ!!」
「龍龍のオフクロだあ!!」
「馬賊の息子ひっさらうたあ、いい根性じゃねえか!!てめえら全員、蜂の巣にしてやるよ!!」
子供をさらわれて怒る小龍母
「け、健!!はやくその子を返しなさい!!」
「えー…連れて来たばっかなのにー」
「離せはなせー!!(じたばた)」
「すげえ美少年♪かーいーかーいー♪(なでくりなでくり)センセ、見て見てー♪チビ龍龍」
「チビ…おま…また、つれてきたのかよ…」
チビ小龍は近藤を見るなり、抱きついた
「うわっ…なんだなんだ?」
「マーマ」
「なんだい、小龍?」
「気に入った」
「は?」
「マーマ、オレ、こいつをどれーにする」
「はい?」
チビ小龍は、近藤を何度もつついた
「んで、つれてかえる。いいだろ?」
「あの…」
小龍母は、ちょっと渋そうな顔をした
「小龍、そいつは奴隷としちゃ細すぎて、マトモに働けないだろ」
「…すいません、俺ナニされるの?」
困惑する近藤をよそに、小龍母はユウを指差した
「こっちのがこき使い甲斐があるぞ。ガタイもいいし」
「すいません…小龍のお母さん…俺、ンな事言われても」
「やだやだやだー!!こいつがいい!!オレ、こいつをいたぶってあそぶのー!!」
「やれやれ、ワガママな子だ」
「…栴檀は双葉よりってヤツだな、忌田」
「昔からこうだったのか…」
呆れる忌田とユウと近藤をよそ目に、ハブにされた健が今度は駄々をこねた
「美人の人妻萌えるー♪なあ、小龍の母ちゃん?俺だってガタイいーぜ♪」
「(銃口を突きつけながら)お前みたいなエロくさい奴隷はいらん。消えろ!!」
「何さ、冷たいじゃあん♪俺と仲良くしよーよー(抱きつきっ)」
「うぎゃああああああ!!離せ!!無精髭!!」
ズガンズガン(発砲)
「マーマ!!」
「健!!もう返して来なさい!!」
「やだやだあ!!美人の人妻と美少年とずっぽしー♪」
「おい、オレのどれー。なんとかしろ!!」
「…無理」
「チビ龍龍♪俺とも仲良くしよっぜ(抱き取りっ)」
「うわあああああっ!!」
「幼児虐待はやめなさい!!」
「もう、忌田ってば嫉妬して可愛いんだから♪ちゅーしちゃうぞ♪」
「いい加減にしろ!!バカ犬!!」
「嫉妬するユウたんもかーいーな♪」
なんて大騒ぎしている光景を、遠くから眺めている者が二人いた
「…あれが、世界最強の玄人の姿じゃよ」
「…あれが?」
「博打にハマるとな、ああなってしまうんじゃよ。あそこにいるのは、博打うちとしての強さを極限にまで高め、そして人格が破綻した…可哀想な実例じゃよ」
「…ああなっちまうのかよ、オッサン!!」
こどもの割には、暗い目をした少年は、信じたくないといった口調で叫んだ
「俺はああはならない!!」
「なるんじゃよ…博打を打っているとな…」
「なりたくない…」
「じゃろう?じゃが…」
神保神父は、哀しそうに続けた
「あれは、オヌシの何十年後かの姿なんじゃよ」
少年は、がくりとうなだれると呟いた
「…俺、あんな風になるくらいなら、ばくち打ちになんかならない」
「そうか…」
神保神父は微笑むと、少年の肩に優しく手を置いた
「ならば…帰ろうか」
「うん」
少年も、一緒に微笑んだ
「俺、博打を打たずにカタギとして生きていくよ」
「それが良い」
そして、神父と少年は消えた
で
「…ちぇ、龍龍のオフクロとチビ龍龍美味そうだったのに」
「このバカチン!!」×3
「あーあ…でも、ま、いいや♪俺、玄人だもんね♪またいくらでも楽しい事があるもんね♪あー、俺、玄人になって良かった!!」
「ったく…てめえ、昔のお前が未来のお前見たら、死にたくなるぞ?」
「なんでさ?こんなに楽しいのに。俺、すげえはっぴっぴ♪」
とうに、過去の自分にすら愛想をつかされているとも知らず、今日も元気にド畜生なわんこだったりしたのだってさ
リレー小説に、淦夷が結末をつけてみました
過去の自分に出会ったら、消えたりしないんでしょうか?まあ、ドラえもんでも平気だったから、大丈夫だと思いますが